令和元年11月19日 第4回定例会

杉並区の水害対策と水防体制強化

中村 康弘

杉並区議会公明党の一員として、通告に基づき、水害対策について、無電柱化について質問を行います。
 先般、東日本や関東地方を襲った複数の大型台風により、広い地域で甚大な被害が発生いたしました。犠牲になられた方々の御冥福をお祈り申し上げます。また、いまだ避難所での生活や被害を受けたままの住宅での生活を余儀なくされている方が多くいらっしゃいます。被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 10月12日、過去最大規模の勢力を保持しながら首都圏を直撃した台風19号により、多摩川が氾濫し、近隣の世田谷区、大田区、調布市、狛江市等でも大規模な水害がありました。杉並区内においては道路冠水が1カ所あったものの、河川の大規模な氾濫には至らず、被害は比較的小規模なものにとどまりました。
 平成17年9月、集中豪雨で善福寺川等の氾濫による大規模な水害が発生したときには、区内で観測された総雨量が264ミリであったのに対し、今回はそれを超える300ミリ超の降雨が区内で観測されました。しかし、時間最大雨量が、平成17年の112ミリに対して今回は38ミリと、集中的に大量の降雨がなかったことが、区内で大規模水害が起きなかった要因の1つかと思われます。しかし、今後も起こり得る大型台風の接近や集中豪雨に備えて、でき得る限りの水害対策を進めていく必要があります。
 そこでまず、河川整備等ハード面の対策について伺います。
 平成26年に改定された東京都豪雨対策基本方針では、区部における治水対策の整備水準目標が、それまでの時間50ミリから時間75ミリへと引き上げられました。この目標は、河川整備、下水道整備、流域対策施設整備を行うことで対応するとしています。この方針に基づき、東京都総合治水対策協議会が策定した神田川流域豪雨対策計画では、神田川、妙正寺川、善福寺川の、区内を流れる3河川流域でも、同様に75ミリ対応へと整備していく具体的な計画が示されています。
 現在までの区内における3河川の75ミリ対応への対策の実施状況はいかがでしょうか。
 降雨により急激にふえた水量を一時的にため置く調節池は、これまで区内、神田川環7地下調節池54万立米、和田堀第二、第三、第六の掘り込み式調節池、合計5万3,500立米、善福寺川地下調節池3万5,000立米が整備されてきました。台風19号の際は、環7地下調節池の約9割まで、雨水が流入したと聞き及んでおりますが、当日、これらの調節池はどのように機能したのでしょうか。
 また、設置効果についての区の検証もお聞かせください。
 上荻、西荻北、善福寺では、善福寺川の上流部の流域にあり、河川氾濫が懸念される地域が存在しています。河川の中流部に護岸未整備区間があるため、上流部の河床の掘削ができていない状況が、中上流部における水害対策の課題の1つとなっています。上流部において水量の調節ができれば、そのような課題も解決に向かうと思われます。
 神田川流域豪雨対策計画では、善福寺川上流部分での調節池の設置についても計画されておりますが、その検討状況はいかがか、お聞かせください。
 そのほか、和田堀公園調節池と神田川の下高井戸調節池の設置事業が現在進められております。水害対策のかなめである河川整備のさらなる推進を期待したいと思います。
 下水道についても、浅く埋設された下水道幹線の流域などは、豪雨の際、幹線から雨水が逆流する内水氾濫の危険があり、効果的な対策が求められております。
 都が対策促進地区として指定していた阿佐谷南では、50ミリ対策として、貯留量約2,400立米の貯留管の整備が平成23年12月に完了しております。この後の計画としては、今回も道路冠水の被害があった荻窪地区での大宮前幹線の増強施設、また阿佐谷地区についても第二桃園川幹線として、それぞれ対策強化地区に指定されております。これらの地区の整備状況をお聞かせいただきたいと思います。
 また、今後のさらなる対策拡充の必要性について、区の所見を伺います。
