核共有について
〇ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、我が国では核共有の議論をするべき、との主張が一部の政党・議員より出ています。公明党は、日本が核共有することに対しては反対です。
〇悲惨な歴史を繰り返さないためにも、世界は核兵器の縮減・廃絶へと向かっていかなければなりません。
○現在、核共有(Nucrlear Sharing)のシステムを採用しているのは NATO です。冷戦下、西ヨーロッパ諸国は、ソ連の核に対して、圏域内のイギリスとフランスが保有している核兵器に加え、アメリカの核兵器を配備(共有)することを抑止力とする体制を構築しました。現在、ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコに配備されているとみられていますが、その抑止・防衛体制は、1)通常戦力、2)核戦力、3)ミサイル防衛能力の組み合わせにより構成されています。
〇核兵器自体を保管・管理・警備するのはアメリカ、そして、それぞれの NATO 加盟国は自国の核兵器搭載可能航空機(DCA)により、移動運搬を行うことが想定されているそうです。
○核使用の意思決定には、NATO 加盟国の全会一致の承認と、アメリカ大統領とイギリス首相の認可が必要です。意思決定がなされた後は、米欧州軍司令官の指令により、核兵器を管理する米軍部隊に核兵器移送の指令が下され、NATO 軍事委員会の承認を受けた欧州連合軍最高司令官と同盟国の DCA 部隊に指令が下される、というプロセスになります。
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〇翻って、日本がアメリカの核兵器を「共有」することについて、私は以下の課題があると考えます。
◆ アメリカの立場
〇軍事評論家の小川和久氏は、こう述べています。「米国が、日本が敵地攻撃能力という『戦争の引き金』を持つことを認めるか、という問題を忘れてはならない。認めれば、場合によっては、米国は望まない戦争に引きずり込まれるリスクを背負い込むことになる。だから、何があっても米国のコントロール下にある形でしか敵地攻撃能力を認めることはない。」と。
〇そもそも、日本における核共有の議論のきっかけは、ロシアによるウクライナ侵攻です。「日本が攻撃された時にアメリカは来てくれるのか?」 という懸念です。上のNATOの事例のように、核使用の意思決定は日本が単独でできるものではなく、アメリカ次第となります。核共有をしたところで、アメリカが ”YES” と言わない限り、結果的に使用できない。結局は、ウクライナに始まる議論の前提と同じです。
〇日本の核共有のアメリカにとってのメリットは何か。わざわざ日本を意思決定に加えることに、どのようなメリットがあるのか、という視点です。
◆ エスカレーション・ラダー
〇ラダーとは、”はしご”です、「戦争に至る、あるいは戦況をエスカレートさせる階段」とでも言いましょうか。国際法で、自衛・防衛の戦争のみが認められている現代では、はしごを先に登ったのは誰か、が問われる時代とも言えます。つまり、攻撃できる理由・口実を相手に与えてしまった方が、負けとも言えるのです。日本に対して攻撃するような口実を与えてはいけない。実際、ロシアのウクライナ侵攻でも、「エスカレーション・ラダーを登ったのは(東方拡大を行った)NATO(アメリカ)である」が、口実となっています。
〇日本への核共有という行為は、相手国から見れば、緊迫した情勢下において、日米が先制核攻撃の準備をしていると映りかねません。日本が先にエスカレーション・ラダーを登ったとなる可能性があるのではないでしょうか。
◆ 地政学上の影響
〇日本が核共有を行った場合、他の地域(韓国、北朝鮮、台湾、アメリカ、ロシア、中国、ASEAN、インド、オーストラリア等)との国際関係に大きなインパクトが加わります。日本はロシア、中国、北朝鮮の核保有国に隣接しており、安全保障環境は緊迫しています。一方で、その先の ASEAN や大洋州などには、非核地帯が広がっています(東南アジア非核兵器地帯条約、南太平洋非核兵器地帯条約)。また、核保有国で NPT に加盟していないインドも加わっている QUAD(日米豪印)の枠組みもあります。非常に複雑で入り組んだ周辺環境の中で、微妙な安全保障のバランスが保たれていると言ってよいでしょう。ここに、日本に核兵器が配備されるという新たな局面が加わることで、このバランスがどのように変化するのか、影響は計り知れません。
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○核共有を議論するということは、日本が長年にわたって「国是」としてきた非核三原則の放棄を議論することになります。リスクは小さくありません。
〇原爆投下の日を迎え、外交・軍事の素人の私なりに考えました。このブログを書くに当たって、公明党のいさ進一衆議院議員の YouTube も参考にいたしました。
『いさ進一チャンネル』 ⇒ https://youtu.be/s573PZpXZl4
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