EBPMの行政手法と必要性の認識
まず、1点目がEBPM、エビデンスに基づく政策立案について、2点目が災害時におけるドローンの活用について質問いたします。使う資料は、さきの代表質問における関連する区長答弁、また区政経営計画書、デジタル化推進計画を使います。
では、まずEBPMについて伺ってまいります。
まず、さきの代表質問では、計画策定や企画立案の場面でデータ活用が進んでいるとの答弁がありました。区政経営計画書でも、DXの推進やオンライン申請の拡充、キャッシュレス決済の導入拡大など、行政のデータ基盤を強化する取組が数多く掲げられております。改めて、区としてEBPMをどのような行政手法と捉えているのか。単なるデータ活用の一手法なのか、あるいは政策立案から検証、改善につなげる行政運営の基本的な考え方と位置づけているのかどうか。あわせて、EBPMは今の区政運営にとってどの程度必要なものと認識しているのか、その理由も含めてお示しいただきたいと思います。
EBPMについては、単なるデータ活用の一種ではなくて、今後の人口減少の進行に伴いまして、人的、財政的な経営資源が今後大きく制約されていく蓋然性が高い中で、行政サービスの質を維持向上していくための必要な区政経営の手法だと捉えてございます。
じゃ、具体的なイメージについて伺ってまいります。これまで、具体的に区としては、どの施策、事業において、どのようなデータを用いてこのような政策判断や事業の見直しにつなげてきたのか、事例があれば、EBPMと言われるものの具体像が分かる形で示していただきたいと思います。
直近の事例で申しますと、デジタル化推進計画に基づきまして、民間事業者が提供する人流データ、人の動向調査なんですけれども、その情報を使いまして、例えば産業部門では来街者の動向調査であったりだとか、まちづくり部門であれば荻窪三庭園の回遊性の向上について案内板をどこに設置することが有効か、そういったような活用事例が直近ではございます。
区政経営計画書でも、オンライン申請の拡充、キャッシュレス決済の導入、MaaS関連施策、介護分野のDXなど、行政活動から多様なデータが生じる取組が示されております。これらは、単なる業務効率化にとどまらず、区民の行動や利用実態を示す重要な情報基盤となり得ると思います。これらの行政活動上のデータを施策の効果検証や改善、政策判断に活用するEBPMの対象としてどのように位置づけているのでしょうか。業務データを政策評価データにつなげる考え方について区の所見を伺います。
行政活動から得られる様々な業務データにつきましては、EBPMにおける有効な科学的根拠になり得るというふうに考えてございますので、そうしたデータ含めて収集分析することで、政策形成ですとか政策評価につなげていきたいというふうに考えてございます。
EBPMの対象となるデータの整理について伺ってまいります。
区が政策立案や政策の改善に活用し得るデータには、従来公開されている公的な統計に加えて、住民基本台帳や福祉、教育、都市基盤等の行政記録のデータ、また区民意識調査などのアンケートに基づくデータ、あるいは地理空間のデータ、もしくは区が様々な相談を受けている中での相談記録等のテキストのデータ、さらには先ほどお話しした実証事業で得られるデータなど、様々あると思います。こういった様々なデータの今の区としての管理状況はどのような形になっているのでしょうか。
現状におきましては各課でデータを保管しておりまして、必要に応じて関係課同士で情報共有しているというのが現状でございます。
各課で管理しているということなんですけれども、データ活用を含む課題認識と改善について伺ってまいります。
今課長が述べられたとおり、行政活動に伴う様々なデータは、部門ごとに、部署ごとに、また、そのデータの形式とか集計の単位、あるいは情報の精度とか、そういった様々な区分の仕方も異なっております。これらを各部署横断的に使って比較をしたりとか、また分析をするという上では、時には大変困難な状況も現実的にはあるのかなというふうに思います。現状の行政データを政策判断や施策改善に実際に十分活用していくためには、今の段階でどういったところに課題があると区は認識しているのか、確認いたします。
EBPMを推進するためのポイントとしまして、国のデジタル行財政改革の取りまとめの中では3つのステップが示されていて、見える化、因果推論、費用対効果分析のステップで進めることが重要と。加えて、データの利活用を積極的に進めるに当たっては、取得したデータを容易に部局横断的に使っていくことが何より重要というふうになってございますので、こうした基盤整備だとか、そのデータを使いこなす人材の育成、こういったところを今後の課題として捉えてございます。
EBPMを進めていくというためには、既存の形のデータ活用じゃなくして、そもそもどのような目的のために、どの項目をどういった形式でデータを収集するのかという段階から、政策目的を意識して進めていく必要があるというふうに考えます。成果指標や結果に関連するデータについても、しっかりと検証ができるように制度的に位置づけることなど、今後、データの収集方法や、あるいは項目の設計そのものを抜本的に見直して、政策評価を前提としたデータ収集及び活用の設計へと転換していく必要については区はどのように考えているのでしょうか。
