令和元年10月1日 決算特別委員会

平成30年度の区財政状況総括

中村 康弘

財政についてと公会計について。使う資料は、いただいている資料174番、203番、区政経営報告書、30年度の財務書類、また総務省の地方公会計の推進に関する研究会報告書を使います。
 では、改めて確認します。平成30年度における区の財政状況について、改めて総括を伺います。

財政課長

30年度でございますけれども、区民税の増を見込んでいる一方で、ふるさと納税制度による減収、また国による税源偏在是正措置、そういった影響がある中、足元の増加する保育需要への対応、さらにはブロック塀の安全対策、こういった喫緊の課題にもしっかり対応しつつ健全な財政運営を行ってきた、そのように分析しております。

中村 康弘

さまざまな見方があると思うんですが、30年度に関しては、特徴的な形としては、扶助費を初めとする経常経費に関しては右肩上がりで増加し続けてきている一方で、特別区税や都区財政調整交付金等の一般財源が大きく増加したこと、これが健全な財政状況が保たれた1つの要因であると言えると思います。こうした一般財源の歳入が増加した背景について、区はどのように分析しているでしょうか。

財政課長

特別区税につきましては、この間御説明しておりますとおり、納税義務者の増、また雇用環境の改善を背景にした所得の増というところが要因と見ております。また、財調交付金でございますけれども、こちらも、好景気、景気回復状況、こういった状況に支えられながら、特に法人住民税を中心とした調整3税、こういったところが増加している、そういう要因であると分析してございます。

中村 康弘

先ほど財政課長からもお話ございましたけれども、一方で、歳入の背景に関しましては、将来的な不安要素もあります。具体的には、1つ目として地方法人課税の一部国税化の問題、2番目に地方消費税の清算基準の見直し、3つ目はふるさと納税、これらの減収要素が考えられるわけでございますけれども、この3つの課題について、区の財政面にとってどのような影響が考えられるのか。また、これからの将来的な時期的なもの等を含めて、また影響の規模について、区の見通しを伺います。

財政課長

具体的な影響額を区で算出するのは難しいという状況がございますので、特別区長会事務局のほうの試算で申し上げますと、消費税10%の段階において、地方法人課税の国税化の影響、平準化いたしますのは令和5年度ということで、特別区全体では1,295億の減収。これは、杉並区にいたしますと67億円の減収というふうに見込まれております。次に、地方消費税の清算基準の見直しにつきましては、影響が平準化いたしますのは令和3年度というふうに見込んでございますが、特別区全体で681億円の減収。杉並区で申し上げますと、34億円の減収というふうに見込まれております。最後、ふるさと納税制度による減収額でございますが、特別区全体で今年度324億円の減収。杉並区でいいますとおよそ24億円の減収。そういった影響額でございます。

中村 康弘

これから将来を見越すと、そういう大きな減収要素が立ちはだかっているということでありますけれども、そういったそれぞれのリスクに対して、区は現在どのような対策を進めているのでしょうか。

財政課長

区の対策というところでございますが、まず1つ上げられますのは、昨年度、財政運営のルールを見直したというところでございまして、持続可能な財政運営、健全な財政運営を行うためにルールを改定したという部分がございます。また、特別区全体の取り組みといたしましては、区長会を通じて国に不合理な税源偏在是正措置について申し入れを行うなど、特別区23区の考え、主張を公表している、そういったところでございます。

中村 康弘

財政の健全性についてのいわゆる判断基準について伺いますけれども、区政経営報告書とかあるいは監査の審査意見書、さまざま読みますと、従来の財政指標に基づく分析、一方で新地方公会計の財務書類の数値によるもの等、指標が非常に多岐にわたるということが感じられるわけであります。
 改めて30年度の財政状況について、従来の財政分析に基づくもの、また新地方公会計の数値、指標に基づくもの、それぞれどういったことが分析として判断されたのか、それぞれお聞かせいただきたいと思います。

財政課長

私のほうから、従来の財政指標ということで、旧ルールでも定めてございました経常収支比率でございます。こちらは、保育を初めとする扶助費など社会保障関連経費が伸びていくという中で、分母になります歳入が増加しているという状況を受けまして、0.9ポイント前年度よりも改善し、81.7%ということで、一定程度財政の弾力性は保たれているというふうに捉えております。

