平成28年3月2日 予算特別委員会

マイナス金利下における区の財務戦略

中村 康弘

区債の発行及び資金調達について、財政について、それと地方消費税交付金について質問させていただきます。使う資料は、区政経営計画書と、いただいている資料が005、040。あとは総務省の地方財政の健全化及び地方債制度の見直しに関する研究会の報告書を利用したいと思います。
 まず、今マイナス金利の時代です。新発の10年国債の利回りも、数日前にはマイナス0.07%にまで下落をしたということで、史上空前の低金利の時代に今突入している状況であります。これは午前中も他の委員との質疑でもやりとりがございましたけれども、マイナス金利による本区の財政に対する影響という質疑もございましたけれども、改めて、現在の金利情勢を見た上で、28年度の区の財務戦略についての考えをお聞かせいただきたいと思います。
 昨年の4定、一般質問で、私、この点につきまして質問させていただきまして、その時々の金融市場動向も加味しながら、資金の調達、すなわち区債の発行及び一時的な資金調達並びに管理、これは積立基金の運用も含めて、そして財政の運営というものを一体的に捉えて戦略的に動いていくことが大事ではないかというふうなことを訴えました。そのとき、区の答弁としても、同様にそういう考えであるというふうなことを確認したわけでありますけれども、改めて、そういった点も含めて、28年度の考え方についてお聞かせいただきたいと思います。

財政課長

一体的にということでございますので、私のほうからお答えいたしますけれども、確かに、マイナス金利の中で運用益を得ていくというのは非常に難しい状況になってございますので、例えば積立基金の繰りかえ運用など、低金利の状況では、普通預金のパイをふやして、なるべくこちらを使って利払いを減らしていくですとか、資金の調達につきましては、当然、基金と区債のバランスということもございますけれども、低金利を受けて長期の区債による資金調達を図っていくなど、会計課、財政課と力を合わせながら財政運営を図っていって、どちらかというと、運用というよりも、なるべく無駄な利息を払わない、そういったような形で進めていきたいと考えております。

中村 康弘

これは会計課も含めて、よろしくお願いしたいというふうに思います。
 区債の発行に関して伺っていきたいと思います。
 28年度の区債の発行予定について、全体の額を改めて確認させていただくのと、そしてその内訳といいますか、目的別に、どういう考えで今回区債を発行する予定か、予算上どうなっているかということをお聞かせいただきたいと思います。

財政課長

全体額で申し上げますと、37億4,300万円ほどを予定してございます。目的別でございますが、数が多くございますので、主なものといたしましては、防災行政無線デジタル化整備に1億2,400万、また天沼三丁目複合施設、複数にわたってございますけれども、トータルで5億4,800万、保育施設の整備で7億6,900万、成田西子供園の移転整備で6億7,900万、公園等の整備で7億7,700万、あと体育館関係、二つ合わせまして8億4,600万、そういったような状況になってございます。

中村 康弘

調達金利に関しては、今回の予算計上上は何%の金利を想定しているのか、その辺いかがでしょうか。

財政課長

予算編成時のものをベースといたしまして、例えば財政融資の関係であれば、20年で1.5%、15年物で1.0%、また市中銀行のものにつきましては、5年で1.0%を前提に予算のほうをつくっています。

中村 康弘

かなり高目の金利設定という考え方ですよね、計算上は。実際はもっと低い形で、これからですよね。まだ28年度ですから、多分発行するタイミングの金利にもよると思うんですけれども、比較的高目に予算上は計算されているということですね。
 起債の引受先の選定に関して、これも前回、一般質問でもお聞きしましたけれども、改めて、区は基本的にはどういう考え方で起債の引受先を選定しているのか、その辺に関しても御説明いただきたいと思います。

財政課長

こちらにつきましては、前回と同じ回答になってしまうんですけれども、まず、国庫支出金の対象となるものにつきましては、財政融資資金を第一に優先してございます。それの対象にならない社会福祉資金関係につきましては地方公共団体金融機構、それ以外は民間資金になりますけれども、その中でも、区市町村振興協会のものがある程度公的な部分もありますので、そちらを優先して、それに乗らないものを市中銀行でお借りする、そういったような形になってございます。