 市街地面積の増加に伴う雨水の浸水被害を防止、軽減するため、流域対策も進めていかなければなりません。これは道路の透水性舗装などとともに、雨水貯留浸透施設の公共施設への整備や民間施設への設置助成など、区が実施主体として行っているものです。現在まで、区内では合計29万1,000立米相当の整備が実施されてきておりますが、75ミリ対応を実現するには、この分野での対策もさらに増強していく必要があります。
 神田川流域豪雨対策計画によれば、区内における流域対策の施設整備を2024年までに36万4,000立米に、2037年までに61万4,000立米へ増量するとの目標が設定されているところでありますが、目標達成に向けての現在の取り組み状況を伺います。
 東京都豪雨対策基本方針では、こうした75ミリ対応への取り組みは、計画策定時の平成19年からおおむね30年後を目標達成の時期としており、今から約18年後となります。しかし、気象庁の推計によれば、今日の時間50ミリ以上の豪雨の発生件数は、約30年前と比較しておよそ1.4倍に増加しているとのことです。実際、全国でも立て続けに激しい豪雨災害が発生している近年の気候変動を鑑みると、目標値の見直しや加速化について東京都と協議を行うべきではないかと考えます。区の所見を伺います。
 続いて、区の水防態勢について伺います。
 台風当日の10月12日、区は、午前8時30分に水害対策室を設置し、多くの職員の方々が河川護岸の警戒巡視や避難所開設などに当たられました。大変に御苦労さまでございました。台風当日の救援本部、水防本部の時系列の態勢整備の状況と、それぞれ当たった任務の活動状況についてお聞かせいただきたいと思います。
 避難所については、地域防災計画風水害編で指定されている22カ所のうち、今回は11カ所を開設いたしました。前日の10月11日の時点では、10カ所を翌日の午前11時に開設すると発表されていましたが、12日当日になって1カ所ふやし、また開設時間も前倒しを行うなど、柔軟な対応をされました。この点についても感謝申し上げたいと思います。
 台風当日は合計で844名の避難者があったとのことですが、各避難所ではどのような人員体制でどのように避難者の受け入れを行ったのでしょうか、お聞かせください。
 また、今回は、杉並区には避難勧告等が出されていなかった中で避難所の設置が行われました。こうしたときの避難所はどのような位置づけとなるのでしょうか。
 水防活動においては、今回も河川護岸の警戒巡視に当たっていただきました。毎回、豪雨の発生が予測されるたびに、水害多発地域にいち早く職員の方が駆けつけ、警戒態勢をとっていただいており、いつも心強く思っております。地域の方々も大変感謝をされています。
 一方で、暴風雨の中での移動や巡視活動、避難所の開設、運営等、職員自身の安全が心配されるところです。作業に当たる職員の安全管理と確認体制はどのようになっているのでしょうか。
 今回の台風については、気象庁が早い段階から緊急会見を開き、最大級の警戒を呼びかけ、それがテレビのニュースや天気予報でも繰り返し大きく報道されました。また、鉄道各社が事前に計画運休を決定するなど、災害に対する社会システムの事前対応の仕方が変化してきていることを感じました。避難所の開設についても、前日から情報提供されていたこともあり、私のほうからも地域の方々にできる範囲で伝達をさせていただきました。そうしたところ、震災救援所と混同され、自身の出動の必要性を問い合わせてこられた方や、また、地域のひとり暮らしの高齢者のどの程度の範囲にまで周知を行い、避難を勧奨すればよいのか判断に迷ったとのお声もいただきました。こうした避難所の設置に伴う具体的な避難行動の仕方については、今後整理していく必要性があると思います。
 そこで、区民一人一人、またそれぞれの地域においても、河川の氾濫に関するメカニズムを理解し、的確に情報を収集し、行動に移すためのリテラシー、すなわち防災意識の向上が安全確保には不可欠となります。マイタイムラインや水害ハザードマップ等、自助・共助の体制の強化について区の取り組み状況を確認いたします。

