平成29年11月17日 第4回定例会

在宅医療・介護連携推進事業の強化と区の役割

中村 康弘

おはようございます。杉並区議会公明党の一員として、在宅医療・介護連携推進事業について質問を行います。
 住みなれた地域で、安心して自分らしい暮らしを人生の最後まで続けていくことは、多くの人々の願いであると思います。そのためには、患者、そして支える家族を中心として、医療機関と介護事業者などが連携を密にして、一体的にサービスを提供していくことが望まれます。
 在宅医療・介護連携推進事業は、平成27年度より介護保険法の地域支援事業として位置づけられた、全国で展開されている取り組みであります。
 本事業では、地域の在宅医療の提供体制の確保について、それぞれの区市町村が主体となって、医師会等と連携をしながら取り組むこととされています。
 従来、医療は、専門医療の病床整備が二次医療圏ごとに行われるなど、主に都道府県が担っている分野であります。このたび区市町村が在宅医療の基盤整備の実施主体とされたことの背景、意義、また区に求められている責務と役割について御説明をいただきたいと思います。
 この事業は、取り組むべき内容として、以下の8つの事業項目が国より示されています。1、地域の医療・介護の資源の把握、2、在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討、3、切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進、4、医療・介護関係者の情報共有の支援、5、在宅医療・介護連携に関する相談支援、6、医療・介護関係者の研修、7、地域住民への普及啓発、8、在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携であります。
 平成30年4月までに、全ての自治体でこの8項目を実施することが義務づけられています。本区における実態としては、これらはいずれも、地域包括ケアシステムの多職種連携として、既に一定の取り組みが進められてきているものです。したがい、本事業の推進に対しては、区のこれまでの取り組みとの連続性を踏まえた上で、区独自に実施内容の一層の充実を図るという姿勢が基本になると考えます。区の考え、意気込みをお聞かせください。
 連携推進という言葉が抽象的な概念であるため、ともすれば表面的な、外形上のみの状態が評価の対象になってしまい、結果的に事業が形骸化してしまうことが懸念されます。この事業のスタートを切るに当たり、改めて、何のための連携かという本来の目的と、そのための手段を明確にした上で、事業の実施状況を見える化し、進行管理を堅実に行うマネジメントの仕組みを構築するべきと考えます。PDCAのマネジメントシステムです。本事業におけるマネジメントの仕組みについては、どのように考えているのでしょうか。
 また、その地理的な枠組みは、区全体として考えるのか、地域包括ケアシステムのケア24の地域ごとか、あるいは在宅医療地域ケア会議を開催している7つの圏域ごとなのか、区の考えをお聞かせください。
 PDCAサイクルのプラン、すなわち計画化は、現状の把握、課題の抽出、目指す理想像の検討、それに伴う取り組み内容の検討、そしてそれらを管理する指標の設定といったプロセスを通して進められます。
 8つの事業項目のうち、1番目の地域の医療・介護の資源の把握と、2番目の在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討については、プランの過程における取り組みに当たります。現状の把握は、PDCAサイクルの起点となり、それは情報を定量的及び定性的に把握するものであります。
 定量的な現状把握については、区では、国保、後期高齢者医療、介護保険のレセプト等のデータを収集して、在宅医療需要供給等の分析を大学の研究機関と協力しながら進めています。来年3月までに一定の分析結果が明らかになる予定であり、貴重な基礎資料になることが期待されます。この分析作業の進捗状況について、またどういった視点から分析を行うのかについて、改めて御説明をいただきたいと思います。さらには、こうした方法を採用するに至った区の狙いについてもお聞かせください。
 一方の定性的な現状把握とは、地域の方々や関係者がふだん感じている課題といった、数値ではあらわれづらい、いわゆる質的な情報を把握することです。区では現在、在宅医療相談調整窓口に寄せられている相談内容の分析を行っていますが、その分析を通して、質的情報の把握に努めていると理解します。この分析は具体的にはどのような方法で行っているのでしょうか。そして、現段階における特徴、傾向性等、どのようなことが浮かび上がってきているのでしょうか、お示しください。
 また、量的そして質的な調査は、一過性ではなく定点観測をすることにより、時系列でも評価することが可能になり、より意味をなすものと考えます。区の所見を伺います。
 把握した現状をもとに課題を抽出し、理想とする在宅医療・介護連携のあり方や、理想と現実のギャップを埋めるための取り組み、さらには優先順位などについての検討を行います。在宅医療推進連絡協議会及び在宅医療地域ケア会議が、この一連の検討作業を行う場であると理解します。
 在宅医療推進連絡協議会は、平成23年度から年3回、在宅医療地域ケア会議は、27年度から区全体で年1回もしくは2回、7つの圏域ごとで年3回開催されております。これらの場に、さきの現状把握に関する量的、質的なデータが新たに示されることで、検討内容がより具体的になり、充実していくことが期待されます。そして、さらに、それぞれの会議の過程を通して浮かび上がった課題認識や提案等を区の所管部署もひとしく共有し、必要な施策の展開へとつながる一気通貫した体制を整えることで、会議運営の実効性が増すものと考えます。
