コロナ対策と業務継続計画(BCP)の検証
杉並区議会公明党の一員として、区政一般について質問を行います。
杉並区は、昨年度64事業、651億円、本年度はこれまで、延べ74事業、143億円の新型コロナウイルス感染症対策を講じてきました。大規模となった区のコロナ対策には、それらを執行する多くの職員の労力も投入されてきています。
本区においては、感染症のパンデミック発生時に、どの業務を実施、継続し、どの業務を停止するのかについて、平成22年に杉並区業務継続計画(以下、BCPと言います)【新型インフルエンザ編】を策定し、27年にはそれを【新型インフルエンザ等編】と改定いたしました。昨年、新型コロナウイルス感染症の拡大以降しばらくは、この新型インフルエンザ等編を準用し、昨年10月にコロナ対策用として、業務の見直しを行いました。
現在の区内コロナ感染者数は、第5波のピーク時に比べて極めて低いレベルで推移しております。しかし、今後、事態が急変することは否定できず、そういう意味でも、コロナ対策は現在も進行中であります。
本日は、BCPの基本方針である区民の安全確保、区民生活の維持、職員の安全確保、基盤業務の維持をより高いレベルで実現していただきたいとの思いから、昨年からの区のコロナ対策を振り返り、BCPと業務執行について伺ってまいります。
まず、状況把握と対応の経過について伺います。
議長、ここで資料の提示、よろしいでしょうか。
はい、どうぞ。
この表で示しているとおり、BCPでは、感染症の発生から拡大による社会状況や区政への影響度合いに沿って、海外発生期、国内発生早期、都内発生早期、都内感染期第一ステージ、第二ステージ、第三ステージと発生段階の区分を設定し、区はそれぞれの段階に対応する専門の組織体制を構築するとしています。発生段階の移行は、必要に応じて国と協議し、東京都が決定するとされております。
昨年の新型コロナウイルス感染症の発生以降、実際にBCP上のそれぞれの区分に移ったのは、いつ、具体的にどのような状況によるものだったのでしょうか。また、それぞれの区分移行に伴い、区はどのように組織体制を整えてきたのでしょうか、時系列でお示しください。
また計画では、小康期に移行すると危機管理対策本部を廃止し、健康危機管理保健所対策本部に切り替えるとされております。これは、現在のコロナウイルスの感染状況がどのような状態になったときが想定されているのでしょうか、お聞かせください。
コロナ対策における指標・データの活用
次に、指標、データの活用について伺います。
これまで国は、新規感染報告者数や感染経路不明割合などの感染状況を表す指標や、療養者数や病床の逼迫具合などの医療提供体制の負荷を表す指標を通してステージを設定し、対策強化の目安としてきました。先日の政府分科会では、医療逼迫状況をより重視する新たな指標を採用することが示されています。
また、東京都においても、7つのモニタリング指標を設け、感染状況や医療体制について専門家が分析し、注意喚起等の判断基準としています。
このような国や都が公表している指標に加え、区においても、コロナ感染状況等に関する様々なデータが収集されてきたと思います。そこで、区が状況分析や政策判断を行うに当たって最も重視してきた指標、データは何であったのか、また、区はそれらをどのように対策に活用してきたのか、お聞きいたします。
BCP発動基準、職員服務体制、業務選定と執行、テレワークの課題
次に、BCPの発動について伺います。
BCP上では、発動基準として、区長が区職員の欠勤率や感染状況等により判断し必要と認めた場合と、新型インフルエンザ等の緊急事態宣言が行われた場合の2つの条件が示されています。これは本来、どちらか一方の状態になれば発動することとなっているのか、もしくは両方が満たされた場合なのか、確認をいたします。
そしてその上で、実際にこの間、区がBCPを発動、また解除を行ったのはいつなのでしょうか。
また、さきの「広報すぎなみ」9月1日号で、保健所機能強化のため、BCPを発動することが掲載されましたが、これ以外のタイミングで、区がBCPの発動を外部に向けて発信したことは見当たりません。BCPの発動と解除について、区役所内での連絡、通達、及び外部に向けての公表はどのように行うこととされているのか、お答えください。
職員の服務体制について伺います。
BCPは、職員本人や家族等が感染したことなどにより出勤ができず、最大の欠勤率が40%、すなわち通常の60%の人員で業務に当たることを想定して計画化されております。
昨年4月8日、人事課長、職員厚生担当課長、危機管理対策課長名で「BCP発動等に係る職員の服務上の取扱いについて」との通知が、各所属長宛てに出されました。感染リスク低減のため、職員に自宅待機を命じて、交代制勤務または職場の一部閉鎖等を行う旨の指示を伝えたものであります。
