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中村(なかむら)やすひろ

平成23年度杉並区予算で区議会公明党を代表して意見の開陳

本日、杉並区議会予算特別委員会の最終日で、私は、区議会公明党を代表して、賛成の立場から意見の開陳を行いました。

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以下、長文で恐縮ですが、全文を記載します。

 杉並区議会公明党を代表して、予算特別委員会に付託されました平成23年度杉並区一般会計予算案、各特別会計予算案並びに関連諸議案のすべてについて、賛成の立場から意見を述べさせていただきます。

 昨年第4四半期のGDP成長率は、民間の最終消費支出、公的固定資本形成がマイナスに寄与したことなどから、実質で前期比マイナス0.3%、名目でマイナス1%となり、5四半期ぶりのマイナス成長となりました。今年に入ってからの、現下の国内景気は、輸出・生産、企業収益や設備投資等において改善の方向が見られつつあるものの、雇用情勢は、完全失業率が4.9%と、依然、高水準で推移しており、厳しい状況が続いています。今後、海外の景気や為替レート、中東情勢に絡む原油価格の高騰といった景気の下振れリスクや、デフレの影響も懸念され、経済情勢は全く予断を許さない状況下にあります。

 一方、アメリカの格付け会社が、1月に、日本国債の格付けを引き下げ、先月には、国際通貨基金(IMF)がG20財務相・中央銀行総裁会議に提出した「世界経済の展望と課題に関する報告書」の中で、アメリカとともに日本が「特に中期的な財政再建計画の進展が明確でない」と、世界経済の回復に対しての下振れリスクになると警告されています。

 今こそ政府による強力な景気押し上げの経済成長策が求められており、成長のための「新しい芽」を伸ばすことに力を注がなければならない状況は明白であります。しかし、現在参議院で審議されている23年度予算案は、景気・デフレ対策としては全く不十分なものであり、民間エコノミストの大半は実質経済成長に与える効果はほとんどないと判断している様相。財政再建への取り組みについても、民主党のマニフェストに絡む迷走状態が続き、歳出の見直しが一向に進まず、安易な国債増発や家計増税に頼って財源を取り繕うだけで、再建への道筋が一層後退しているように見受けられます。

 予算関連法案についても先行きは全く不透明であり、内閣はリーダーシップを発揮するどころか、主要閣僚の辞任、不祥事騒ぎで、もはや、求心力を完全に失っており、政治は混迷の度を益々深めています。

 このような状況下、わが杉並区では、昨年11年ぶりに区長が交代し、本区の今後の10年を展望した新たな基本構想・総合計画の策定に向けての作業が行われているなど、これからの新たな時代への重要なターニングポイントを迎えています。その中にあっての区長就任後初の本格予算の審議でありました。私たち杉並区議会公明党も、真剣に審議に当たってまいりました。

 本予算委員会で行われた質疑の内容を踏まえて、以下、主な賛成理由を意見・要望を付して述べさせて頂きます。

 第1の理由は、今回の予算を通して、本区の「命と健康を守り・育む諸施策」が大幅に拡充されたことです。

 このほど区が策定した「健康と医療・介護の緊急推進プラン」は、我が会派がかねてより主張してきたことであり、命と健康に関わる問題は区民生活の中でも最も切実であるとの私どもの認識を区も共有しています。本プランでは、「安心して妊娠・出産できる環境づくり」、「総合的ながん対策の推進」、そして「在宅療養者及び家族の支援対策の充実」の3つを柱に据え、その内容について予算化されております。

 それぞれの施策を通して、不妊に悩む方々への支援や地域での安心の妊娠・出産の体制が整備され、乳幼児の疾病予防が拡充し、国民の死亡要因の第1位であるがん対策が進展、更には高齢者や病気療養者が安心して自宅で療養生活を送れる体制が充実することを、大いに期待しています。

 本プランについては、区民福祉のさらなる向上を図るための第一歩であり、今後新たな基本構想や総合計画へと展開しながら、区民や関係機関との協働や連携を進め、着実な実行に取り組んで頂きたいと思います。

 児童虐待防止対策については、幼い命を何としても助けていくとの強い決意を持って、保健福祉部門と教育委員会の双方の綿密な連携、また虐待の未然防止策を含めた、体系立った施策を展開していくことを求めます。

 また、うつ病対策については、区内においても患者が増加傾向にあり、家族の負担も大きいため、認知行動療法の普及を始め、相談や情報提供、また治療に結びつけるアウトリーチの体制も十分確保していくよう要望するものです。

 障害者の就労支援については、「すぎなみワークチャレンジ」の取り組みを継続し、着実な雇用創出に期待します。

 保育園の待機児童解消への取り組みについては、本年度も大変厳しい状況ではありますが、学校跡地の活用も含めた区の保育室や認証保育所の開設、家庭福祉員制度等の充実への努力が示されています。今後、中長期の展望も見極め、国の待機児童ゼロ特命チームの「先取りプロジェクト」の活用も検討しながら、学童クラブと同様、待機児解消へ更なる努力を要望します。