 在宅医療推進連絡協議会及び在宅医療地域ケア会議の実効性の向上に向けて、区はこれまで運営体制についてどのような工夫を行ってきたのか、お聞かせください。
 こうした過程を経て、次に指標の設定が行われることになります。指標の設定が合理的で明確でなければ、事業執行のチェック、評価、すなわち施策の妥当性や改善の必要性などを判断することが適切に行えなくなります。したがい、指標は、PDCAサイクルの軸の役割を担っていると言えます。
 保健医療の分野における指標の種類としては、サービスを提供する物的、人的資源及び組織体制をはかるストラクチャー指標、サービスを提供する主体の活動や他の機関との連携体制をはかるプロセス指標、サービスの結果をはかるアウトカム指標の3つがあるとされています。これらは、評価すべき内容や目的に応じて適切に組み合わされることになります。指標の設定について、区の考えをお聞かせください。
 こうして、プラン、計画化された後のドゥー、実行の過程に関しては、残り6つの事業項目が関係します。この後、それぞれの項目に沿って質問をしてまいります。
 3、切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進について伺います。
 安心・安全の在宅での療養生活には、時間的に切れ目がなく、急変時にも、夜間・休日を含めた対応ができる医療体制が求められます。これには、主治医と訪問看護ステーションによる連携体制や、患者、利用者の急変時の診療医療機関の確保、さらには主治医、副主治医制の導入などのさまざまな工夫、そして関係者の協力が必要です。区はどのように切れ目のない体制を構築していくお考えか、現状認識とあわせてお聞かせください。
 次の4、医療・介護関係者の情報共有の支援については、情報共有ツールとしてのICT機器の活用が鍵になると考えます。この項目については、ICT及び情報システムの活用として、後ほど質問をいたします。
 5、在宅医療・介護連携に関する相談支援について伺います。
 来年度より運営が開始される在宅医療・生活支援センターがこの中心的な役割を担うことになります。区では、在宅医療相談調整窓口を平成23年度に開設し、本年度からは、所管を高齢者部門から保健所へと移しています。センターは、この機能を引き継ぎ、発展させていくことになります。さきに述べたとおり、これまで培ってきた在宅医療相談調整窓口での経験を十分に活用していくことが大切です。
 本年第2回定例会の一般質問において、在宅医療・生活支援センターの体制に関して質問をした際は、主に高度困難な事例への対応について伺いました。同センターが有するもう一つの主要な機能が、地域の在宅医療の推進であります。その推進体制や活動方針等について御説明ください。開設まで既に半年を切っていますので、できるだけ具体的な青写真をお示しいただきたいと思います。
 ちなみに、このたび、天沼3丁目の複合施設の愛称がウェルファーム杉並と決まりました。この愛称には、誰もが気軽に利用できるというコンセプトが含まれているとのことですが、気軽さとともに、心強さも区民に感じていただける施設になることを期待したいと思います。
 続いて、6、医療・介護関係者の研修について伺います。
 歯科医師、薬剤師、ケアマネ、リハビリの専門職等が実際の在宅医療の現場を同時に訪問し、その場で互いの方針について理解を深め合う同行訪問研修などは、研修効果が高いとされています。また、十分な在宅医療資源の確保のためにも、在宅医の育成を目的とした研修も必要であると考えられます。医療・介護関係者に対する研修について、本区で実施してきた実績及び今後の計画をお聞かせください。
 7、地域住民への普及啓発について伺います。
 私は、本年2月に区が開催した在宅医療推進フォーラムに参加しました。訪問看護の第一人者である白十字訪問看護ステーションの秋山正子氏による基調講演、また、退院調整を行う看護師、かかりつけ医、薬局薬剤師等から在宅医療のケースレポートがあり、さらには、実際に自宅でみとりをされた家族へのインタビューも紹介されました。全ての話が充実したもので、大変勉強になるフォーラムでした。多くの区民が参加し、質疑応答も活発に行われ、関心の高さがうかがえました。
 最近では、各種メディアでも終活、ターミナルケア、みとりといった言葉を見聞きする機会がふえているように感じます。それゆえ、本事業についての情報も、今後ますます多くの区民から関心を持って受け入れられてくるものと考えます。
 時代や社会情勢とともに、在宅医療に対する区民の意識や要望は変化していくものと思います。区としてもそれを敏感に捉え、的確に応えていくためにも、普及啓発にとどまらず、双方向あるいは多方向のコミュニケーションの充実が望まれます。区の所見を伺います。
 8番目の、在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携について伺います。
 本区が所属する区西部二次医療圏においては、急性期対応の専門的な機能を担う大規模な病院はほとんどが区外に位置し、特に高度な救命救急センターやがん診療連携拠点病院は、区内には存在していません。また、介護老人保健施設に関しては、東京都内で現在196施設、2万1,000人強の定員があるのに対し、本区内にはわずか4施設、400人強の定員しかありません。
 こうした実態からも、他の自治体に存在する医療機関等との広域的な医療・介護連携の取り組みも必要となり、必然的に他の自治体との連携も求められることになります。この点については、東京都や東京都医師会等と密接に連携し、広域的な体制の整備に取り組むことが効果的と考えられます。区の取り組み状況及び協力体制についてお聞かせください。