この通知を受けて、職員の出勤はどの程度まで抑制されたのでしょうか。また、自宅待機や交代制勤務はどれだけの期間続けられ、現在の服務体制はどのようになっているのか、お答えください。
業務の選定について伺います。
BCPでは、区の全ての業務をS、A、B、Cの4つの区分に分け、非常時に、限られた職員体制において執行する業務の優先順位を定めております。感染状況への応急的な対応のため新たに発生するS業務と、区民の生活に必要不可欠なA業務を優先業務とし、それ以外のB業務、C業務は、状況に応じて一時的に停止するとしています。
当初のインフルエンザ等編ではS業務が68であったのが、新型コロナウイルス感染症対策用ではそれが158に、A業務は460が688へと、優先業務数は大きく増加しました。コロナ対策を行う中で、より実態に近い形へ見直された結果であると思いますが、この業務数の増加は、主にどの部門のどのような業務なのでしょうか。また、優先業務の増加の背景として、コロナ禍により、区政が受けた影響にどのような特徴があったのか、お示しください。
実際に、BCPが発動された期間において、S業務とA業務が執行できないという事態はなかったのでしょうか。全て想定どおり実行されてきたのか、確認をいたします。
また、B業務、C業務の中で、実際に縮小あるいは停止を行った主なものをお示しください。逆に、停止することが計画されていたものの、現実、停止は不可能と判断され、あえて継続した業務はあったのでしょうか。あればどの業務か、停止が不可能とされた理由、背景と併せてお示しください。
業務執行について伺います。
BCPの規定では、BCPの発動自体が業務執行を変更する直接のトリガーとはされておらず、発動を受けて、対策本部及び各部各課がそれぞれの業務の継続や停止を判断し、状況に適した対応を取るとされています。
このことは、一番正確に現場の状況を把握している各所管の考えを尊重しているからであろうと理解します。しかし一方で、BCPは区役所全体としての業務体制を定めたものであり、現場に判断を委ねた場合、結果的に一部の部署に過度の負担が偏ってしまうことも考えられます。全体のバランスを見ながら適切に管理していくためには、全庁的な状況分析と、それに基づく判断も必要となってきます。
また、コロナ対策は多岐にわたり、業務執行についても、新たに発生したもの、従来より行っていたのが大きく増加したもの、外部委託等が可能なもの、内部だけで対応しなければならないものなど、多種多様なパターンがあります。
この間、区は、新たな業務や既存業務の増大に対応するため、新しい組織の編成や、全庁的な応援体制の構築などに取り組んできたと理解しますが、一連の業務量の変化と必要な人員配備についての分析、そして各所管と対策本部や人事担当部門との調整はどのように行われてきたのでしょうか。また、こうした調整作業を行う上で最も困難を伴ったのはどういう点であったのか、お聞かせください。
具体的には、最大に影響を受けてきたのは保健所であることは間違いないでしょう。疫学調査、入院勧告、患者及び濃厚接触者の健康観察、発熱外来・検査スポットの検査予約や輪番従事医師の調整、受診・相談センターでの相談受付、区内医療機関や医師会との緊急対策会議や自宅療養者支援検討会の開催、区独自のPCR検査、そして短期間での大規模なワクチン接種体制の整備運営に至るまで、保健所は、コロナ対策の中心的な役割を果たしてきました。最前線で奮闘されてきた職員の皆様には、大変な御苦労があったと思います。
こうした保健所の急激な業務量の変化に応じて、その都度、保健師及び事務員の応援や増配置、看護師等の派遣職員の増員などが行われてきました。本年4月22日には、保健所保健予防課保健師業務への応援体制を対策本部として決定し、週ごとの1日当たりの平均新規感染者数35人とのベースラインを設け、感染者数がベースラインを10人超えるごとに、4人ずつ派遣人員を増やしていくことを決定しました。
区内での感染状況を振り返ると、本年7月5日の週に平均41名の新規感染者が発生し、その後、9月6日の週まで連続10週間にわたりベースラインを超えた感染状況が続きました。4月22日の対策本部決定による保健所への人員派遣の応援体制は計画どおり行われてきたのか、確認をいたします。
さらには、その後、第5波で感染者が急増し、7月初旬に50人程度であった区内の自宅療養者が、僅か1か月の間に、一気に1,000名規模にまで膨れ上がりました。そして9月1日以降は、自宅療養者支援ステーションの設置に伴い、本庁職員66名が応援に派遣されるなど、さらなる体制強化が行われました。
