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中村(なかむら)やすひろ

一般質問を行いました。

本年最後の区議会定例会。11月19日に、「財務戦略について」一般質問を行いました。

長文ですが、取り急ぎ質問文だけ掲載します。

『財務戦略について』

杉並区議会公明党の一員として、区政一般について質問を行います。

本日は、財務戦略について、質問をいたします。本質問における財務とは、区の資金の調達、及び運用管理にかかわる業務を指します。

本年9月末時点での、本区の区債発行残高は215億円、一方、基金積立額は411億円。さらには日常的な支払いに充てる歳計現金等は、平均約100億円の残高を保有しています。

地方自治法でも定められている通り、「最少の経費で最大の効果を挙げる」ことは自治体の責務であり、このような数百億円の単位にのぼる財務活動においても、効率性が求められることは言うまでもありません。例えば、資金調達において、コストである利払いを最小化し、運用においては収益である利回りを最大化することは、効率性向上への取り組みと言えます。

しかし、金融の世界においては、リターンには常にリスクが伴います。元本や利息の保証にかかわる信用リスク、タイムリーな資金調達にかかわる流動性リスク、そして金利変動リスクなどがあります。これらのリスクに対処するには、金融原理に沿って適切に行動する必要があります。

また財務活動は、財政運営と密接に関係することも考慮しなければなりません。財政については、単年度の健全性や、区債と基金の活用といった財源論、あるいは「財政のダム」に象徴される、長期的な行政需要や収入に関する見通し、といった観点が現状の主な判断要素であると思います。これらに、金融市場の動向と財務の効率性を定量的にとらえた上での、戦略的な観点も加えることによって、より健全で持続可能な財政運営が可能となるのではないでしょうか。

資金の調達と運用、そして財政を三位一体として定量的にとらえ、全体の効率性を高めるとともに、的確な金融市場動向への対応と、リスクマネジメントを実現する財務戦略が重要と考えます。本区の、現状における取り組みはいかがでしょうか。お聞かせ下さい。

では個々の業務について伺ってまいります。まずは、区債の発行について、平成22年度から26年度までの5年間に本区が起債した実績に基づいてお尋ねいたします。

我が国の金利動向は、歴史的な低水準で推移しています。日本銀行が「異次元の量的・質的金融緩和」を平成25年4月に導入し、昨年10月に追加緩和を実施しました。先般の政策決定会合で再度の追加緩和は見送られたものの、マネタリーベースは大きく拡大しています。債券の利回りも、短期から長期に至るまで低利な状態が続いており、上昇の局面に入るには、なお一定の時間が必要と見られています。

こうした金利環境を背景に、区は5年間で計約169億円の起債を行ってきました。その全てが、世代間の負担の均衡及び財政収入の年度間調整を図り、学校、保育施設、公園等の建設事業などの財源に充てるものであります。

では、これまでの起債活動の効率性はいかがだったのか。区債償還に伴って区が支払ってきた利子の額を見ると、22年度は4.2億円、23年度3.3億円、24年度以降は毎年約2.7億円となっています。しかし、これらは、過去の起債の償還に伴うもので、償還額も年度によって異なるため、単純に支払った利子額だけをもって、その年度における起債活動の巧拙を評価することはできません。

資金調達の効率性は、債務残高に対する調達利息の割合によって評価できると考えられます。これは、将来にわたる利子の総額を起債残高で除した「利子負担率」という形で表せると思いますが、本区における過去5年間の推移を伺います。

起債の引受先としては、金額ベースで12%が市中銀行、いわゆる民間資金によるもので、残りの88%は財政融資資金等の公的な資金によるものとなっています。26年度では、公的資金の中でも地方公共団体金融機構による引受が増えています。全国の地方債全体の統計では、民間資金の割合が年々増え、現状では約6割を占めているので、公的資金が多い本区とは対照的です。

こうした引受先の選定については、どのような考えに基づいて行っているのでしょうか。お聞かせ下さい。

償還条件について伺います。償還方法、借入期間、利率、据置期間の有無などの償還条件によって、適用される調達金利の利率も変化してきます。

区は、これまで全て半年賦元利均等方式を採用し、借入期間はだいたいが20年か25年、全て固定方式の金利設定での起債を行っています。また据置期間は、市中銀行引き受けによる満期一括5年を除いて、2年もしくは3年の期間で、これも一律に設けられています。