昨年10月の情報インフラ再構築におきまして、データの共有が格段にしやすくなったというところと、職員が日々使っているパソコンで誰もがBIツールの利用なんかというのを容易に物理的にはできるようになっているというような状況がございます。まずは、各課ばらばらに保管しているデータを、庁内データラウンジみたいなものが私はあってもいいんじゃないかなというふうに思いますので、データの集約と、また、保有するデータの質が悪ければ、その後の政策への活用というのはなかなか困難になると思いますので、そうした視点で職員のデータ利活用のスキルだとかマインドセットを行ってまいりたい、そのように考えてございます。
データ分析設計と意思決定プロセスの体制
次に、データ分析設計と意思決定プロセスについて伺っていきます。
そもそもデータ活用の本質というのは、何を検証するために、どのデータをどのように比較していくのかという分析設計にあるというふうに思っております。区としてこうした分析設計を行う機能をどのように位置づけているのか。企画課、デジタル戦略担当あるいは各所管の部門などに横断的にわたって制度設計をする必要があるというふうに思います。また、施策分野ごとに異なる分析視点や比較軸を整理することも必要でありまして、より実効性のあるものとするためには、課題設定、その上で仮説の構築、データ分析、結果の解釈、政策判断、それに伴う予算配分というふうな反映という形で、一連の流れを制度的に整理する必要があるんじゃないでしょうか。そうした機能は今、主にどこの組織がどのように推進していく体制になっているのか、確認いたします。
委員御指摘のとおり、データ活用の本質というものは単にデータを集めることではないということで、何を検証するために、どのデータをどのような比較軸で用いるのかといった分析設計にあるとこちらとしても認識をしているところでございます。そのため、EBPMの取組に当たりましては、課題設定から政策の立案、予算配分までの一連のプロセスを組織としてどう位置づけ、そしてどう運用していくかという点が重要であるというふうに考えているところでございます。区では現在、分析設計そのものを専門に担う組織を明確に切り分けているわけではございませんけれども、政策の立案に当たりましては、企画課とデジタル戦略担当、そして各所管部門が必要に応じて連携して対応しているというところです。
具体的に申し上げますと、実際の施策分野ごとの課題設定ですとか、あるいはデータを踏まえた政策の立案などにつきましては、各所管部門が事業の特性ですとか現場の実情を踏まえて担うことが基本となってございます。その上で、企画課では今年度から、所管が抱える課題の整理ですとか政策の目的、ターゲットの明確化、さらには施策の妥当性、こういった点を一層意識して、その観点から助言あるいは調整を行っているというところでございます。また、デジタル戦略担当におきましては、BIツールを活用いたしました情報の可視化、DXの推進など技術面、データ面から支援をしているところでございます。しかしながら、こうした取組につきましては、まだ現時点で十分と言えるものではございませんで、今後さらなるブラッシュアップが必要になるかと存じます。
デジタル化推進計画も進展しておりまして、データ蓄積がされる環境は整いつつあるというふうに思っております。今まで述べてきたように、今後、分析設計や評価手法の整理を全庁横断的に、今課長からもありましたけれども、体制を強化していってはどうかと考えます。また、必要に応じて大学とか研究機関などの外部専門機関も活用して、分析設計や評価手法の高度化を図ることも必要かと考えますけれども、所見を伺います。
委員御提案のように、分析設計や評価手法につきましてのスキルというのをさらに高めて、より実効性の高いものとしていくためには、企画部門、デジタル戦略部門が密に連携を取りながら、全庁横断的な連携というのをさらに強化していくことが重要であるというふうに考えております。また、評価や分析の高度化に当たりましては、区の内部リソースのみに頼るということではなくて、大学ですとか研究機関、こういったところの専門的知見を有する外部機関の活用、これも有効な手段であるというふうに認識しております。引き続き分析設計、評価手法の在り方について整理し、区政運営の質の向上に努めてまいりたいと思います。
では改めて、区が目指しているEBPMの理想の姿とは何か、そして現時点で区はその理想に向かってのどの位置にあると今現状を認識しているのか。これまでの質疑を総括して、区の考えを改めて確認させていただきます。
理想の姿ということなんですけれども、何か崇高な姿というようなイメージは持っておりませんで、非常にシンプルなものだと思っています。データを活用して、それは活用すること自体が目的ということではなくて、それによって区民ニーズを把握する、社会状況を把握する。それによってより精緻な政策立案をし、改善につなげていく。そして、これが当たり前のように行政運営の中に組み込まれていく。そういったところが、非常にシンプルですけれども、理想の姿なのかなというふうに思っています。
じゃ、こういった取組が今までされてなかったかというと、今課長がお答えしておりましたが、決してそんなことはなくて、行政評価であったりとか、そういった各種成果指標というのは、まさにエビデンスに基づく、そういったPDCAサイクルの進め方だったなというふうに思っています。ただし、今の状況、区民ニーズは多様化して複雑化している、少子高齢化はますます進んでいく、物価高騰などの社会経済環境は激しく動いているという中においては、より高度なデータ活用とそれに基づく精緻な政策立案が必要になってくるということなんだろうと思いますし、今日のICTですとかAIの進歩に鑑みれば、そういった環境が整っているなというふうに感じるところです。