水害情報伝達と無電柱化による災害対策

中村 康弘

 次に、現状把握と区民への伝達について伺います。
 浸水等の被害が発生するおそれがある場合、効果的な水防活動や秩序ある避難等のためにも、河川の状況を的確に把握し、伝達しなければなりません。気象庁や東京都の観測データの収集、分析、伝達とともに、リアルタイムの状況を把握するため、区においても観測所の設置を行っております。区が行っている管内の雨量や河川水位等のデータ観測については、現在どのような体制となっているのでしょうか、お聞かせください。
 ところで、昨年8月に発生した集中豪雨のときに、私の地元である井荻地下歩道に設置されているエレベーターが冠水により故障し、数カ月間にわたり利用できない状況が発生しました。その後、再発防止策を施す中で、同エレベーターにIoT技術を活用した冠水センサーが設置されたと伺っております。改めて、このシステムの概要についてお示しいただきたいと思います。
 あわせて、今回の台風19号においてはどのように活用されたのか、お聞かせください。
 甚大な豪雨災害となった昨年の西日本豪雨では、気象庁や自治体から出された事前の情報が住民の避難行動に必ずしも結びつかなかったことが大きな課題となりました。そのことを教訓として、気象庁では、災害発生の危険度と住民に求められる行動を5段階のレベルで示す大雨警戒レベルの運用を始めました。今回の台風19号でも、高齢者や要介護者は避難のレベル3、対象地域の住民全員が避難のレベル4、命を守るための最善の行動をのレベル5などが広範囲にわたり発令されました。
 台風のようにある程度事前に影響が予測できる場合には、先ほどの避難所開設についてや緊急時の連絡先などの情報を、住民にいかに的確に、そして効果的に伝え、注意喚起を行うかが問われます。今回の台風では、各所から事前にさまざまな形で災害警戒についてのメッセージが発信されましたが、区からはどのような内容の事前注意の呼びかけを、どのような方法で区民に向けて発信したのでしょうか。
 一方で、台風当日、区のホームページが見づらい状況が発生しました。この現象はどのような原因によるものと区は分析しているのでしょうか。さまざまな要因が考えられると思いますが、こうした事態は今後も同様に発生することが予測され、改善が必要と思われます。
 例えば、これは区も今回実施をいたしましたが、公式サイトをテキスト情報のみの配信に切りかえ、サイトの表示する情報量を減らして負荷を軽減させたり、あるいはミラーサイトやキャッシュサイトを活用したりする等の対策が考えられます。
 サーバーの対策は、災害が発生していない段階からあらかじめ準備をしていくことが重要です。千葉市では、災害発生時には市ホームページを、URLは変更せずに、小規模、中規模、大規模といった発生した災害の規模に応じて、それぞれの災害時モードに切りかえる運用を行っています。そして、年2回を目途に、災害時モードへの切りかえテストを行っているとのことです。今回の事態を通して、区はどのような対策を講じるお考えでしょうか、お聞かせください。
 それでは、次の項目、無電柱化について伺います。
 9月に関東地方を襲った台風15号では、千葉県で長期間の停電をもたらし、ゴルフ練習場のネットが倒壊するなど、暴風により大きな被害が発生しました。そのときは上井草の私の家の近くでも、暴風により折れた、優に3メートルを超える木の枝が高く舞い上がった後、電線に引っかかり、道路上で宙づりとなる事態がありました。いち早く消防に通報し撤去していただき、大事には至りませんでしたが、大変危険な状況でありました。
 台風15号の際には、区内でも停電が発生しました。そのときの停電被害の状況と、どのような原因によるものだったのか、御説明をいただきたいと思います。
 千葉県での大規模な停電は、風による配電線の事故が複数箇所で発生したことに加え、倒木が電柱に倒れかかったり、事故現場への道を塞いだりしていたことが長期化した原因とされています。電柱の倒壊防止については、経済産業省の電気設備に関する技術基準を定める省令に、風速40メートルまで耐えられるようにつくることが定められておりますが、直接風で倒れることはなくとも、倒木の巻き添えになったり、重量物が飛んできたりすることにより、電柱、電線が破損することがあります。今後、50メートル、60メートルといった暴風が区内で発生したときに、停電による大きな混乱が起こることも考えられます。
 こうした被害を防ぐため区がとり得る対策として、電柱の地中化等による無電柱化があります。
 区では、一昨年11月に無電柱化推進方針を策定し、補助132号線を含む都市計画道路事業とあわせて着手する4路線に加え、荻窪駅南側の杉並保健所前の区道を優先整備路線に選定しました。しかし、全体から見れば、区の事業はごくわずかにとどまっているのが実態です。区が無電柱化を進めるに当たっての課題はどのようなものがあるのでしょうか、改めて確認をいたします。
 無電柱化の敷設に際して、国土交通省の調査では1キロメートル当たり5.3億円の経費がかかるとされており、区単独で行うには財政面で大きな課題があると考えられます。そのため、国や都の財政支援が欠かせません。現在の国及び東京都の補助スキームはどのようなものがあるのか、お聞かせください。
 国は昨年、今後3カ年で1,400キロメートルを無電柱化する目標を定めた推進計画を策定し、さらには、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の閣議決定により、市街地の緊急輸送道路の1,000キロメートルを無電柱化するという上積み目標を設定しています。
 また、東京都でも、全国の都道府県では初となる東京都無電柱化推進条例を平成29年9月に施行し、国道、都道に加え、区市町村道整備の支援を強化する中で、面的な広がりを持った無電柱化を推進するとしています。
 区としても、技術面、財政面からのさまざまな課題克服に向けて検討し、国や都と連携して、無電柱化を通した災害に強いまちづくりを推進していただきたいと思います。最後にこのことを要望し、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

答弁

議長(井口かづ子議員)

理事者の答弁を求めます。
 区長。
      〔区長(田中 良)登壇〕