中村 康弘

今お話を伺っただけでも非常に多岐にわたるということで、私もこれまでも何回も財政に関する質問をしてまいりましたけれども、財政というのは、あらゆる面から判断していかなければいけない多面性があるなというのが1つの大きな難しさの要因じゃないかと思っております。ただ、指標が余りにも多岐にわたると、評価及びそれぞれに伴う対策が散漫になりかねないというふうな形で、従来の、今財政課が述べられた財政指標と、また会計課がおっしゃった財務書類、この2つの判断材料のお互いの整合性あるいは関連性について、区としてどう捉えていくのかという考え方を整理する必要性があると考えます。区の見解をお聞かせいただきたいと思います。

政策経営部長

財政を診断するための財政の指標というのは数多くあって、ともすれば、我々もそうなんですけれども、できた当時の経緯だとか、その指標の意味合いがよくよく吟味されずに使われているというような嫌いがあると思います。財政診断のための考え方の整理があって初めて指標が出てくるわけであって、最初に指標ありきではないというふうに受けとめております。
 今日的な意味でいうと、財政が健全ということは、現金主義会計の健全度と、あわせて発生主義会計での健全性を確保していくことが大事だろうというふうに思っています。ですから、そのための指標も両面のアプローチができる指標、考え方を持ってくる必要がある。今後ともそういう観点から、指標というのはその都度その都度時代状況に合わせて見ていく必要があると思いますけれども、そうした観点から指標を捉えて活用を図っていくというふうなことで進めていきたいと思っています。

中村 康弘

今部長がおっしゃったとおり、昨年度改定いたしました財政健全化と持続可能な財政運営を確保するための新ルールに基づいての総括が、私は1つの大きな参考資料になってくると思います。整理する上でという面におきましてもですね。
 というのは、昨年度改定した新ルールは、単年度の収支均衡と中長期的な財政の健全性をはかるルール、また、今おっしゃった現金主義、これは従来の決算書の数値、また発生主義、これは新地方公会計の数値、この両面からの健全性を模索する、それを5つのルールにコンパクトにまとめた、そういうものが今回の新ルールだというふうに私も思っておりまして、私個人的には、このルール、非常によくできたルールだというふうに高く評価しているところであります。
 午前中の質疑の中でも、旧ルールに基づいての30年度の総括というのがございましたけれども、というのは、実際は新ルールは今年度、令和元年度からの適用ということでありますので、30年度の分については公表されるものではありませんけれども、ただ、資料として私は174番と203番の計算をお願いいたしました。先ほど会計課長の御答弁の中にも含まれておりましたけれども、ルール上の2つの指標、行政コスト対税収等比率、また債務償還可能年数、それぞれ30年度はどういう結果だったか、改めて確認させてください。

財政課長

まず、行政コスト対税収等比率でございますが、29年度93.6%という状況から、30年度決算では92.9%となっております。債務償還可能年数でございますが、29年度の1.2年から30年度の1.0年ということで、いずれも改善方向に数値は変化しているという状況でございます。

中村 康弘

償還可能年数については後で伺います。
 行政コスト対税収等比率については、新ルールでは100%を超えないというところが1つの目標でありますけれども、30年度の結果は92.9%。ということは、幾分かは余力があったと判断できるのか、その辺に関しては区はどのような見解でしょうか。

財政課長

行政コスト対税収等比率でございますが、財政の弾力性をあらわす指標ということでございます。表現の仕方というところでございますけれども、余力と申しますか、一定程度財政の弾力性が保たれた状態であったというふうに捉えております。

基金と区債の運営状況と課題解決の進捗

中村 康弘

続いて、基金と区債の状況について伺います。
 基金と区債の運営に関しましては、平成24年度に決定いたしました「今後の財政運営のあり方」、そういうまとめを基本とした考え方により運営されてきたというふうに理解しております。平成24年度当時は、当区の課題としては、標準財政規模に対する積立基金の額の低さ、これが1つありまして、そのことを受けまして、決算剰余金の2分の1以上を積み立てていくということや、あるいは標準財政規模に対して積立金額の総額を、50%を1つ目標というふうな形、あるいは区債と基金のバランスなど、こういったことを基本として、これまで7年間、財政運営の取り組みを進められてきたと思いますけれども、平成24年度当時の区が認識していた課題に関しましては、30年度はどういうふうな状況であらわれてきたのか。

