区有施設資産の整備・管理戦略と設置基準
本日は、杉並区議会公明党の一員として、区有施設資産の整備・管理について質問を行わせていただきます。
先ほど島田議員より区有施設の整備に関連する質問がございましたが、私のほうからは、その全体的な計画、戦略、推進体制などの分野を中心に質問をいたします。
本年四月、三年ぶりに施設白書の改定が行われました。同白書では、本区が保有している土地建物の固定資産の全容、また、昭和四十年代からの取得の経緯についての概略が説明されています。
本区は、平成二十年度末現在で、区道以外の公有財産として、百七十五万平米の土地を保有しています。主に昭和四十年代の各施設建設に伴う土地の購入、昭和五十八年ごろの国有施設跡地の購入、平成三年度の自然村の土地購入、平成十二年度の公園用地の購入など、右肩上がりで土地の購入を行ってきました。
平成十四年度になって、校外施設の売却や民間委託を進めたことで、初めて区保有の土地面積が減少し、その後は、行政財産以外の公有財産、すなわち、特定の行政目的に直ちに使用されるものではなく、貸し付けや売却などが可能な普通財産の占める割合が大きく伸びたという傾向がありました。
一方、建物については、約八十一万平米を保有しています。全五百八十二の施設のうち、面積で約半数が庁舎や児童館、高齢者施設、図書館などの一般施設、残りの約半数は小中学校等の学校施設となっています。
昭和四十五年度から平成十三年度までは毎年増加し続け、この間に建物資産の面積は約二倍となりました。これも同じく平成十四年度に行われた施設の廃止により微減となり、その後は若干の増加となっています。
そして、この施設白書において、区が直面している実態が浮き彫りにされています。それは、すべての区有施設のうち、約五〇%が築三十年を超えており、約二五%が四十年を超えているということ。そして、施設の改築時期を築後五十年から六十年、最長でも六十五年の間に改築すると仮定し、また改修については、区の中長期修繕計画に基づいて改修を行った場合、平成二十一年度から五十年度までの三十年間で、改築費が一千八百四十二億円、改修費が九百二十四億円、合計で二千七百六十六億円余の財政需要が今後発生するとの予測が示されたことであります。
これらの状況を受け、施設白書において、今後の施設整備のあり方について、大きく三点にわたって区の課題認識が述べられています。
一つ目は、施設建設について、統廃合や再配置を含めた適切な選択、優先順位づけの必要性、二つ目は、既存施設の計画的な保全、改修、いわゆる施設の延命化の必要性、そして三つ目は、財源確保と施設管理体制の整備の必要性であります。本日は、これらの課題に関連してさまざまお聞きしたいと思います。
まずは、施設設置を行う基準について伺います。
区はこれまで、昭和四十五年に策定した杉並区長期行財政計画に基づき、区を七つの標準生活圏域とそれを細分化した四十六の近隣地区を設け、現在の地域的な施設配置の原型ともなる基準をつくりました。その後、昭和五十二年の杉並区基本構想、平成十三年策定の基本計画などをもとに、社会教育センター等の区全域を単位とする広域的施設、図書館や区民センター等の地域を単位とする地域的施設、そして学校や保育園、児童館等の地区を単位とした近隣施設を設置してきました。
前回の定例会において、今後新しい基本構想、総合計画の策定を通じて、区立施設の再編整備を多角的な視点から検討していくとの区の考えが示され、また先ほどの質疑の中でも、まちづくりと連動した施設配置の考えも区長の答弁の中で示されました。
それでは、現行の施設設置の基準を考慮したときに、原型の策定時である昭和四十五年ごろと、その後四十年たった現在を比べて、区民の生活スタイル、社会や地域コミュニティのあり方、そして行政の役割、また公共施設に対する需要については、これまでどのように変化してきたと区は分析しているのでしょうか。
また、新たな設置基準を検討するとすれば、将来どのようなニーズが高まってくるのか、そしてどのような要素を留意していく必要があるとお考えでしょうか、お示しください。
施設白書の中で、区は、現行施設について、区民ニーズや社会需要に合わせ、真に区の施設として必要であるかどうかを選択し、適正な配置を進めていく、そのためにも、行政評価等を踏まえ、求められる施設の必要性の優先順位づけを行い、優先度の高いものから計画的に整備するとの考えを述べています。
区が考える優先度、優先順位とは、何を基準に行うのでしょうか。優先順位づけのための基準、またそれを行うプロセスについて、区の所見をお聞かせください。
さらに区は、施設を建設し運営する従来型の施設整備のほか、民間との協働により必要な施設の確保を図り、区有施設の貸与による民間施設の誘致、区施設の民間への提供及び施設建設補助等、多様な手法を交えて施設運営を行っていくことについても述べています。
施設運営における民間との協働については、現状どの程度進められているのでしょうか。また、民間との協働は、コスト面も含めて、概括どのような効果、利点があるとお考えでしょうか。
これからの施設整備に関する区の基本的な方針についても伺います。
私は、これからの整備のあり方を検討するにおいては、既にあるものを生かすという知恵と工夫が求められており、これまで蓄積してきた施設を大切に長く使い続け、次世代に価値ある資産として継承していくことが大切であると考えます。将来の施設整備に対しての既存施設の活用については、区はどのような考えをお持ちでしょうか。
施設の延命化、長寿命化及び財政的に投資の平準化を図る取り組みについても伺います。
老朽化による更新が必要となる施設の増加や、更新時期の集中が財政に及ぼす影響を軽減するためには、予防的な改修による施設の長寿命化を通してコスト総額の縮減に努めるとともに、長期的な視点に立って投資の平準化を図らなければなりません。
まず、施設に関する基礎となるデータの管理状況について伺います。