中村 康弘

今四つ示していただいたわけであります。第1番目に優先するのが財政融資を使っていく。それ以外のものに関しては、まずは地方公共団体金融機構。それ以外は民間で、民間の中でも区市町村振興協会を優先的に利用して、最後に残ったものを市中銀行というふうな順番ということであります。もう一回改めて確認しますけれども、何でこういう優先順位をつけているのかというのが一つと、28年度に関しては37.4億ありますけれども、どういうふうな金額的割り当てになっているのか、その辺に関してはいかがでしょうか。

財政課長

公的資金に関しましては、手数料等もかからないということと、また長期で安定的な観点から、公的資金をどうしても優先するということになってございまして、その関係で28年度も、国庫が入ります防災行政無線デジタル化整備ですとか公園等の整備につきましては財政融資と、国庫融資以外の部分は市中銀行になります。そのほか、天沼3丁目関係の複合施設は庁舎の扱いになりますので、こちらにつきましては市中銀行になろうかなというふうに考えてございます。また、そのほかの保育施設ですとか成田西子供園ですとか体育館の関係は、社会福祉施設になりますので、地方公共団体金融機構、そういったような形で今のところは考えているところでございます。

中村 康弘

恒常的にこういった起債の取り組みというのはやっておりますので、ある程度安定性がないといけないということ、あとは手数料も含めて、金利の上下も含めて、最適化を図っていくという考え方でやっているということがわかりました。
 それで、起債の条件についてですけれども、これは資料040なんですけれども、23年度以降、これまでの起債をしてきた条件に関して記載されております。大体満期一括市中銀行で起債しているのが5年というのがありますけれども、それ以外に関しては長期でありますけれども、これは全て金利も固定金利というところとか、あとは、ほとんどが元利均等方式でやっていますよね。一部、区市町村振興協会に関しては元金均等方式というふうなことで、過去3回ほど起債しているわけでありますけれども、またこれも一律に、満期一括の5年を除いて、長期のものに関しては、一律に据え置き期間3年というふうに設定されております。こういった、その時々の条件で一番いいものを探していくというよりも、何かある意味マンネリ化といいますか、形式化しているようにも見受けられるんですけれども、この辺、こういった条件になっているということに関しての区の説明を求めたいと思います。

財政課長

確かに、据え置き期間を置かなければ、その分の利息は多少減ることにはなりますけれども、区としましては、区債を立てる前提といたしまして、世代間の公平という観点から区債を立てているというのが前提となってございます。そうしますと、例えば用地を買った場合、当然のことながら、大規模建設、建てるまでは4年ぐらいかかりますし、建物自体も大規模だと2年ぐらいかかりますので、3年ぐらい据え置いてそれからということを前提としています。これまで基本的には、財政融資もベースがそうなっていますので、それに合わせているということで、今後も、28年度も基本的にはそういう方向で行きたいというふうに考えてございます。

中村 康弘

据え置き期間に関しては3年ということで、要するに、利用開始になるタイミングと支払いが始まるタイミングを合わせているというふうな考え方なんですかね。
 ただ、償還は20年とか25年ですけれども、実際の建物とかになってくると、もう少し期間が長いということもありますので、倍ぐらいになるんですかね。そういったこともありますので、今御説明があったのも一つの考え方ではありますけれども、コストを下げるというふうな部分でいけば、据え置き期間をなくすということも、低金利でさらに金利を下げられるというふうなこともありますので、その辺に関しても、改めて1回見直しをして、当然見直しは常にやっていると思うんですけれども、一番効率のいい方法というのをこれからも研究していっていただきたいというふうに思います。
 それで、こういった区債の発行に関しては、前回の一般質問でも御答弁があったんですけれども、特別区債発行事務取扱要綱というものに基づいて、基本的には相対交渉方式にて行っているというふうな答弁がございました。
 改めて確認します。この特別区債発行事務取扱要綱というのはどういうものなんでしょうか。

財政課長

こちらにつきましては、23区統一で進めるということで、元利の支払いやその他の取扱事務を合理的に行うということとともに、所要資金の安定的な調達、また、特別区債の信用性、流通性を勘案して統一処理を図るために、支払い金融機関など発行形態を統一的に定めた要綱でございます。