財政課長

大きく3点あったかと存じます。まず1点目でございます決算剰余金の2分1以上を財調基金に積み立てるというルールでございますけれども、こちらにつきましては、昨年度、2号補正におきましておよそ45億円を積み立てておりますので、クリアしているという状況でございます。
 標準財政規模でございますけれども、この間、財政のダムということで550億という話がされておりますけれども、この議論のベースにあるのは、標準財政規模が1,100億当時の議論でございます。30年度の額で申し上げますと1,212億ということになっておりまして、それの2分の1ということであれば、606億というのが標準財政規模の2分の1ということでございまして、30年度末の残高というのがおよそ578億でございますので、47.7%ということで、近づいているという状況にございます。
 また、基金と区債のバランスということでございますけれども、区債残高につきましては、この間、毎年の事業規模に応じて増加しているという状況ではございますけれども、世代間の負担の公平性を考慮し起債しているところでございまして、バランスは確保できているというふうに私どもとしては認識しております。

中村 康弘

財政調整基金の期末残高は425億円でありました。現状の新ルールに基づく下限目標である、維持すべき額として350億円というのを設定しております。その設定に対して、下限に対して75億円上回ったというふうにも言えると思います。この350億円については、ルール設定を行うに際して、大規模災害への対処ということで150億円、そして経済事情の変動への備えということで200億円というのを基本的な考え方としていると思いますけれども、改めて、この150億円、そして200億円、それぞれの算出根拠について説明を求めたいと思います。

財政課長

まず、災害時の備えの150億円でございますけれども、過去の震災で実際に被災した自治体の災害復旧経費を杉並区の人口に換算し直した、さらに、集中復興期間、5年間とされておりますけれども、この5年間に要する経費ということで150億という数字を算出したものでございます。
 もう一方の経済事情の著しい変動への備えの200億円でございますけれども、具体的に、リーマンショックのときの杉並区としての区税収入、また財調交付金の減収額、さらには財調基金の取り崩し額というものが4年間で200億を超えた、こういった状況を踏まえまして200億。合わせて350億という数字を下限ということで今般定めたものでございます。

中村 康弘

この下限額と現状の30年度末の差については、区はどのように捉えているのでしょうか。また、今後の財政運営にとって、こういった差額に関してはどのように関連づけられて運営されていくのでしょうか。

財政課長

あくまで私ども、下限ということでこの間説明しておりますけれども、災害への備えというものは、150億円あれば絶対安心なのかと言われると、そういった数字ではないと私どもも認識しております。これは経済事情の著しい変動につきましても同様というふうに捉えております。現在景気が回復基調にあるというところで、区税収入、また財調交付金というものが右肩上がりで伸びている、こういう状況下においてはいいわけですけれども、この状況がいつまでも続くというふうには捉えておりません。先々を見据えて、足元の行政需要にしっかりと対応しつつも、将来への備えという意味で、財調基金、さらには施設整備基金にしっかりと今後も積み増していく必要があるというふうに捉えております。

施設整備基金の積立ルール(ストック・フロー)と算出根拠

中村 康弘

次に、施設整備基金について伺います。
 現在の新ルールでは、この基金については、今お話しした財政調整基金のような基金残高、いわゆるストック指標ではなくして、毎年度40億を積み立てるという、いわゆるフローの額を指標として設定しております。改めて、何ゆえ財調はストック、そして施設整備に関してはフローというふうなルール設定としたのか。また、この40億の算出根拠についても御説明いただきたいと思います。

財政課長

それぞれの基金につきまして、ストックとフローという厳密に分けた考え方を持っているというものではございませんで、財調基金のほうにつきましては、今後の備えということで、蓄えておく部分というふうに捉えております。一方の施設整備基金につきましては、今後30年間に改修改築する区立施設というものを見据えたときに、必要な1年間の最低限の額が40億ということでございまして、この算定に当たりましては、30年間、施設白書のほうで今後改修改築が必要な施設ということで一旦見積もっております。その額を施設再編整備計画第二次実施プランのほうで再試算いたしまして、その中に、国の補助金ですとか起債、そういった特定財源も見込んだ上で、最低毎年度幾ら必要なのかということでシミュレーションして算出した額、これが40億だったというところでございます。

中村 康弘

40億と今御説明ございましたが、30年度の施設整備基金への積立額はちなみに幾らだったのか。財調基金に関しては45億と先ほどお話がございましたけれども、施設整備基金に関しては幾ら積み上げたのか、御説明いただきたいと思います。