施設整備を効率的、効果的、経済的に推進し、その目標管理を行うためには、施設ごとの基礎データの定量的な把握と課題の可視化、見える化が必要であり、財政面、品質面、供給面という三つの視点を網羅した、利用度やコスト、建築上のデータ、さらには固定資産台帳のデータなどが不可欠となります。そのためには、一元的なデータベースを常に管理し、有効活用できる状態にしておかなければなりません。
区有施設に関する情報としては、区は、どのようなデータをどのような形態で保持しているのか。さらには、データベースの管理体制についてもお示しください。
保全情報に関するデータベースについては、現在、都道府県及び政令指定都市が共同開発した保全情報システム(BIMMS)を初め、インターネット等のASPによるデータベースを使用することも可能です。ASP方式であれば、自前のサーバーやメンテナンスが不要となるほかにも、インターネットに接続する環境であればどこからでも利用可能なため、修繕費、維持管理費等の情報は施設管理担当者が直接入力できるとともに、施設管理者の業務支援ツールとしても活用可能であります。このような保全情報システムの使用状況、また今後の導入予定についての考えをお示しください。
ちなみに、固定資産台帳については、本区は、昨年の公会計制度の改革において、二十三区で唯一、総務省の基準モデルを採用し、このモデルに基づいて、当初に現存する固定資産をすべてリストアップし、公正価値により評価している台帳が整備されています。したがいまして、詳細で正確なデータを既に保有しています。
台帳の策定については大変なご苦労があったと思いますが、改定モデルではこれができなかったわけであり、資産管理の観点からも、基準モデルの採用が有益であったと改めて評価したいと思います。
施設の保全計画と長寿命化技術の導入
次に、施設の保全に関する方針、計画等の体系についても伺います。
標準的な鉄筋コンクリートの建物については、五十年程度の期間を設定して、建物の設計から建設、保全、清掃、改修から取り壊しまで必要な総費用、すなわちライフサイクルコストを見越した考え、計画が必要です。そういう意味において、長期的な方針、計画、またそれらに基づく保全項目についての劣化診断及び評価、それを中期的に、さらには単年度での修繕・改修計画などに落とし込み、保全を実行する体系立てた取り組みが望まれます。施設整備を行う計画類、またプロセスについて、現在区ではどのような体系のもと進められているのでしょうか、お示しください。
建物の長寿命化における最新の建築技術の導入体制についてもお聞きします。
長寿命化を図り、ライフサイクルコストが最少となるような設計、施工、施設の運営、維持管理を実施するための技術的な手法や方策を効果的に採用し、実行していくことが重要であります。
区は、このような技術的方策の導入については、現在どのような体制で行っているのでしょうか。白書の中では、スケルトン・インフィル分離方式などにも触れられていますが、今後どのように効果的な技術の導入を図っていくとお考えでしょうか。
施設整備財源の確保と財政平準化、推進体制
次に、財源確保及び財政支出の平準化について伺います。
先ほどの島田議員の質問の中でも述べられたとおり、今後の三十年間において、本区が施設整備に必要とする財政需要は、十年のスパンで見ても右肩上がりで大きく上昇し、平成四十一年度以降は、年平均百三十億円以上もの支出が必要となることが予想されています。
学校の改築については国庫補助があり、全額が区の一般財源からの支出とはならないものの、これらの総額で二千七百六十六億円余の改修改築費用は、今後区財政の硬直性を高め、さまざまな福祉予算等にも影響を与えることになります。そのために、資産構築における世代間の負担割合等、区のストックに関するバランスシート上での財務情報の分析も進めながら、長期的な視点に立った財政の平準化の取り組みが必要であると考えます。長期財政計画を含む区の長期的な財政需要に対する考え方、平準化を行っていくための財政戦略について、考えを伺います。
また、財源としての施設整備基金の現状及び今後の積み立て、建設債の発行、さらにはPFI等の民間資金の活用についての考え方をお聞かせください。
ちなみに、施設白書の中では、区役所本庁舎については改修費用のみが示されており、建て替え改築費用は、さきの二千七百六十六億円の中には算入されておりません。仮に他の施設と同様の見積もりを行った場合、費用はどの程度になるのでしょうか。それも含めて、本庁舎の改築需要についての見解をお聞かせください。
これまでるる質問してきましたが、財政、また公共サービスの供給面から考えても、これからの区有施設の整備は、今後の区政運営全般に深く関係する重要な事業であります。経済的なコストをもって、良質、良好な施設を区民ニーズにこたえた形でタイムリーに、長期にわたって提供していく目標と戦略、明確な基本方針と計画、そしてそれをPDCAサイクルの中で実行、管理していく仕組み、これら全体を網羅したファシリティーマネジメントの体制をしき、推進するべきであると考えます。
改めて区にお聞きしますが、区は、今後どのような体制、スキームを持って将来の施設整備と管理を具体的に進めていくおつもりでしょうか。
さらには、庁内の推進体制についても、財政、行革、財産管理、情報システム、営繕、そして個別施設を所管する部門などが縦横にまたがって進めていく必要があると考えますが、組織体制について区はどのような考えをお持ちなのか、所見を伺います。
これからの時代、公共施設の整備、維持管理について、財政面から、また変化する社会ニーズに対して今後どのように対応していくのか、将来を見据えた区の長期的な戦略策定とダイナミックな推進体制の構築に期待し、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
答弁
理事者の答弁を求めます。
区長。
〔区長(田中 良)登壇〕