中村 康弘

今の御答弁では、統一の方法でやるので事務的に効率的だということと、あとは、23区合わせて相手方と交渉ができるということで、スケールメリットがあるということなんでしょうかね。わかりました。
 ただ、今回の低金利の時代もそうですけれども、各区によってさまざま財政状況も違うでしょうし、区債の発行に大変制限といいますか、かなり抑制的にならざるを得ない財政状況のところもあれば、むしろ今積極的に、施設の再編整備の時期も迎えているのでやらなきゃいけないとか、さまざまあると思うんですけれども、その辺に関してはどうなんでしょう。23区共通のものなんですけれども、そこはある程度自由度というのは、各区が要綱に基づいてやるかどうかというのは各区の判断によるものなのか、その辺に関してはどういう、縛りと言ったらおかしいですけれども、どういうふうな考え方なんでしょうか。

財政課長

基本的には、一部だけ共通方式で、一部は自由にとなりますとばらばらになるという観点から、現時点では23区全て統一方式でやるというような形になってございます。個々のいろいろな財政状況も違うと思いますけれども、長期的なスパンで見ましたら、どこの自治体も一定程度起債を立てながらやるということもありますので、そうしますと、ロットが大きければ大きいほど金利のほうも優遇になりますので、そういった観点からも、今一つでまとめて、23区統一でやっている状況でございます。

中村 康弘

今、先ほど来お話ししている低金利の状況でありますので、金融機関においては、預貸率と不良債権の比率とか自己資本比率等の経営指標を改善しなきゃいけないということがありますので、自治体の発行する地方債というのは信用力も非常に高いということもありまして、金融機関としては引き受けたい意向が強いんじゃないか。そういった中で、今、国債の利回りを下回る借り入れ金利が提示されまして、プラスではなくていわゆるマイナスのスプレッドで提示、売り込みをしている金融機関もあるというふうにもお聞きしております。当区においても、金融機関と日常的にやりとりを行っていると思うんですけれども、このような個々の売り込みといいますか、そういったものに関しての動きについてはどう把握しているのかということと、あるいはまた逆に、こちらのほうの区債発行の担当部署として、よりよい条件を求めて幅広く金融機関と交渉、見積もりを行うなど、むしろこちらから借り手の優位の状況を利用して進めていく、そういうアプローチはしているのかどうか、その辺に関してはいかがでしょうか。

財政課長

民間等の売り込みに関しましては、先ほど、特別区全体でこういうのでやっていますというのがある程度周知されている関係から、飛び込みで来るというのはそれほどないという状況で、逆に、区からこういうことをするかということにつきましても、基本的には今までの、先ほど申し上げましたルールがございますので、やってない状況です。ただ、金融機関、いろいろな区に行っている中で、今お願いしている相対方式のところでは、貸すための金利が高いんじゃないかというような形で、おととしぐらいに23区の特別企財部長会あたりでそういう話があって、それについてどうだろうかという検討会を持ちまして、財政担当課長会の中でいろいろ議論をして、比較検討ですとか、相対先との条件などいろいろ聞き取りをした結果、やはり現状のところが効果があるということで、しばらく先ほどの条件でやっていくということを決めた、そういうような状況がございます。

中村 康弘

種々検討は常日ごろやられていると。そういう中で最適なものを選んでいるというふうなところなんですね。
 逆に、今度は一時的な資金調達に関して伺いたいと思います。
 歳入歳出のタイミングがありまして、歳計現金等の収支不足が年度内で発生することがある、そういったときに、本区としては、対応方法としては繰りかえ運用を行っていると。前回の質問では、26年度の実績からいくと、計7回繰りかえ運用を行っている、合計243億円行ってきたということでありますけれども、このことによって一時的に、長期の基金を運用していてもそれを取り崩して、そして一時的な資金不足に対応しているということで、ある意味、長期的な基金の運用に支障を来す場合があるんじゃないかということに対しては、区も同様な認識を示されたというふうに理解しております。
 その際に、その辺のところの対応策として、川崎市とか国東市等の先進的な事例の研究を参考に、現在の金利状況下における効率的な一時資金調達のあり方を研究していくというふうな御答弁がございましたけれども、この件に関しては、現状どのような認識をされているのでしょうか。