 理由の2番目として、地域の活力と区内経済の活性化を図る施策が多く盛り込まれていることです。

 前述の通り、景気は足踏み状態で、地域で挑戦する中小企業・商店を新しい販路の開拓や金融面における強力な支援を行う必要があります。これまでも本区が実施してきた無利子産業融資資金や区の契約・入札の区内事業者限定発注枠の拡大等、地域経済強化策を来年度も継続することを決定したのは正しい判断であると高く評価します。

 またこの度、区は電子地域通貨という新たな事業を計画しています。「なみすけ商品券」や「長寿応援ポイント」などと一体化したICカードの発行が、区内消費の促進や地域コミュニティの活性化につながるよう、その詳細な制度設計を見守るとともに、区民への広い周知を図っていくことを要望します。

 買い物弱者対策については、富士見ヶ丘商店街で実施される事業を限定的な期間で終わらせることなく、試みと検証を繰り返しながら、高齢者部門としっかり連携を取り、中長期に継続実施し、やがては区全体に波及できるようなモデルケースとして頂きたいと思います。

 商店街の空き店舗を活用して地域の活性化を行う事業については、柔軟な発想で、高齢者や子育て家族の交流の場、商店街のPRのイベントの場など、人々が集い賑わいを取り戻す商店街支援をめざして頂きたいと思います。

 また、別角度からの地域活性化策として、区民全体の約1/3を占める、20代、30代の若者にとって、生活スタイルにマッチしたインフラ作りという視点も欠かせません。現在進めている区内公共施設における公衆無線LANの設置を通して、若者の目が地域に向かい、幅広い世代によるまちづくり、地域づくりが推進されることを望みます。

 第3の理由としては、区内の暮らしの安全・安心を守る、防犯・防災策が拡充していることです。

 防犯対策として、区はこれまでも安全パトロールの巡回、街角防犯カメラの設置、また警察や地域の自主防犯団体等との連携強化により、区内の空き巣認知件数が、この4年間で1/5以下に激減するなど、大きな成果を上げてきました。23年度予算におきましても、防犯対策の更なる充実のため、「(仮称)巡回安全パトロールステーション」を区内に3ヶ所設置することが予定されています。本事業を新たな試みとして期待する一方、安全パトロール隊の再編によって、これまでの取り組みがパワーダウンすることがないよう願うものです。また、街角防犯カメラについても、24施設・48台増設することは高く評価しますが、カメラ設置にあたっては、地域住民の意向をしっかりと踏まえた上で、設置後の住民への周知を徹底して頂くことを要望します。

 防犯対策の一貫として、区民を悪質で巧みな犯罪から守る消費者センターの体制強化と、自己防衛のための教育・普及啓発活動にも一層の努力を期待します。

 防災対策として、来年度は「地域防災計画」を修正し、区民向け普及啓発パンフレットの発行などを通し、区民の防災意識の高揚を図り、また「地域の助け合いネットワーク」や災害に強いまちづくりなどを通して、自助・共助・公助の地域防災力の向上に努める取り組みを進めています。

 地域の助け合いネットワークについては、「あんしん協力員」、「あんしん協力機関」の更なる宣揚によって、ネットワークの拡大を図り、災害時要援護者の原簿に登録されていない、特別支援学級の児童・生徒の保護者に対して、学校の協力も得ながら周知と登録勧奨に努めるべきであると考えます。

 また、区内の民間建築物の耐震化については、区の耐震改修システムが精密診断士の大幅な増員とともに、来年度より拡充される予定で、区のこれまでの地道な取り組みを高く評価しています。国の耐震化緊急支援事業を活用し、また、都の条例改正の動向も見すえながら、耐震化促進を更に行って頂きたいと思います。

 第4の理由として、人づくり・まちづくりを着実に推進する施策が多く盛り込まれていることです。

 区教委は、「いいまちは いい学校を育てる ~学校づくりはまちづくり~」のスローガンのもと、23年度を「今後の10年を展望した新たな教育ビジョンの策定に取り組む年」としています。今年の夏までに全区立小中学校へのエアコン設置、学校司書の全校配置に向けての推進や、中学校の補習授業支援、30人程度学級の小学校全学年への拡充など、質の高い教育を提供し、確かな学力と健康で豊かな心を備えた子どもたちを育む教育施策に取り組むことを期待します。

 委員会質疑の中で、教育長が述べられた通り、環境教育は「広い意味での生き方の教育」であり、「どのように人間と自然とで協働していくか」という視点を涵養していく大切な取り組みであると認識します。「人と自然との関わり合い」や「思いやりの心」を育む、一層の充実に努めて頂きたいと考えます。