財政課長

まず、財調基金の45億という部分ですが、決算剰余金の2分の1という意味で積み立てたのが45億ということで、財調基金全体としては87億だったと思いますけれども、積み立てております。施設整備基金につきましては、具体的な積み立てというものはございませんが、利息分ということで600万積み立てたという状況でございます。

中村 康弘

そうですね、財調基金はトータルで八十数億円ですね。施設整備基金に関しては、30年度、当該年度はほとんど利息以外は積み立てなかったということであります。
 では、今年度以降は、40億円というフローのルール化を定めたわけでありますけれども、実現性は大丈夫なんでしょうか。

財政課長

まさに事前統制的なルールというふうに私どもも受けとめておりまして、現在の歳入が好調な時点は決算剰余金でしっかり積み立てていけるということでございますけれども、先々景気が下降局面に入ったときには、非常に厳しいルールになってくるのかなというふうに受けとめておりますが、今後の改修改築を見据えれば、しっかりと達成していきたいというふうに考えております。

中村 康弘

ストックとしての基金残高については、施設整備基金に関しては30年度末は74億円でありました。今るる御説明がございましたけれども、今後の40億積み立てていくというふうな考え方のもと、ストックの残高の額というものは、フローとの運営において財政運営上どのような関係性があるというか判断材料となるのか、その辺に関してもう少し御説明いただければと思います。

財政課長

施設整備基金への40億円の積み立てというものは、シミュレーションの中でございますけれども、今後改修改築を30年間行っていくに当たって、40億ずつ積み立てていくことによって基金が枯渇しないというものでございまして、残高自体の目標額というものは設定してございません。ただし、今後計画を立てていくに当たりまして、中期的に大規模な施設が見えているような状況で残高が想定よりも少ないというような場合には、40億以上にさらに備えとして積み立てていく、そういったことで残高についてもしっかり注視はしてまいりたい、そのように考えております。

中村 康弘

引き続き本年度も含めてよろしくお願いいたします。

統一的基準による財務書類の分析と3年間の傾向

中村 康弘

 次に、公会計に関して質問させていただきます。
 30年度は、統一的な基準が本区で採用されてから3年目を迎えた年でございます。財務書類の全体、一般会計等と全体とありますけれども、全体の資料に基づいてお示しいただきたいんですが、30年度はどのような状況であったか。バランスシート、いわゆる貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書、この4表に関して、それぞれの前年度からの主な変化点、それと28年度からの3年間の傾向性を、概略で結構なのでお示しいただきたいと思います。

会計課長

2点ありました。
 まず、前年度からの変化につきましてですが、貸借対照表につきましては、資産は7,361億円となり増加、負債は700億円となり減少、純資産は6,661億円となり増加となりました。続きまして、行政コスト計算書ですが、前年度との比較で、経常費用につきましては2,579億円で減少、経常収支は119億円で増加、純行政コストは2,464億円で減少となっております。続きまして、純資産変動計算書でございますが、本年度末純資産残高は6,661億円となりまして、前年度末より増加しております。続きまして、資金収支計算書ですけれども、業務活動収支は155億円で前年度より増加、投資活動収支につきましてはマイナス193億円で減少、財務活動収支につきましては19億円で増加となっております。本年度末資金残高は101億円になりまして、前年度より減少しております。
 2番目の御質問ですが、3年間での傾向性としましては、資産から負債を差し引いた純資産はこの3年間で増加、純行政コストは、29年度に一旦増加しておりますけれども、30年度に減少、純行政コストを税収や国、都の補助金等で賄った後の本年度差額につきましては、増加傾向にございます。

行政コスト計算書における移転費用と社会保障給付の変動要因

中村 康弘

続いて、ちょっと中身を確認させていただきますけれども、まず行政コスト計算書、全体のほうですけれども、移転費用として補助金等の支出が前年度より67億円減っております。また、一方で社会保障給付が32億円増加しているという状況がございます。結構大きな変動が前年度よりあったというふうに見られるわけでありますけれども、この大きな変動について御説明をいただきたいと思います。

会計課長

まず、補助金等につきましては、国民健康保険事業会計で国保制度改革がございました。そのため共同事業拠出金が減ったことによりまして、その影響が減少に通じております。
 2つ目の社会保障給付でございますが、民営保育園に対する保育委託などが増加していることによりまして、全体的に子育て関係の扶助費が増加していることが影響していると思います。