会計課長

繰りかえの御質問でございますけれども、今年度、2回の繰りかえを実施して、計70万円を行っております。直近が、1月下旬に不足が生じるということで、2回目20億円の繰りかえをいたしました。11日間にわたる繰りかえでございますが、この際、指定金融機関より一時借り受けの参考利率をお聞きいたしまして、これに基づいて借り入れ利息と現有債券等の利子とを比較いたしまして、繰りかえの運用を実施いたしました。この際の参考ですけれども、概算でございますが、11日間で80万円弱の利息がかかるという結果でございました。28年度以降につきましては、年度当初から金融機関からの一時借り受けに関する契約を取り交わせるように、また、必要の都度こういった利息計算を行いまして、繰りかえ運用、一時借り受け、区にとって有利なほうをとるような形で進めてまいりたいと存じております。

中村 康弘

2回、70万円と聞こえたんですが、70億円ですよね。それが正しいですね。
 しっかりと計算していただいているということで、ありがとうございます。引き続きその努力をお願いしたいと思います。

財政健全化ルールと28年度予算への反映

中村 康弘

 続きまして、財政運営に関してお聞きいたします。
 財政に関しては、毎年度のことでありますけれども、財政健全化と持続可能な財政運営を確保するための五つのルールが今の区の財政運営の基本的な考え方であると思います。この考え方に基づいていると思いますけれども、28年度の予算にはどのように反映、あるいは予算配分の際には配慮したといいますか、その辺に関してはいかがでしょうか。

財政課長

こちらの5大ルールのうち、予算にかかわるものといたしましては、起債の関係では、建設債の発行に当たりましては、財政状況を踏まえて、必要性を十分検討して起債の予定を立てて、基金と区債のバランスを考えた予算編成を行ったということでございます。今回につきましては、金利動向を踏まえまして、繰り上げ償還等につきましては予算のほうでは考えていない、そういったような状況でございます。

中村 康弘

今ちょっと繰り上げ償還のお話がございました。今聞こうと思ったんですけれども、ルールの3番目には、金利動向等を見据え、繰り上げ償還を行い、公債費の削減に努めるというふうにも書かれております。28年度は定時償還のみということで、予定をされていないということなんですけれども、改めて、この判断に至った、こういった考え方をした判断に関して御説明いただきたいと思います。

財政課長

確かに、繰り上げ償還することで公債費の削減にはなりますけれども、実は27年度、繰り上げ償還を実施しておりますが、このとき8億3,000万ほど実施しまして、財政効果額が667万ほど出たわけでございますけれども、個々の内訳を見ますと、利率2%の残存期間4年のものにつきましては、1億2,000万をやって効果額が約9万円ほどしか出ないということで、それですと、結局途中で保証金等を取られる関係がございますので、それでしたら置いておいたほうが、預金したほうが率がいいということで、今回、2%以下のものがほとんどとなってございますので、この低金利の間につきましては、繰り上げ償還につきましてはそれほどメリットはないのかなと考えているところでございます。

健全化法に基づく財政状況分析の有効性

中村 康弘

まさに金融市場動向を見定めながらそういう判断を行っているということでありますね。後で島田委員がどういう質問をするかわかりませんけれども、私のほうではとりあえず了解いたしました。
 ところで、地方公共団体の財政の健全化に関する法律が全面施行されて以来、6年経過をしております。本区においても、同法律に基づく四つの健全化判断比率の指標を毎年度公表してきております。これは決算に関するものなんですけれども、今回も区政経営計画書の63ページには、この旨書かれております。
 しかし、この表にもありますとおり、これまでずっといずれの指標も、早期健全化基準や財政再生基準を本区においては大きく下回っている状況で、この基準が果たして本区の財政状況を把握することにどれだけ役に立っているのか、有益なのかというのは、私はこれまでも何度もお話ししてきましたけれども、正直、個人的にも疑問があります。
 そこで、健全化法による財政状況の分析について、63ページにもありますけれども、区の率直な考えをお聞かせいただきたいと思います。

