資金管理方針の改正経緯と検討プロセス
資金管理について伺ってまいります。資料は、47と137、それと令和5年度、6年度の資金管理計画を使わせていただきます。
まず、資金管理方針は、平成18年4月1日の施行以来、これまで9回改正されています。この基本的な方針の改正は、どのような状況でどのように検討し、どのような手順で行われるのか。
債券市場の状況ですとか区政の動向等を踏まえまして、基金管理監の助言を受けながら会計課、会計管理室内で検討を行い、それを副区長、区長に説明の上、会計管理室長決裁により決定をしているといったことでございまして、決定後は速やかに区公式ホームページに掲載をするといったことを行っております。
資料137で、平成28年4月1日では、効率性について、これまでは配慮というところが、追求していくというふうに変わりました。それに加えて運用期間も、原則10年から、20年もあり得る、妨げないというふうな記載に変わりました。これは、どういう状況で、なぜこういうふうな変更をしたのか。
まず、全体につきましては文言修正に類するもので、改正前は効率性と運用収益の最大化というのが併記されていて、効率性って何なんだというのが定かでなかったので、効率性の意味を運用収益の確保と明確にした、これは文言修正に類します。後段に関しましては、この時期は低金利の状況が長期化していたことがございまして、比較的利率の高い長期債券の運用を選択肢に含めたといったものでございます。
今のと関係するのかと思いますけれども、令和4年4月1日のときには、積立基金の債券運用に関しては、公共債の割合をこれまで原則50%以上としていたのが、35%以上ということでその割合を下げました。その理由を確認します。
こちらもお見込みのとおりでございまして、公共債による運用では収益が得られにくいというふうな状況が続いていたため、比較的利率の高い事業債による運用割合を増やすといったことを選択肢に含めたといったものでございます。
そのときには、実はパー、アンダーパーの記載もなくなっております。その理由を聞きます。
これは既発債購入に関わるものということになりますが、既発債の購入に際しても選択肢を増やすということで、オーバーパー、つまり額面価格以上による購入も選択肢に含めたといったものでございます。
令和5年4月にも改正されましたが、それは後で聞きます。
令和6年、今年の4月1日の改正では決済性、流動性という文言が整理されておりまして、決済性預金が流動性預金に修正されるなど、決済性、流動性の違いはどういうふうに立て分けているんでしょうか。
一般に決済性預金というのは主に当座預金を指す、それに対して流動性預金といった場合には、当座預金のほかに普通預金も含まれるといったことになります。区の基金は普通預金で管理運用を行っておりますので、その実態を踏まえて文言修正を行ったといったものでございます。
預金の運用期間、これは原則2年を上限にしていましたが、これを1年としました。これは理由は何でしょうか。
まず、区では、急な資金需要ですとか預金金利の変動に柔軟に対応するため、定期性預金を預ける場合は半年ないし1年を基本としております。この実態に合わせまして修正を行ったといったものです。
このときの改正では、今年の改正では、預金保険法と金融機能の強化のための特別措置に関する法律という記載がそれまであったのが、全部削除されております。これはどういうことでしょうか。
こちらは若干専門的になりますけれども、改正前には、金融機関の破綻時に今おっしゃられた法律による救済措置が講じられることというのを預け入れの条件とする旨の記載がございました。ただし、金融機関への救済措置がこれらの法律に基づいて行われるか否かということは、実際に破綻事案が生じた場合に個別具体的に国のほうが判断するといったことになってございます。したがいまして、事前に適用されるあるいはされない金融機関が定まっているといったものではございませんので、これを預け入れの条件とすることは規定として妥当ではないということで削除したといったものでございます。
資金管理計画に関して伺っていきます。
先日、他の委員の質疑でもありましたけれども、区の基本的な資金管理の原則というのは、一つは安全性、流動性、これを前提として効率性を追求するものということであると理解しております。読みますと、令和5年度の資金管理計画から少し効率性に比重が傾けられているように読めるんですけれども、その理由についてお示しいただきたいということと、実際に積立基金の運用実績、預金と債券の比率、どのように変化しているのか、お聞かせください。