中村 康弘

それで、経常収益のほうも、その他という項目が前年度より20億円増加しておりますけれども、20億円も大きな収入があったということなんでしょうか。その辺に関してはどういうことが背景にあるのでしょうか。

会計課長

その他でございますけれども、まず保育園の保護者負担金の収入がふえていること、それから財産貸付収入などが増加していることが影響していると思われます。

資金収支計算書(財務活動収支)の変動要因

中村 康弘

続いて、資金収支計算書、キャッシュフロー計算書のほうなんですけれども、この中の財務活動収支に関して伺いたいと思うんですけれども、合計の収支の額としては、前年度の5億円から、30年度は18億円へと大きく増加したということで、支出と収入を見ていくと、財務活動の支出面が44億から17億円へと27億円減少した、また、収入に関しては49億円から36億円へと、収入のほうに関しても13億円減少している。支出、収入両方減少している、そういう傾向があるわけですけれども、30年度の財務活動については、どのようなことが反映しているのでしょうか。

会計課長

まず、キャッシュフローの財務活動収支の内容でございますけれども、地方債の発行、償還の収支、それからリース負債の償還が内容となっております。財務活動収支が30年度決算において変動している主な理由としまして、まずリース取引の計上を見直したことの影響があります。なお、満期一括償還の皆減などにより償還支出額は減少しておりますけれども、新規区債を発行する際の精査をすることなどによって、地方債収支自体は同額となっております。

中村 康弘

今ちょっとお話がございましたが、リース取引の見直しに関して、それに関連してお伺いしますけれども、30年度の財務書類の作成において、計上の仕方について大きな変更が2点あったと思います。30年度は前回よりもどのような変更を行ったのか、その2つの変更内容と変更した理由、背景について御説明をいただきたいと思います。

会計管理室長

財務書類の注記にも記載してございますけれども、1つは、平成30年度決算からは、区に所有権が移転しないいわゆるファイナンスリースについては貸借対照表に計上せずに、通常の賃貸借契約取引に係る方法に準じて、年間リースをPLの費用としてPLに計上することといたしました。
 ファイナンスリース取引は中途解約ができず、借り手が最後まで使用するということが想定されているものでございますけれども、個々の契約においてはその点が必ずしも明確に読み取れなくて、いろいろな要件を勘案して、実質的にこれは解約不能だという
ようなことが考えられる場合がありまして、会計処理に当たっては判断に苦しむところが多うございます。国は、そうした実務面に配慮して、所有権が借り手に移転しないリースは、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理をすることを許容しておりますので、区といたしましては、統一的な基準により財務書類を作成している他の自治体の状況も考慮しつつ、実務上の判断基準を明確にするため、今般リース取引の処理方法を変更したものでございます。
 もう一つは債務負担行為に係るものでございますけれども、区は、社会福祉法人等による施設の建設助成に係る債務負担行為のうち、開設済みの施設に係る助成、具体的には借入金の償還等に係る助成なんですけれども、これを負債として貸借対照表に計上してまいりました。平成30年度の今般の決算からは、当該の債務負担行為を負債としてBSに計上せず、会計年度内に区が支払った金額を費用として行政コスト計算書に計上することとしたものでございます。これは、補助金の交付額の確定というのを、法人等の実績報告等を踏まえて年度ごとに行ってございます。例えば、1年間の入所実績に基づく区民利用率などに応じて交付額を確定しているものもございます。
 当該債務負担行為につきましては、限度額を定めるもので、区が支払うべき金額を確定するものではないという考えでございます。負債として計上することについての公会計上の疑問点というものは、財務書類作成支援事業者からも指摘されていたこともあり、これも他の自治体の状況も考慮しつつ、負債ではなく、償還等の助成を実際に行った時点で費用として行政コスト計算書に計上するものとしたものでございます。

中村 康弘

結構大きな変更で、実際、キャッシュフロー計算書にも大きな数字の変更としてあらわれているわけでありますけれども、実際の内容を精査して、またいろいろな外部の人の意見も聞きながら、また他の自治体のトレンドも判断しながらこういう判断に至ったということで、今後、こういった大きな変更というのはあり得るのでしょうか。その辺に関して、可能性も含めて御意見を聞かせていただければと思います。