しかし償還年数を短くし、据置期間も設定しない方が金利は低く抑えられます。また元利均等方式よりも元金均等方式の方が早期に元金の返還ができます。

据置期間を設定せず、元金均等方式を選択し、金利も固定ありきではなく、金利変動のシミュレーションによる支払利息の多寡によって判断をするなど、条件を見直す中で、調達コストを下げることが可能になるのではないでしょうか。区の見解を伺います。

先に述べた通り、日銀の金融緩和により金融機関の預金額は増加しています。それに対して、民間の設備投資が依然として低調であり、貸出額の方は伸び悩んでいます。このような状況下、自治体向けの貸出は金額も大きく、預金に対する貸出の割合である預貸率を高めることができ、金融機関にとっての経営指標を改善させる効果があります。つまり地方債市場は、借り手優位の状態にあります。

区のこれまでの市中銀行を引受先とした4回の起債は、全て相対方式によるものです。相対方式とは貸し手である金融機関と借り手である区とが、借入条件について、1対1の交渉によって決定する方法です。この方式では機動的かつ柔軟に起債ができる反面、こちら側にスプレッドという金融機関による上乗せ金利分の相場観がないと、不利な条件となる恐れがあります。

他方、複数の金融機関による入札・引合方式では、公正な競争によって透明性が確保され、現在のような市場環境においては、スプレッドの低減ができる可能性が高くなると考えられます。

本区がこれまで全て相対方式で条件設定を行ってきた理由について、また入札・引合方式を採用することに対する区の考えについて、伺います。

続いて、借入金による一時的な資金調達についてお尋ねします。

歳計現金等の年間の平均残高は約100億円ですが、年度末から出納整理期間である5月まで、一時的に現金が不足します。これは本区の資金収支のほぼ例年のパターンであります。

こうした資金不足への対応として、区では各年度予算の中で、一般会計用、国民健康保険事業会計用、そして介護保険事業会計用とを合わせて81億円を最高額として、年度内での返還を前提とした金融機関からの借り入れが認められています。

借入金の他には、積立基金を流用しての補てん、いわゆる繰替運用で不足分を充当する方法もあります。

一時借入、繰替運用どちらの方法を採用するかについては、基金をそのまま運用した場合の運用益と、借入による支払利息との差額を見極めることがポイントになると思います。

本区における、一時的な収支不足に対する資金調達は、現状どのように行っているのでしょうか。

川崎市では、「資産負債管理(ALM)をふまえた基金運用」として、いくつかの前提条件を置いた上で、過去3か年の歳計現金の動きから資金が不足する場合の対応を6つのパターンに分けて試算を行いました。そして、それらを比較したところ、全額一時借入で対応するケースが最も運用益を獲得できることが分かったとのことです。

川崎市の事例のように、最も有効な、一時的な資金の調達方法についてシミュレーション等の比較・検討を行ってみてはいかがでしょうか。見解を伺います。

次に、資金の運用について伺います。

杉並区資金管理方針では、歳計現金等と基金を、安全性の確保を最重要視するとともに、流動性をあわせて確保し、そして効率的に管理を行うという原則を設けています。また方針では、具体的な方法、運用商品や金融機関の選択、それを執行するための体制等を定めています。そして、その方針に基づき、より具体的な、毎年度の資金管理計画を策定しています。

本区の積立基金の運用実績としては、22年度は利子額3億9千万円で平均利回り0.906%、23年度は3億2700万円で0.952%、24年度2億円・0.634%、25年度1億2600万円・0.388%、26年度は7700万円で0.21%となっており、年々利子収入・利回りの低下が顕著であります。

26年度は全体の51%を債券で、49%を預金で運用を行いました。積立基金という資金の性格上、効率の良い債券での運用の比率を、もう少し高めても良いのではと思います。

運用債券は、ほぼ全てが国債、政府保証債、地方債証券です。従い、現在の10年国債の金利が、5年前と比較して3分の1程度となっていることが、利回り実績の低下の背景にあるのは明確です。

しかし、大分県国東市は平成25年度に基金運用利回り1.96%を実現しています。同市は、基金や歳計現金を一体的にまとめることで、スケールメリットを活かし、利率の良い長期や超長期の運用を増やしたり、売却損失の償却やオーバーパー債券の償却に関する処理の方法や、複数年度での収益評価基準を整備したりするなど、多角的な取り組みを進めてきました。本件については、別の機会に詳しく述べたいと思います。

