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中村(なかむら)やすひろ

「手話言語」について

昨日、武蔵野プレイスにて開催された、戸田康之氏の「ろう教育実践」の講演会に参加しました。

戸田氏は、埼玉県立特別支援学校大宮ろう学校の教諭で、朝霞市聴覚障害者協会会長、NHK手話ニュースキャスターも務められています。

ろう学校で実践している教育内容や、「デフフッド」という概念を取り入れた教育実践の紹介がありました。

1.「日本手話」と「日本語対応手話」

まず前提として、「手話」と一口に言っても、何種類もあり、それぞれ文法や表現方法が異なります。代表的なものは、「日本手話」と「日本語対応手話」です。

日本手話 ・・・ ろう者による伝統的な言語。表情や口形、手の位置や方法、表現の強弱や速度にも意味を持たせます。文法が日本語と大きく異なります。

日本語対応手話・・・ 音声言語である日本語に、手話単語を対応させるもので、日本語の通りに口も動かします。中途失聴者や健聴者に受け入れやすい傾向にあります。

両者の違いとして、例えば、「~しなければならない」を表現する際、下の図のように、日本語対応手話では「やる」「ない」「必要」とするのに対し、日本手話では「やる」「必要」となるのです。

日本手話を第一言語としているろう者は、日本手話と日本語対応手話を相手や場面に応じて使い分けたり、併用したりしているそうです。

2.「ろう通訳」

上記の通り、日本手話は日本語とは構造、文法、表現方法が全く異なります。よく私たちが目にするのは、①【音声発言者】⇒②【聞き取っての手話通訳(=聴こえる人)】ですが、実は、さらに③【②の通訳】の必要性が注目されているそうです。

戸田氏によると、コミュニケーションの文化は、「ローコンテクスト」と「ハイコンテクスト」に分類することができ、「コンテクスト」とは「文脈」の意味で、ローコンテクストは言葉による『直接表現』に重きを置き、ハイコンテクストは言葉以外の『文脈』に重きを置くという、言語によるコミュニケーションスタイルです。日本語をはじめアジアの言語やフランス語、イタリア語などはハイコンテクスト、英語やドイツ語などはローコンテクストに分類されるそうです。日本手話は、日本語と異なりローコンテクストです。

例えば、病院で医師が最後に、「お大事に」と言うと、患者である私たちは「診察が終わった」と察知して、席を立ちます。一方、日本手話では、「お大事に。診察は以上です」までの説明で、診察が終わったことの伝達になるとのこと。

そのため、そうした日本手話の文化に「通訳」し直さなければ、本当の意味でのコミュニケーションにならないとのこと。

3.「デフフッド(Deafhood)」

これは、生まれつきのろう者であり、イギリス・ブリストル大学ろう者学センターの教員を務めていたパティ・ラッド(Paddy Ladd)が作った言葉です。ろうであること=「手話を言語として使う、ろう文化を生きる存在」ととらえ、ろうの世界と聴覚の世界の間で、ろう者自身の生き方をどのように探求していくのかを提唱しています。つまり、ろう者の「自分探し」なのです。戸田氏が勤める大宮ろう学校では、こうしたデフフッドの視点を教育にとり入れています。

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手話、ろうの世界は深いです。これからも勉強していきたいと思います。