会計管理室長

今の統一的基準による財務書類は28年度からつくっているのでございますけれども、中途からこういうように変更いたしますと、前と比べるといいますか、比較という面で大変課題が生じてまいります。今回も懸案課題といいますか、今の財務書類を始めるに当たって残した課題ということでありまして、これは解決したかったのでございますけれども、こういうような会計書類の変更は本当に慎重に今後はやってまいりたい、そんなふうに考えてございます。

中村 康弘

公会計自体が、制度も国としても全体も変わったりとか、なかなか暗中模索の部分は否めないというふうな部分は確かにあると思います。ただ、説明責任も含めて、しっかりと今後ともよりよい形を模索していただければなというふうに思います。
 ちなみに、総務省の地方公会計の推進に関する研究会の報告書に関しては、こういった財務書類内の3つの指標に対する算定式について、これもまだ見直しを提案するような内容となっておりますけれども、その見直しを提案された対象とされた指標は何でしょうか。

会計課長

ただいまの研究報告書で今般見直しがされた指標でございますが、1つ目は社会資本等形成の世代間負担比率、いわゆる将来世代の負担比率です。2つ目が基礎的財政収支、プライマリーバランス、3つ目が債務償還可能年数の3点でございます。

中村 康弘

将来世代負担比率、社会資本等形成の世代間負担比率、これに関しては、当区では、これは特に採用というか、区政経営報告書にも公表されていないわけでありますけれども、ちなみに、この実績に関しては、今お聞きして答え出ますでしょうか、いかがでしょうか。

会計課長

算定式にのっとりまして算出しますと、4.9%となります。

中村 康弘

余りこの数字はぴんとこないんですけれども。
 では、次に行きます。基礎的財政収支、プライマリーバランスに関して改めて確認したいと思うんですけれども、区の指標としてのプライマリーバランスの持つ意味と、また、研究会報告書で見直しが提案されておりますけれども、この研究会報告書の見直しの指摘内容について御説明をいただきたいと思います。

会計課長

まず、プライマリーバランスについてでございますが、どういう意味かといいますと、税収等の収入と公債費を除く歳出との収支、つまり、その時点で必要とされる財政的な経費をその時点の税収等でどれだけ賄えているかということをあらわしている指標です。
 研究会の報告での指摘内容でございますが、従来の算定式では、投資活動収支に基金の収支が含まれております。つまり、基金を積み立てる余裕のある団体よりも基金を取り崩している団体のほうが収支の状況がよく見えるという課題がございました。しかし、基金への積み立ては実質的な黒字要素でありまして、基金の取り崩しは実質的な赤字要素ですので、今回の見直しにおいて基金収支が除かれることになりました。

中村 康弘

基金収支が除かれることになりましたということなんですが、改めて確認させていただきますけれども、要するに基金を取り崩したりとか区債を発行したりとか、そういう財政活動に関して、実際そういったことを頑張れば数字が落ちてしまうし、例えば区債の繰り上げ償還も含めて、やらなかったら数字がよく見える、そういうちょっとジレンマの数字が含まれているというふうな指摘があったということですね。
 ちなみに、区政経営報告書も、これまでもずっとプライマリーバランスの指標という形で掲載をされてきたわけでありますけれども、30年度の分に関しては、変更前、変更後、どちらの数字を掲載したのか、改めて確認します。

会計課長

区政経営報告書に関しましては、見直し後の算定式を採用しております。

中村 康弘

それで、どういう数字が示されたんでしょうか。

会計課長

当区の30年度の決算におきましては、報告書は一般会計等で載せておりまして、27億円の黒字。ちなみに、全体でも27億円の黒字となっております。

中村 康弘

研究会の報告書では、そもそも地方自治体の指標としてのプライマリーバランスについて、研究会としての留意意見が報告書内に書かれておりますけれども、どういったところに留意すべきだというふうなことが研究会のほうから、プライマリーバランスの数字に関しては指摘されているのでしょうか。