医療・保健福祉分野における情報システム・ICT活用戦略

中村 康弘

 最後に、情報システム、ICTの活用について伺います。
 政策形成において、科学的な根拠となるエビデンスを活用し、効果的、効率的な政策運営を目指すエビデンス・ベースド・ポリシー・メーキング(EBPM)という手法が注目されています。本区でも進めている、レセプトなどのビッグデータを活用した先ほどの在宅医療需要供給等の分析や、第2期の策定中であるデータヘルス計画などはその一環です。区の情報化基本方針においても、今後、区の保有するさまざまな情報について、組織間、職員間での共有をさらに進めていくとともに、情報を分析、評価する手法を工夫することにより新たな情報の価値を創造し、区民のニーズに、より的確に応えられるようにするとの考えが示されています。
 IoT等の技術革新により、あらゆる物や事がデータ化、情報化され、EBPMの可能性が大きく広がりゆく時代にあって、在宅医療・介護の連携推進においても、情報システム、ICTの有効活用は必要不可欠な要素であります。またICTは、関係者間の情報共有、コミュニケーションにおける重要な連携支援ツールとしても位置づけられていると考えます。
 ただし、利用するシステムの種類や機器によって、共有する情報項目の取り扱う範囲が異なっていたり、共有情報の表示形式やデータ様式がばらばらで互換性がなければ、全く使い勝手の悪い、意味のないものになってしまいます。必要なデータを有効的に活用し、共有することを可能にする共通基盤、プラットホームの整備が求められます。
 福岡市では、医療・介護に関するビッグデータの分析と医療・介護事業者間の情報共有などを実現する福岡市地域包括ケア情報プラットフォームの構築を進めており、本年度以降に本格運用を開始する予定であると聞いています。これは、市が保有する医療・介護関連の各種データを集約するデータ集約システム、分析を行い医療・介護に関する地域ニーズや課題を見える化するデータ分析システム、要介護者に関する情報を家族や医療・介護事業者などが共有できる在宅連携支援システム、市内の医療・介護、生活支援に関する最新情報をウエブサイト上で提供する情報提供システムで構成されるとのことです。
 現在、国においても、全ての電子レセプト等のデータを蓄積したナショナルデータベースのオープン化や、地域包括ケア「見える化」システムなど、全国規模のシステム環境の整備が進められています。本区においては、こうした動向に沿った上での全体最適の視点や費用対効果、使いやすさ等もよく勘案する必要があるでしょう。
 一方で、信頼性の高い連携を実現するため、個人情報の適正な管理を確保すること、適正な情報セキュリティーレベルを確保することは重要な課題であり、その対応の強化も引き続き進めていかなければなりません。
 これらの点を踏まえて、最後に、医療及び保健福祉分野における今後の情報システム、ICTの活用についての区の所見を伺って、私の一般質問を終わります。
 ありがとうございました。

答弁

副議長(北明範議員)

理事者の答弁を求めます。
 区長。
      〔区長(田中 良)登壇〕