 固定の情緒障害学級の設置について、区の努力を求めます。また、不登校児童の対策についても、これまでの取り組みを評価するとともに、全ての子どもたちが「生きる喜びが持てる教育」に向けて、更なる体制の強化を要望致します。

 また、まちづくりについては、今回の予算編成のメインテーマともなっている「質の高い住宅都市構築」に向けて、安全性・利便性・快適性の向上を目指した、地球環境やすべての命にやさしい地域づくりを進めるべきであります。

 国・都・区の様々な公共施設が今後更新期を迎えるにあたって、それを踏まえた「まちづくり連絡会議」を設置することは、時宜を得た取り組みであると評価しています。真に区民生活の向上に資する公有地活用につながるよう、実効性のある会議の開催を望むものです。

 まちの緑化については、緑被率の向上に向けて粘り強い取り組みを期待する一方で、屋敷林等における保護樹木・保護樹林の維持管理については、高齢化が進む現状もふまえながら、所有者と地域住民が一体となって、快く緑を守り育てていけるしくみを我々も研究していきたいと思います。

 区の財政運営と今後の行財政改革についても意見を申し述べます。

 今年度で一応の区切りをつける「スマートすぎなみ計画」行財政改革大綱のもと、これまでの10年間、区は徹底した行革を進め、当時危機的な状況にあった区の財政を立て直し、財政の健全化が大きく進展してきました。特に平成18年度以降は、起債に頼らず基金等の活用をしながら財政運営を行ってきました。

 来年度は約29億円の建設債を発行し、基金にも起債にもどちらにも偏らない財政運営を推進するとのことですが、本議会冒頭の我が会派の代表質問に対する答弁の中で、区長は「単年度主義に基づくいわゆる『使い切り予算』を見直し、災害などの非常時に備えるために計画的に基金に積み立てることも含めて、中長期的な課題を視野に入れた財政運営に努めていきたい」と述べられました。

 今後も長期的に安定した公共サービスを提供するためには、区財政を健全な状態に保ち、遠い将来を見すえた財源確保は必要不可欠です。そのためには、本委員会において我が会派からも主張させて頂いた複式簿記の公会計制度に基づくストックやフルコストの情報を活用したマネジメントを実行し、それを予算・執行・決算・評価等へのプロセスに組み入れていくことが重要であります。本区が採用している総務省の基準モデルの会計情報を今後の行財政改革に存分に活用することを提案するものです。

 併せて、「最小の経費で最大の効果を上げる」ムダのない効率的な行政運営を達成するため、一層の努力が必要です。とりわけ、区長も「多様で質の高いサービスを的確に提供していくために、民間の活力を一層積極的に活用した改革を進めることが必要」との認識を示されている通り、これからの新しい公共、特に地域における福祉や、新たな行政需要の担い手をいかに糾合していくかが、カギになると思います。

昨年「無縁社会」という言葉が流行しましたが、私どもは、社会転換のキーワードは「孤立社会から支え合いの社会へ」ととらえており、地域・家庭・職場等のコミュニティにおける人間的なつながりを強くしていくことが肝要であると考えます。先に区が実施した区民アンケートでも、年齢を問わず8割以上の方々が、協働の地域社会づくりに向けた参加の意向を示していることは、このような問題意識を多くの区民が持っていることの証明でもあると言えるでしょう。地域の福祉、共助を担いたいという個人・団体の力を結集し、支え合いの仕組みづくりを、背後からいかにサポートしていくのか、これからの検討課題であると考えます。

 以上、賛成理由を述べてきましたが、このほかにも委員会審議において我が会派から出されました意見、要望、提案につきましては、今後の区政運営に当たり、充分検討、反映して頂きたいことを要望するものであります。

 作家の童門冬二氏は、「人の痛み・苦しみをわがごとのように感じ、その苦しみを消し去るために力を尽くす真の政治が行われなければならない。花火のような一過性の派手さではなく、地域の隅々を照らす『あたたかなロウソク』のような存在の政治こそが、日本の再生の突破口を開いていく」と述べられ、「地方こそ国の基盤」。「地方の再生なくして日本の再生はあり得ない」、と現在の政治状況に対して提言しています。

 私どもは、この提言の趣旨をしっかりと自覚し、「徹底した現場の目線」、「生活者の立場」を真剣に考え、全力で「区民福祉の向上」と「区政の発展」に取り組んでいく所存であります。

 最後に、本委員会の審議に当たり、誠意をもって答弁に当たられた区長をはじめ理事者の皆さま、資料の作成に当たられた職員の皆さまに心から感謝を申し上げるとともに、あわせて正副委員長の委員会運営に感謝を申し上げ、杉並区議会公明党を代表しての意見開陳を終わらせて頂きます。

 ありがとうございました。