感染者の発生数に応じた体制整備など、流動的かつ急激な状況変化にあって、保健所への応援体制は困難を極めたと思われます。実績として、派遣元部署ごとの延べ派遣人数及び派遣期間、また派遣元で人員が減ったことによる業務への対応はどのように行ってきたのか、お示しください。
突発的かつ大きく業務量が増加したものは、保健所以外にもあります。特別定額給付金事業や、新型コロナウイルス感染症対策特例資金等に関する産業振興センターでの相談事業なども、膨大な業務が突如として発生、あるいは急激に業務量が増加しました。これらの業務についても、他部署からの応援体制はどのように行われたのか。前の質問と同様に、派遣元の部署ごとの延べ派遣人数と派遣期間、そして派遣元での業務対応についてお聞かせください。
続いて、テレワークについて伺います。
BCPでは、職員の通勤時や職場での感染予防のため、在宅勤務が検討事項とされています。実際、区では、本年3月より、テレワーク専用端末100台を導入し、在宅勤務型テレワークの試行実施を行っています。
テレワークについては、地方公務員法で定める職務専念義務への対応やテレワークに適する業務の選定、現場に出向くことが必須な業務との区別、職員の配置、情報セキュリティー、人事評価の仕方など、様々な課題が考えられます。
改めて、今回のテレワークの試行実施を通して、今申し上げたことなども含めて、浮かび上がった課題に対する検討状況を伺います。
また、今後の本格実施の予定について、さらには、コロナ禍が終息した後のテレワークの実施について、区の考えをお聞かせください。
外部機関との連携による非常時対応
次に、外部機関の非常時対応について伺います。
BCPでは、区が委託する業務についても、非常時の対応を委託先と調整し、委託先の調整が困難な場合には代替策を検討するなど、必要な対策を講じておくものとしています。しかし、委託先に限らず、外部の関係機関の活動には、区が行う業務と連動しているものも多数あります。とりわけ、区内医療機関における専用病床の確保や在宅医療などの医療提供体制は、保健所が行う自宅待機者の健康観察や入院調整等の業務にとって、大変重要な要素となります。区内医療機関における非常時の対応について、区のBCPと連動した体制整備が必要と考えますが、取組状況はいかがか、お聞きいたします。
そのほか、保育や高齢者・障害者施設なども区が行う保健福祉事業と密接なつながりがあり、そうした外部機関との調整も検討課題ではないかと指摘をしておきます。
BCPの実効性向上と組織の対応力強化
最後に、BCPの実効性を高める取組について伺います。
昨年来のコロナ対策は、想定できなかった状況の連続でありました。これまで誰も経験したことがない事態に直面し、計画外、想定外のことにも迅速に対応することを求められ続けてきた約2年間であったと思います。また、区の対策が国や都の動向に大きく左右されることも多々ありました。とはいえ、BCPが形骸化してしまっては意味がなく、これまでの対応を評価・検証し、より実効性の高いものへと改善していかなければなりません。
特別定額給付金が行われたときには、BCPにこの事業は想定されていませんでした。また、現在のコロナ対策用は昨年10月に見直しを行ったもので、今年に入ってからの新型コロナワクチン接種の体制整備や運営に関する業務などは含まれておりません。計画の継続的なアップデートが必要です。
また、現在のBCPでは、全ての業務のそれぞれの個数のみが記載されています。しかし、業務数は同じ1つであっても、実際には、必要な人員や労力、求められるスキル、そして実施する期間など、様々ばらつきがあります。業務の数だけではなく、量や質についての可視化を進めていくことも検討課題であると考えます。
そのほか、BCPに基づいた職員の研修や訓練はもとより、関連する基準や手順書など、細部にわたり見直していくことも必要かと思います。
BCPの検証、改善について、また実効性を高めていくための取組について、所見を伺います。あわせて、計画外の不測の事態に対する区役所組織の対応力の強化について、区の考えをお聞かせください。
改めて、区役所の職員の皆様が一丸となって、このコロナ禍という未曽有の難局に対峙してこられていることに深く感謝申し上げます。
長い目で見たときに、今、区が経験していることは、後に杉並区政に携わる人たちにとって、貴重な危機管理の参考事例になると思います。したがい、今後も含め、一連の対策、対応、そして課題等について、できるだけ克明に、かつ整理して、記録として残していってはどうか。このことを最後に申し添えて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
答弁
理事者の答弁を求めます。
区長。
〔区長(田中 良)登壇〕