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中村(なかむら)やすひろ

ロシアの「恐怖心」と「トラウマ」

ロシアによるウクライナへの侵攻から、約半年が過ぎました。

最近では、日本のメディアで目にする機会が減っていますが、未だ一般市民が犠牲になっている悲惨な現状は続いています。一刻も早い、ウクライナへの平和の訪れを心より願うものです。

ニュースキャスターで報道記者である豊島晋作氏(テレビ東京所属)の『ウクライナ戦争は世界をどう変えたか 「独裁者の論理」と試される「日本の論理」』 (KADOKAWA)によると、ウクライナへ侵攻したロシアの行動の根底にあるのは、「恐怖心」と「トラウマ」だそうです。豊島氏いわく、ロシアは「怯える国家」「被害者意識に囚われた国家」であると。ロシア政権およびそれを支持するロシア国民には、欧米・NATOに対する、そのようなメンタリティが根付いているのでしょうか。

近代以降のロシアの歴史は、他国との戦いと内政の混乱により多くの国民の命が奪われ、苦しみ続けた100年でした。

◆ 1914年 第一次世界大戦:ドイツ軍に対し、敗北と撤退を繰り返し、元は領土であったベラルーシやウクライナ地方を手放す。

◆ 1917年 ロシア革命:レーニン支持派と対抗勢力による凄惨な内乱により1000万人以上が犠牲に。

◆ 1918年 干渉戦争: 共産党国家に抗するため、イギリス、フランス、アメリカ、日本などが反革命運動支援に参入。

◆ 1941年 第二次世界大戦:「独ソ戦」は人類史上、最悪の激戦。当時のソ連国民の 1/7 にあたる2700万人の死者を出す。⇒  ロシアでは悪魔のようなナチスから自国を守った”聖戦”と位置付けられている。

◆ 戦後 スターリンの恐怖政治により、少なくとも800万人が処刑あるいは強制収容所送りに。

ロシアの人々が苦しんできた歴史は、絵画が物語っています。

上の3枚は、モスクワのトレチャコフ美術館に所蔵されているものです。

① 「トロイカ(徒弟が水を運ぶ)」 ヴァシリー・ペローフ … 貧しい生活を強いられている庶民

② 「1581年11月16日のイワン雷帝とその息子イワン」イリヤ・レービン … 王族にすら悲劇が

③ 「荒野のキリスト」イヴァン・クラムスコイ … キリストがロシアの苦難に絶望

ロシア文学者の亀山郁夫氏は、「20世紀のロシアという地域に、幸せな時代はほとんどなかったように思います」(朝日新聞デジタル2022年1月18日付)と述べています。

悪政により、最も苦しめられるのは、民衆です。

人間同士が殺し合う戦争は、愚かさの極みです。