まず、御存じのように、令和5年の3月に日銀総裁が替わりまして、この当時、既に金利上昇の兆しが見え始めていたといったことがあって、効率性、つまり収益性重視の姿勢を打ち出したといったものでございます。この計画に基づいて令和5年度運用を行った結果、基金残高に占める預金と債券の割合が、4年度末45対55に対して、5年度末は43対57になったということで、債券比率が若干上がったといったことでございます。
債券の購入、保有に関して、これまで5年満期のラダー型ポートフォリオということを基本としていると思いますけれども、5年度の資金管理計画からは5年を超える債券も運用していくというふうな形で、6年度もそうなんですけれども、長期化が進められております。そもそも長期化に方針を傾けた理由は何でしょうか。
御存じかと思いますが、近年、基金残高が増加してきているといったことがございます。若干専門的になりますが、5年のラダー型ポートフォリオの場合は、年間を通じた償還額と同額の5年償還債を1年間通して購入するといった考え方になってくるわけですけれども、基金残高の増加分というのは当然に償還額を超過する分だということになります。その超過する分をどう運営していくかということで、その分の一部を利率の比較的高い5年を超える債券購入に回すといった考え方に立ちまして、このような記載の変更を行ったといったものでございます。
資料137番で、過去5年間の区が保有する債券の平均残存年数というのを出していただきました。これはどのように5年間で推移しているでしょうか。
令和元年度から申し上げます。元年度が平均5.22年、2年度が4.89年、3年度が4.59年、4年度が4.12年、5年度が4.15年と推移してございます。
課長、先ほど長期化というふうな方向に今進めているということでしたけれども、実は残存年数を見ると、逆に平均残存年数は短くなっているんですね。これはどういう現象でしょうか。
過去のゼロ金利あるいはマイナス金利の時期に、5年債ではほとんど収益が得られなくて、より償還年限の長い債券を購入したといった時期がございました。そうした時期に保有債券の平均残存年数が長くなった。それから、そうした時期に購入した長い債券が残っていた、ウエートが大きい時期があったといったようなことがありまして、先ほど申し上げたような推移になってございます。
この間ずっと財政の話もしてきておりますけれども、確かにこの数年間で基金の残高、積立額が増えているということも一つこの要因にあるということなんですけれども、確かにこれを見ますと、債券の保有額も、令和元年度は331億円だったのが5年度末では543億円に増えているということです。ただ、長期化するということですけれども、長期化はいいんですけれども、そうすることによって金利変動のリスクが発生する可能性があります。また、債券価格が下落するリスクもありますね。さらには、今課長もおっしゃられましたけれども、流動性に対するいざというときのリスク、これも高まりますけれども、このリスク対策というのは所管としてはどういうふうに取っているんでしょうか。
まず、区では満期保有を原則としておりますので、金利変動や債券価格下落のリスクは免れるものと認識しております。流動性につきましては、まず預金を400億円程度維持する、それから毎年度の償還額を80から90億円以上とするといったことを前提として債券運用を行っておりますので、中途売却を行うことなく、基金全体として流動性が保たれるように運用を行っているところでございます。
同じく当該年度、5年度以降は、債券購入の機会を広げるため、新発債だけではなく、既発債市場の活用も行うというふうなことが計画でも明記されております。これまでの5年度と6年度の既発債の購入実績を確認させていただきます。また、新発債、既発債、それぞれ購入する際の判断はどういう基準に基づいているのか、既発債を購入する条件はどのように区として設定しているのか。
額面金額でお答えいたしますけれども、令和5年度は年度内に購入した債券123億円のうち68億円が既発債、令和6年度は8月末時点で41億円のうち21億円が既発債というふうになってございます。購入する条件についてですが、新発債か既発債かで特に違いを設けているわけではなくて、いずれもA格以上の格付で利率の高いものを選択しているといったところでございます。
利率というか、トータル利回りということですかね。
債券を満額保有するというのがこれまではずっと基本でしたけれども、例外措置として中途売却、これは先日の質疑でもございました。これまでは12件の実績があると。それを行った理由としては、課長の答弁によると、売買収益が満額運用による利金収入を上回ったためということでありました。そのうち11件がマイナス金利の債券であったということで、今後もこのやり方を継続していくのか、売買収益と利金収入を比較して、それを見ながら行っていくのか、その辺に関してお聞かせください。