財政課長

まず、この法律の目的には、指標の分析ですとか活用を図るというものも当然ございますけれども、ただいま御指摘いただきましたとおり、要するに、財政再生団体ですとか財政健全化団体とならないように、それを事前に食いとめることに比重が置かれている。そういったような関係から、特別区などにおきましては、数字がマイナスで、逆に赤字がないことから比率が出ないものもありまして、区の財政分析においては、それほど適切な指標ではないのかなというふうに考えているところでございます。

中村 康弘

そういった事情を背景にでしょうか、平成26年11月に、総務省が地方財政の健全化及び地方債制度の見直しに関する研究会というものを立ち上げまして、そこでこの健全化法についても、課題の整理とかあるいは制度の見直し等の検討をこれまで約1年間かけて行ってきました。そして、昨年12月に同報告書が公表されたというものでございます。この報告書では、現在の健全化法では捉え切れていない、捕捉し切れていない課題があるというふうに指摘されておりますけれども、どのような点が健全化法では捉えられない課題なのか、その辺に関して御説明いただけますでしょうか。

財政課長

この報告書の中で、捉え切れていない課題といたしましては3点ほど書かれておりまして、一つは第三セクターに対する短期貸付ですとか、二つ目として年度を超えた繰りかえ運用ですとか、三つ目といたしまして公有地信託に係る損失リスク、こちらが捉え切れていないというふうに書かれておりました。

中村 康弘

今三つ御説明いただきましたが、こういった案件に関して、先ほどは繰りかえ運用に関しては年度内での繰りかえ運用ですけれども、年度をまたいだ繰りかえ運用も含めて、本区における運用実態としては、こういった該当するような事例はないのか。ないと思いますけれども、一応その辺に関してどうなんでしょうか、確認させてください。

財政課長

今の一つ目の第三セクターに関する短期貸付につきましては、そもそも第三セクター等に該当しますものが土地開発公社しかない中で、こういったような短期の継続した、反復した短期貸付というのはないということと、二つ目の年度を超えた繰りかえ運用は、当然のことながらしていない。また三つ目の公有地信託に係る損失リスク、そもそも公有地信託をしていないということですので、いずれもこちらに該当する事例はないというふうに考えております。

中村 康弘

一方で、この研究会の報告書では、自治体の、先ほど財政課長のほうからも御答弁ありましたけれども、財政分析に関する課題として、あるいは今後こういった形で改善していくべきだということで、あり方として何点か、健全化法の改善するべき方向性というものが示されておりますけれども、どのような点が挙げられているのでしょうか。

財政課長

こちらにつきましても3点ほど挙げられておりまして、一つ目が公共施設等の老朽化問題への対応といったこと、二つ目に実質公債費比率がマイナスであるということ、三つ目といたしまして経常収支比率の上昇といったことが挙げられておりました。

中村 康弘

これは私、昨年の決算委員会でも述べたんですけれども、現状の健全化法の指標というのは、あくまでも実質公債費比率とか将来負担比率には複式簿記・発生主義の概念というのが入っていないんですね。しかし、これからの将来ということを考えたときに、施設の更新ということもそうですけれども、少子高齢化にどう対応していくのかといった将来を見据えた上で、これまでの杉並区の財政状況がどうなのかということをしっかり把握していく必要性がある、そういう観点から、複式簿記の財務情報を用いた分析が重要であるというふうに私はこれまでも訴えてまいりました。
 実はこの報告書でも、「地方公会計による指標の追加」という項目がありまして、今私が申し上げたことと同様の考えが示されておりまして、幾つかの具体的な提案もこの報告書の中ではされております。そのうちの一つに、例えば資産の老朽化度合いということで、資産老朽化比率の活用、例えば年度ごとの、パーセンテージが幾らという数字ではなくして、縦軸に将来負担率というのをY軸、横軸に、X軸に資産老朽化比率というものがあって、そこで当該年度はどこに当たるのかということをプロットしていく。それが経年変化によって右にずれているのか、上方向に推移しているのか、そういった傾向性を見るという使い方をしてはどうかとか、そういうふうなことも提案されております。
 ちなみに、資産老朽化比率に関して、一番新しい年度末の情報ということで、26年度末の情報に基づくと本区ではどういう状況かということで、これは公会計の財務諸表によるものなんですけれども、累積減価償却額とその年度の減価償却額、あと老朽化比率、この辺に関して御説明いただけますでしょうか。