そういったところを踏まえますと、やっぱりまだまだ伸び代の部分が大きいなというふうに思っておりまして、そこの部分はしっかり努力しなきゃいけないなと思いますし、それが我々の、いわゆる企画とかデジタルの部門だけじゃなくて、全庁的な職員の行動原理になるように取組を進めなくてはいけないなというふうに思っておりますので、そういった意気込みで努力してまいりたいと考えております。
よろしくお願いします。前例とか過去の慣例にとらわれず、ファクトをしっかりと押さえた上で政策立案をしていただければというふうに思います。
災害時ドローン活用に関する協定締結の経緯
続きまして、災害時におけるドローンの活用について伺ってまいります。
昨年12月、区はNTT東日本株式会社と災害時における通信障害復旧の連携等に関する協定を締結いたしました。この協定には、ドローンを活用した被害状況の情報収集、情報提供やデジタル技術を活用した安否確認及び情報収集の高度化などが盛り込まれております。災害時におけるドローンやデジタル技術の活用については、以前より会派として推進してきた課題でありまして、私自身も令和4年度及び令和6年度の一般質問で取り上げてきたところであります。その意味で、今回の協定締結は一歩前進というふうに受け止めております。評価いたします。
そこで、まずこの協定締結に至った経緯について御説明をいただきたいと思います。
NTTとは、これまでも区の防災会議ですとか総合震災訓練のほうに参加していただいておりまして、災害時における情報収集の必要性、これは区もNTTも共通認識を持っていたということもありまして、今回の協定締結に至ったというところでございます。
先日の代表質問に対する答弁としましては、基本的にはNTT東日本の社員がドローンを操縦する、で、区の災害対策本部に被害状況を提供する、そういう体制を想定しているとの答弁でございました。
そこで確認いたしますけれども、災害時にドローンを運用する場合、飛行エリア、どこを飛ばすかとか設定とか、調査対象の優先順位、どこから調べていくかとか、また運用の判断など、運用に関する意思決定というのはNTT東日本あるいは杉並区、どちらが担う体制を想定しているのか、確認いたします。
災害時に被害が大きいという場合に、区とNTTとですぐに連絡を取り合うんですけれども、ドローンを活用する、あと、どこからドローンを飛ばすか、そういったところの最終的な意思決定というのは災対本部で行うということで、区が行うというところでございます。
区が中心になって行うということなんですけれども、せっかく協定を結んだわけでありますから、実効性のあるものにしていただきたいというふうに考えるわけであります。NTT東日本側が杉並区、当区に対して、ほかの区とも協定を結んでいると思うんですけれども、この事業者に関して、杉並区に対して対応可能なドローン機の数や、あるいは、災害が発生したときにはNTT東日本側にもBCPが発動されると思うんですけれども、BCP下における操縦士がしっかり確保できるのかどうかとか、運用体制が十分に確保されていることが前提になるわけでありますけれども、こうした体制を実際の災害時に機能させるためには、共同訓練による検証も当然ながら不可欠であります。その際には、単なる飛行確認にとどまらず、区の災害対策本部での情報受信について、また映像を分析していく、また優先対応の判断までを含めた一連の運用訓練を実施する必要があると考えます。区として、NTT東日本との具体的な体制構築や訓練計画について、今後どのようにNTT社と協議を進めていく考えか、伺います。
NTTのほうはドローンの訓練施設という設備も持っておりまして、日々の業務の中でドローンが活用されているというふうに聞いております。ドローンの映像の受信方法ですとか分析、解析、そういったところで、発災時の一連の流れ、細かいところも含めてですね、区とNTTとの間で意見交換や、場合によっては一緒の訓練とかそういうのを行いまして、実効性のあるものにしていかないといけないというふうに思っています。
今課長も述べられたとおり、単にドローンを飛ばして映像を受信してよかったじゃ困るわけでありまして、これを実際の災害対策の区の業務につなげていくということが重要であります。例えば、これは一般質問等でも指摘をさせていただきましたが、AIによる画像解析を活用することによって、被害範囲や被害状況の把握、また罹災証明書発行のための被害認定、復旧作業の優先順位づけなどが可能となりまして、災害時の対応業務の効率化につながります。今回の協定に基づく映像データの提供については、将来的にはAI解析等による高度なデータ活用まで視野に入れて取り組むべきと考えますけれども、最後に区の認識を伺って、質問を終わります。
ドローンの活用につきましては、単に被害状況の把握だけではなくて、罹災証明書を発行する、今までは人が1軒1軒回って被害状況をやっていましたけれども、それがドローンを使ってできるというような過去の例もありますので、活用の範囲はまだまだ広いかなというふうに思っています。また、御指摘の御提案のところにつきましても、今後、NTTと細かいところは意見交換しながら連携を深めていきたいというふうに思っています。