先日もお答えしたところでございますけれども、中途売却は債券にマイナス金利がつくという特殊な状況に限られるオペレーションでございまして、通常はあり得ない。今後我々が生きている間はあり得ないんじゃないのかなというふうなところでございますので、区においてはあくまで満期保有が原則と考えております。
金利動向について伺います。日銀は7月の政策決定会合で政策金利の誘導水準を0.25%程度に引き上げました。ただし、9月20日の会合ではさらなる利上げは見送られたという状況です。そのときの植田総裁の記者会見では、金利引上げの姿勢は保ちつつも、様々なことを確認していく時間的な余裕があるというふうな含みを持たせました。ということは、今後、国内経済も当然ですけれども、アメリカFRBの金融政策、またそれに基づくアメリカの経済動向、それに対して対ドルの日本円の為替動向などがポイントになると思いますけれども、区はこういった情報をどのように分析して、どのように対応していく考えでしょうか。
これについてはお答えしたいことは非常に多くあるんですけれども、1点だけ申し上げます。直近の話になりますが、7月末に日銀が政策金利を上げた、それにもかかわらずアメリカ経済の雇用統計が弱含みとなって、FRB金利の引下げ観測が流れた、それで8月以降、日本の債券市場の金利はむしろ低下したといったようなことがございました。こうしたことも見ますと、今後は、日本はもちろんですけれども、アメリカの経済指標とか金融政策の動向、これについて特に注視、着目していくべきものかというふうに考えております。
どういう対応をしていくんですか。
具体的に、直接はアメリカのFOMCが今後どう動くか、例えば0.25なのか0.5なのかという話になりまして、それをある程度見ていくためには、雇用統計や物価統計とかそういったものが大事になってくる。なぜ大事かといいますと、結局、これだけアメリカのFOMC、FRB金利に引きずられるということになりますと、日銀が多少意地を張って金利を上げようとしても、あるいは上げたとしても、債券市場の金利が上がるのかというと、分からないんですね。今も、一時期1.1まで上がったのが、今0.85より低い水準でずっと推移していて、これが戻るのか、FOMCの動きを見れば、むしろ横ばいか下がるんじゃないかと。下がるのであれば、1年間でこのぐらい買おうと決めているんですが、今のうちに買っちゃったほうがいいだろうという話にもなります。でも、1.1まで一度行ったんだから、日銀がちょっと意地を張ればもうちょっと金利が上がるんじゃないかというふうな見方もあります。ですから、そういったことを考えていきますと、そういった動向を見ながら、急いで買うのか、もうちょっと待つのかといったようなことを考えているといったところが現状でございます。
鋭い分析、ありがとうございます。
ESG債の導入背景と現状の保有状況
最後に、ESG債について聞きます。
令和5年4月1日の方針の改正で、基本構想の実現とESG債というのが加えられました。これは恐らく区長が替わったということの反映だというふうに思っておりますけれども。ということで、これからの区の運用管理に関しては、これまでの安全性、流動性、効率性に加えてESG債という4つの基軸が出てくるのではないかなというふうに思っておりますけれども、現状、今保有状況はどうでしょう。
令和6年8月末時点の額面金額でお答えいたします。内訳で持ってきてしまっているんですが……
全体でいいですよ。
すぐ出ます。──127億円となっております。
一般的に言われているのは、グリーニアムという言葉があるそうで、グリーンというのとプレミアムということで、逆にESG債に関しては、投資する側から見れば、利回りが低くなって効率性に劣るというふうなことが一般的に、特にヨーロッパでは顕著だと言われているらしいですけれども、現在、今お示しいただいた区のESG債は、ほかの債券と比較して利回り状況はどうでしょうか。
区におきましては、ESG債を購入するに当たっても、まず安全性、流動性、効率性、つまり収益性、その条件を満たした上で、ESGがついていればよりよいだろうというふうな基準で、あくまで効率性、収益性の条件を前提としておりますので、区が購入しているESG債に関しましては、その他と比べて特に利率が低いといったような認識は持ってございません。
じゃ、最後の質問です。このESG債の公表に関しては、過去、令和5年度の計画では公表ということを言っていたんですね。ただ、令和6年度の計画ではその公表という言葉が消えているんですね。公表ということはするんですか、しないんですか。区の見解を最後に伺います。
ESGについては、購入割合について従前から「基金運用の概要」ですとか「財政のあらまし」で公表しているところでございまして、当然これについても続けてまいります。資金管理計画の文言の変更によって公表している情報量が減ったといったようなことはございません。今後も継続してまいります。