会計課長

26年度でございますけれども、累積減価償却額でございますが、約1,054億円、それから年間の減価償却額は約39億円、老朽化比率は52.63%となってございます。

中村 康弘

これに対して、施設整備基金の積立残高、現状はどうかということで、現段階の額と、28年度当初予算を執行したという仮定で年度末どうなるか、その辺、施設整備基金の積み立てはどういう状況でしょうか。

財政課長

今回、最終補正のほうで御提案しておりますが、それが御議決後の数となりますけれども、60億700万余となりまして、23年度取り崩しが23億7,000万ほどございますので、差し引きますと、また36億円ほどになるというような状況でございます。

中村 康弘

例えば減価償却の額、先ほど39億円という答弁がありましたけれども、これと同等の額を毎年度施設整備基金に積み上げていくといった御意見もあります。そういったことも理想的かもしれませんが、ただ、現実的には、累積でも1,000億があって、現状では60億マイナス幾らということなので、理想と現実のギャップというのが明確に存在するわけでありますけれども、この点に関しては、区の認識はいかがでしょうか。

財政課長

こちらの件に関しましては、これまでも他の委員等からもさまざま御指摘いただいておりますし、重々承知していることでございます。このような毎年40、50億、計画的に積み立てられれば、それにこしたことはないということもございますけれども、福祉サービスなど行政需要が毎年伸びている中、毎年こういった金額を積み立てるというのは、現実的にはかなり難しい状況であり、可能な限り少しでも積み立てていくということで、今後、計画的に少しずつ積み立てていきたいというふうに考えているところでございます。

中村 康弘

話が少し横道にそれたわけでありますけれども、同報告書では、財政分析の課題で、先ほど課長の御答弁もありましたけれども、そのうちの一つに経常収支比率の上昇という点も指摘されております。そもそも、確認させていただきますけれども、本区においても、五つのルールの一つが、経常収支比率80%以内というのがありますけれども、改めて確認します。なぜ80%なんでしょうか。

財政課長

こちらにつきましては、今回も一般質問の中でも他の委員の方にお答えしているのと同様になってしまいますけれども、このルールを定めた当時、財政の弾力性を示す指標としましては、一般的に経常収支比率が使われていたということと、既に地方分権等が進んでいる中で、かなり国等からの事務が移譲されておりまして、経常収支比率を押し上げます義務的経費も増加傾向にはございましたけれども、なおその時点では70から80が従前から適正だというような形で言われていたことから、区民にもわかりやすい指標として、80%以内を目指すということをルール化したということでございます。

中村 康弘

要するに、統計的にということですね。それで大体80%程度じゃないかという、そういう感じなんでしょうか。
 経常収支比率の基準について、この報告書では、昭和44年に発行された文書を引用しているんです。「財政分析-市町村財政効率化の指針-」という、そういったことを引用して説明している箇所がありますけれども、この報告書では、昭和44年の文書に関して経常収支比率80%ということが書かれているわけでありますけれども、どのような内容を示しているのでしょうか。

財政課長

この報告書をそのまま引用するような形になるんですけれども、昭和42年の経常収支比率は、都市が73から84%ぐらいで、町村は68から84%に分布していることから、75%程度におさまるのが妥当であり、80%を超えると財政構造は弾力性を失いつつあるとされていましたが、平成25年度には、都市が82.8から95%、また、町村におきましては78.7%から87.8%であり、既に大半の市町村が80%を超えているのが現状であり、このような変化がある中で、経常収支比率の目安をどのように考えるかは、それぞれの財政構造の変化を踏まえた検討が必要といった問題認識をここに記載されております。

中村 康弘

要は、昭和42年のときに統計をとったらこういう結果が出ましたというふうな、約50年前の指標で、50年間、時代が変遷しているということで、財政構造の変化ということもあるんじゃないかということがこの報告書でも書かれているわけであります。ただ、今課長に、では50年前と比較してどうかということを聞くのもちょっと酷な話なので、最近の状況における80%という基準についてお聞きしていきたいと思います。
 まず、過去4年間の決算数値に基づく経常収支比率は、23年度以降、これまで過去4年間、どういう数字で推移をしてきたか。

