「投票マッチング」の顛末について
昨日、杉並区議会の総務財政委員会が開催され、杉並区選挙管理委員会が導入を画策し、最終的には断念することになった『投票マッチング(ボートマッチング)、以下VM』の顛末について報告がありました。
まず、VMの概要についてご説明します。
『投票マッチング(ボートマッチング)』とは?
利用者が、自身の考えに近い立候補者を知ることができるインターネットサービスです。
立候補者:選挙で争点となりそうな政策や問題に関するアンケート(設問)について、立候補者が事前に回答します。
利用者:利用者は、告示日の翌日以降に、パソコン・スマートフォンから同じ内容のアンケート(設問)に回答することで、「利用者自身の回答」と一致率が高い立候補者を知ることができます。
(注)投票マッチングは多数の立候補者の中から自分の考えに近い立候補者を選択する一つの手段であり、投票への一助となるものです。投票の際には、投票マッチングによるマッチングのみで判断することなく、選挙公報や立候補者のホームページ等、さまざまな媒体を参考にしてください。
(杉並区ホームページより引用)
区選管が、一度導入を決定したものの、その後断念するに至った過程において、関係する事柄を時系列で示します。
(杉並区選挙管理委員会より区議会に提出された資料より抜粋)
<令和4年9月>
◆ 杉並区選挙管理委員会定例会でSNSやインターネットを活用した啓発事業について意見交換。
<10月>
◆ 東京青年会議所とSNS等を活用した若年層の選挙啓発について意見交換を行い、ボートマッチの紹介を受ける。
◆ 区選管定例会で事務局からVMを紹介し、実施の是非について意見交換。
<11月>
◆ 16日、区選管定例会で事務局からVMの目的、概要、効果等を説明し、実施を決定。
<12月>
◆ 区選管定例会で、事務局から投票率アップ企画委員会の概要等を報告し、了承される。
<令和5年1月>
◆ 16日、東京都選挙管理委員会と投票マッチング(VM)に関する協議 ⇒ 直ちに公選法に抵触するものではないが、公平性、中立性に配慮し、区選管の責任と判断で実施するものと考えるとの見解が示される。
◆ 31日、総務省の担当者から都選管宛てにVMについて懸念が伝えられ、都選管としても懸念を抱いている旨の連絡を受ける。
<2月>
◆ 10日、都選管から確認事項の通知が来る。
確認内容としては、
① 区選管がVMを行うことは、公職選挙法に規定する特定公務員の選挙運動の禁止規定に抵触するのではないか。
➁ 公営ポスター掲示板の啓発面にQRコードを貼り投票日当日もアクセスできることは問題とならないか。
③ VMの質問(20問)を全候補者に公平に作成するのは困難ではないか。
④ VMのマッチングの算出方法が不明。明示される必要があるのでは。
⑤ 全候補者に対して公平なマッチングの運営を行うための説明方法について。
⑥ 争訟リスクについての考え。
◆ 13日、都選管からの確認事項①~⑥について区選管から、本事業は啓発活動であり選挙活動はないため、公選法に抵触するものではないと考える旨の回答を返す。
◆ 14日、総務省から、全国の都道府県選挙管理委員会事務局宛てに、「第20回統一地方選挙における啓発活動に係る留意事項について」の通達が出され、選挙管理委員会が主体となってVMを行うことについては、課題や懸念があるとの考えが示される。
◆ 15日、区選管でVMの取り扱いを協議し、中止を決定。中止の理由としては、区選管がこの事業を行うことは選挙運動と認められるおそれがあること、選挙後の争訟において選挙無効と判断されるおそれがあることなどが、総務省や都選管から指摘されたことを受けたことによるもの。
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以上が、”こと”の顛末です。
混乱を来した結果になったので、導入を決定、公表する前の段階で、もう少し綿密に、区選管が都選管(総務省)と確認作業をしておく必要があったことは、言うまでもありません。
しかし、私自身、VMの話を初めて聞いた時は、瞬間的に驚きをもって受け止め、「これも時代の趨勢か」との感想を先に抱きました。区選管が若年層の投票率向上のために様々検討を行っていたことを理解していましたので。
今回は、「公正中立」が求められる選挙管理委員会が、こうした事業を「主催」することが問題であるとのことでした。ただ、民間が行うことは、何の問題もありませんし、議員(候補者)の立場として、ネットメディアを含め、自身の考えや政策を広く、多くの方々に伝えるツールを使っていくことは、今の時代では必須です。大きな大きな課題と思っています。