また東京都では、今年度から「公金管理ポリシー」という新たな取り組みに着手しています。これは、信託銀行との「元利保証型の金銭信託」の共同開発や、「円建て外債」や「ユーロ債」での運用など、運用商品の多様化を進めています。先日、この取り組みについて都の会計管理局の方に詳しくお話しを伺いました。これは、高収益を狙ったものというよりは、安全性を最優先とする原則は変えずに、国内外の金融環境の変化に柔軟に対応し、グローバルな視野で引受先を多様化し、拡大していくことが狙いとのことです。

地方自治法や地方財政法の条文では「確実かつ効率的な運用」などの表現で規定されていますが、具体的な運用先についてまでは定められていません。しかし公金という性格上、運用先の選定で最も優先されるは「元本割れを起こさないこと」であり、高いリスクを伴う金融商品への投資は厳しく制限されるものと考えます。

本区の積立基金運用先の選定についての考え方を、改めて確認します。また、その多様化を図る場合には、どのような可能性があるとお考えでしょうか。所見を伺います。

運用債券の期間に関するポートフォリオについて伺います。運用期間が長ければ長いほど、高い利回りが得られることは言うまでもありません。

区の本年度の管理計画では、「5年程度の運用期間内で年度毎の償還金額の平準化をはかる、いわゆるラダー型構成を原則」としています。

流動性の確保から、ラダー型のポートフォリオは妥当であると思います。しかし、期間については、管理方針では上限10年までと定めているにもかかわらず、実際は、計画に記載されている通り全て5年以内で運用されています。先の決算特別委員会で、この理由を尋ねた際には、「将来、金利が上昇傾向に転じた場合に備えて」との考えによるものでした。

しかし、すべてを5年以内とする必要があるのでしょうか。金利が本格的に上昇するのは当面先と考えると、それまでの期間の機会損失の発生とも考えられます。短期運用を継続しながら金利上昇を待つだけではなく、部分的にでも長期で運用し、確実に、相対的に高い金利の長期債券を確保していくのも一つの考えではないでしょうか。見解を伺います。

債券での運用を行う際、管理方針では「パー(額面価格)またはアンダーパー(額面価格未満)」の債券購入を原則とし、「選択の余地のない場合」に限り、オーバーパー、すなわち購入価格が額面価格を超える債券の購入ができるとし、オーバーパー債券の取得は極めて限定的なものとしています。

たしかに、オーバーパーの債券は、満期日に受け取る額面金額が購入金額を下回り、償還差額が発生するため、元本割れに当たるように思えます。しかし、債券による資金運用で得られる収益(リターン)には、償還差額だけではなく、利息もあるわけです。「債券を購入してから満期日までの運用期間全体を通じて受け取る利息の合計額」が償還差額を上回っている限り、すなわち利回りがプラスである限りは、オーバーパーの債券で運用しても元本割れには当たらないと考えます。

改めて、オーバーパー債券の購入を、極めて限定的としている理由は何でしょうか。また「選択の余地がない場合」というのはどのような場合なのか。さらには本区におけるオーバーパー債券の購入実績についても、お聞かせ頂きたいと思います。

最後に、戦略的な財務活動とそのための体制整備について伺います。

ファイナンスの活動には、全体最適かつ長期的な視点に立った判断が必要であり、その結果を評価検証し、PDCAサイクルの中で管理する体制の充実が望まれます。また、長期的な市場動向等の見通しや予測には不確定要素が多く、潜在するリスクを適切に管理する仕組みも必要です。

本区には金融の専門家である基金管理監がいますが、そういった方のお力も借り、金融市場の変化に適時・的確に対応できるよう、担当職員がより高度で専門的な金融知識を習得し、磨く努力を行うべきであると考えます。

とはいえ、金融機関で一般的に行われているような、専門的なシステムや分析手法を用いた日常的なリスク管理を、一地方自治体である杉並区が行うことは現実的ではありません。しかし、事前に一定の複数シナリオを想定した上で試算等を行っておき、それらに対する対応策を検討しておくといったことは必要ではないでしょうか。

庁内の体制について、現行では、資金調達は政策経営部財政課が、資金運用は会計管理室会計課が所管しています。しかし、調達も運用もファイナンスの両輪であり、全体最適を図るためには、日常の業務及び管理における連携強化、あるいは一体化も検討課題であると思います。

また本区の取り組みを、相対比較して評価するため、他の自治体の実績等から本区なりのベンチマークを設定し、それを達成するための戦略を立て実行していくことも有益であると考えます。

いま申し上げた人材育成、全体最適・長期目線のマネジメントの仕組み、ベンチマークの設定といった、本区としての戦略的な財務活動を可能にする体制の整備について、調査研究するべきではないでしょうか。最後に区の所見を伺って、私の質問を終わります。(以上)