財政課長

23年度以降ということでございますので、23年から26年まで順にでございますが、82.7%、82.8%、82.5%、昨年度が79.8%となってございます。

中村 康弘

一方で、同じ期間、23年度末から26年度末まで、財政調整基金の積立額はどのように変遷していますか。

財政課長

財政調整基金におきましては、23年度末で約224億でございました。こちらが27年度末見込みでは、現時点で約337億円と見込んでいるところでございます。

中村 康弘

5年間で110億円積み上げているということですね。経常収支比率に関しては、4年間ほぼ82%前後で安定して推移をしているという状況で、80%を下回ったのは26年度の1回のみということですね。
 一方で、そういった状況にもかかわらず、財政のダムである財政調整基金は着実に110億積み上げてきた、そういう経緯があります。80%を達成できていないにもかかわらず、財政のダムは着実に積み上げられているというふうな、この相関関係というのはどうなんでしょうか。目標を達成できていないのに、財政が厳しいのに、しっかりと財政のダムは積み上げてきている。この辺に関してどういう相関関係があるのか、その辺に関しては区はどういう認識でしょうか。

財政課長

確かに、相関関係と申しますと、なかなか答えにくいところもございますけれども、指標というのは一つで見るものではなくて、委員も御指摘いただきましたとおり、複数の指数を掛け合わせてその自治体の状況というのを判断していかなければならないということを考えておりますけれども、先ほども申し上げましたとおり、区民にわかりやすい、弾力性を示すものとして、まずは80%を示したということで、直接それとの相関関係というものにつきましては、この数字だけ見ると出ていないのかなというふうに考えております。

中村 康弘

いわゆる経常収支比率の上昇を抑制するという努力に関しては、区が進めるということは正しいと思います。というのは、まず人件費の削減ということもありますし、事務事業の効率性を向上していくという努力も求められますし、また公債費の削減ということも求められます。一方で、分母として、区税等の収納率の向上といった、一般財源の確保といったことも全て行革につながるということで、さらには、経常収支比率を80%以内にするというのは、あくまでも区がみずから設定した目標なので、これからも区がこの目標に向けて努力していくということは当然であるというふうには思いますが、しかし、以前からも私は述べさせていただきましたけれども、経常収支比率というのはあくまでも当該年度のフローのみの数値であるということ、もう一つは、これは予算のときにどうこうできる話ではないということですね。これはあくまでも決算を締めて結果的にどうでした、当該年度はこういう状況でしたという結果を示すための数値であるというふうなところから、そもそも財政規律の維持というところに、経常収支比率に過度に重心を置くということに対しては、私は以前から疑問を、これは個人的な意見でありますけれども、持っております。
 今財政課長も言われたとおり、財政といっても、私もこれまでもさまざまな形で質問してきましたけれども、いろいろな角度、切り口がありますよね。そういったところを総合的に見ていかなければいけないというふうな考え方であります。今この報告書でもさまざまな見直しが提案されておりますけれども、今後、そういったことも加味しながら、区の財政運営ということの考え方に関して、五つのルールも含めて、さまざまな財政指標の考え方を整理して、見直しということも一つ今後将来的に考えていくべきではないかと私は思いますけれども、区の意見を伺って、私の質問を終わらせていただきます。

政策経営部長

委員から御指摘いただいたように、財政の健全性というものは、さまざまな角度から多面的に評価していく必要があることは言うまでもないというふうに考えてございます。経常収支比率につきましては、そうした評価を行う上での財政構造の弾力性の度合いをはかる一つの指標として、80%以内を目指すという目標を総合計画に定めたものでございます。
 一方で、この指標につきましては、委員からるる御指摘があったような側面、一面もございまして、また近年は、急速な高齢化の進展に伴う社会保障関連経費の増がその数値を押し上げる要因にもなってございます。また、地方交付税の不交付団体である特別区におきましては、景気変動による税収の動向が大きく数値に影響を及ぼしまして、景気後退期には、経常収支比率が地方都市に比べても急激に悪化するというような傾向もございます。
 こうしたことを踏まえまして、今後、総合計画の改定に当たりまして、改めて財政構造の時代的な変化も念頭に置いて、委員から御指摘のあった国の動向につきましても十分に注視をしながら、財政健全化の目標について十分に議論を重ねて定めてまいりたい、このように考えてございます。