会計課長

留意事項でございますけれども、まずプライマリーバランスにつきましては、業務活動収支と投資活動収支のいずれも赤字の場合、またはどちらか一方が赤字の場合でも赤字になってしまうということになります。そのため、基金収支を除いたとしても、例えば公共施設など老朽化対策をしようと必要な事業を行えば、投資活動収支は赤字になります。そのために基礎的財政収支も赤字になり得ます。このことをどのように評価、分析すべきかということについては、引き続き検討が必要だと思っております。一概に黒字であれば評価できるものではないということに留意が必要であると思っております。地方公共団体の財政に関しましては、厳密に建設公債主義が適用されておりまして、原則的には赤字公債に依存することができないということになっております。そのため、健全化判断をする比率とは異なるものだということで言及しております。

債務償還可能年数の指標の意味

中村 康弘

次に、債務償還可能年数について伺います。
 これは、これまでもお話しされてきた新5大ルールにも含まれているわけでありますけれども、改めてこの指標の持つ意味について御説明をいただきたいと思います。

財政課長

債務償還可能年数につきましては、中長期的な財政の健全性、持続可能性をあらわす指標でございます。

中村 康弘

中長期的な財政の持続可能性をはかる指標ということで、同類の指標としては、健全化判断比率における実質公債費比率、あるいは先ほど御説明がございました将来世代負担比率等も同じような類似の指標として考えられるわけでありますけれども、この債務償還可能年数については、それらほかの指標とはどういった点が異なるのか、よろしいでしょうか。

財政課長

債務償還可能年数でございますけれども、発生主義という点で、健全化判断比率の1つでございます実質公債費比率とは異なっているという部分が1点ございます。また、将来世代負担比率でございますけれども、こちらの比率につきましては、地方債残高を有形・無形固定資産合計で除したものというところでございます。債務償還可能年数でございますけれども、地方債残高の将来負担額に加えまして、分子において基金残高、分母においては業務収支の情報と、あらゆる観点から財政の健全性をはかる指標ということで、今般このルールに加えたものでございます。

中村 康弘

債務償還可能年数についても、研究会報告書では見直しが提案されております。具体的に、今現状では何が課題とされているのでしょうか。

財政課長

分母でございます業務活動収支のうち、支出の面でございますけれども、投資的、活動的な性質を持つ支出が含まれているということで、結果として、自治体にとってより厳しい数値が算出される状況にあるということでございます。

中村 康弘

区政経営報告書では、1年というふうな数字が記載されております。今回資料174番で、研究会が提案している計算式の変更による数値も出していただいておりますけれども、1年というものに対して、新たな計算式と言えばいいんでしょうかね、変更後の計算式についてはどのような数字上の変化があったのでしょうか。

財政課長

国が示している当面の間の参考数値というもので算出いたしますと、0.6年ということで、よりいい数字が算出されるというものでございます。

中村 康弘

1年あるいは0.6年、いずれにしても、5大ルールでは3年以内というふうな定めがあります。現在の区の発行済みの区債の平均償還年数が17.1年ということもありますので、これを見ると、区債発行に対して相当まだ余力が残されていると言えなくもないんじゃないかと思いますけれども、その辺に関してはどのような見解でしょうか。

財政課長

区といたしましても、中長期的に見ても、区の財政というのは健全性が保たれているというふうに捉えております。しかし、この間御答弁申し上げてきておりますように、現在の景気動向というものがこの先も続くわけではございませんし、さらには税源偏在是正措置の影響、そういった区財政を取り巻く環境というものは、今後も厳しい状況が十分想定されるところでございますので、今後とも健全性、持続可能性というものをしっかり見据えた財政運営が必要だというふうに考えております。

中村 康弘

では、最後の質問になります。今回の区政経営報告書では、こういった総務省の研究会の報告書を受けて、プライマリーバランスに関しては、その提案の変更に伴った数字が記載されております。ただ、一方で債務償還可能年数については、その提案ではなくして、従来の計算式に基づく数字が載せられている。プライマリーバランスは変更した、しかし償還可能年数は変更しなかった、この違いは何なんでしょうか。

会計課長

まず、債務償還可能年数につきましては、投資活動支出的な性質を持つ支出でも業務支出に含まれるという課題もありますので、従来の算定式について見直しが必要とされて、当面は決算統計の数値を用いて算出する参考指標となりました。そういうふうに当面の算出方法ということですので、国のほうでさらなる検討を進めて、算定式が新たに示される可能性も考えられます。こうした状況や、財政運営の新ルールの5番目としては、過去の実績を踏まえて経年比較をする上でも、債務償還3年を超えないという目標値を設定しておりますので、旧算定方式で示したものでございます。