災害時の福祉支援とトイレ・ベッド確保
杉並区議会公明党の一員として、災害対策について質問を行います。
本年1月1日に発生した能登半島地震からはや1年がたとうとしています。被災地では9月には豪雨災害にも見舞われました。衷心よりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
6月、国の中央防災会議は災害対応の基礎となる防災基本計画を修正しました。その中で、能登半島地震で高齢者ら要配慮者が数多く被災したことを踏まえ、災害応急対策に福祉的な支援の必要性が明記されました。具体的には、地方自治体に対して、避難所の開設当初から間仕切りと段ボールベッドを設置することや、栄養バランスの取れた食事、入浴、洗濯など生活に必要な水の確保に努めるよう要請しています。また、指定避難所の保健衛生環境の整備については、仮設トイレなどの早期設置に加え、簡易トイレ、トイレカー、トイレトレーラーを明示し、より快適なトイレの設置への配慮に努めることを要請しております。いわゆるTKB、トイレ、キッチン、ベッドの確保であります。防災基本計画の福祉的な支援について、区ではどのように受け止め、具体的にどのような対策の強化を講じる考えか、伺います。
災害時におけるトイレの問題は、被災者の健康と衛生を守り、災害関連死を防ぐために極めて重要であることは言うまでもありません。本区の災害廃棄物処理計画では、災害時のし尿発生量は区内全体で1日当たり約29万リットルになると推計されております。災害による停電や断水があり、下水管路などが損傷することで水洗トイレが使用できないことが想定されるため、震災救援所等におけるマンホールトイレ、吸水ポリマー等で固形化される携帯トイレ、バキュームカーなど、排せつ物の処理は様々な方法によることになります。したがい、し尿の収集運搬や処理に関する作業形態や手順も多岐にわたることになります。区、清掃一部事務組合、東京都下水道局、民間企業等が分担してそれぞれの作業を実施することになると思われますが、具体的な役回りはどのように想定しているのでしょうか。お聞かせください。
先日、国土交通省による全国の上下水道施設の耐震化の状況に関する緊急点検の結果が公表されました。データは東京都区部として公開されておりますが、それによると、避難所や病院など災害時に拠点となる2,034か所の重要施設のうち、接続する水道、下水道の管路等の両方が耐震化されているのは令和5年度末時点で1,072か所、割合で53%とのことでありました。東京都区部としては全国平均15%より大きく耐震化が進んではいるものの、いまだ約半数の施設の水道の耐震化が行われていないという実態です。今回の質問を行うに当たり、この調査結果の本区内の状況について区から国に問合せをしていただきましたが、区ごとの情報は公開しないとの回答があったとのことであります。非公開の理由は分かりませんが、いずれにせよ、ライフラインである上下水道の耐震化は急務であります。東京都と連携を密に取り、引き続き推進をよろしくお願いいたします。
能登半島地震では、県外の自治体が所有する移動式のトイレトレーラーが被災地に集結しました。トイレトレーラーは、換気扇や小窓がついているものや、電池または太陽光パネルによって電源がなくても照明が確保できるものもあり、衛生的に使える仕様になっています。給水タンク、汚水タンクがついており、車で牽引して移動可能なため、他の被災自治体への広域的な支援にも有効です。さきに述べたとおり、防災基本計画でも自治体でのトイレトレーラーなどの配備が言及されております。トイレトレーラーは、使い方やタイプなどによって変わりますが、例えば4つの個室が設置されているものであれば、汚水タンクが満タンになるまで合計で1,200回から1,500回程度の使用が可能とされております。災害時の全体のニーズから考えると、その対応能力は限定的ではありますが、平常時においても建設現場やイベント開催時などに活用できる汎用性はあります。トイレトレーラーの配備について、現状における区の考えを伺います。
これまでの震災では、避難所の床の上での雑魚寝状態によるエコノミークラス症候群などの健康被害も問題化しました。雑魚寝状態の生活が続くと立ち上がることがおっくうになり、動かないことによる歩行機能低下と下肢血栓リスク、不眠による血圧上昇、床面の粉じん吸入によるせきや呼吸機能の低下、心身のストレスなどが生じ、最悪の場合、死亡につながる危険性も指摘されております。そのような健康被害の予防や湿気・粉じん対策として段ボール製の簡易ベッドが注目されております。本区では震災救援所における段ボールベッドの使用はどのように計画しているのでしょうか。調達、運搬、配備等の計画についてお聞かせください。
先日、東京都が、避難所の雑魚寝解消へ、支援策を来年度の当初予算案に盛り込む方向で検討しているとの報道がありました。そうした動向もよく注視して、区としても充実強化をよろしくお願いしたいと思います。
災害廃棄物処理計画と仮置場確保
次に、災害廃棄物について伺います。
能登半島地震では、石川県内で7万5,000棟以上の住宅の被害が確認されました。損壊家屋等の解体撤去に伴い大量の災害廃棄物が発生し、その量は県内の年間の一般廃棄物の約9倍に当たる約332万トンと見込まれているとのことです。言うまでもなく、一気に大量に発生する災害廃棄物を適正かつ円滑、迅速に処理しなければ、復旧復興の大きな妨げになるだけでなく、衛生環境の悪化や伝染病の蔓延といった事態も引き起こしかねません。
東京都では、本年9月27日から、石川県輪島市と珠洲市において発生した災害により発生した可燃ごみの受入れを行っており、杉並清掃工場を含む二十三区清掃一部事務組合所管の清掃工場及び多摩地域の15の清掃工場において、最大4万トンの焼却処理を行う見込みであります。
区の災害廃棄物処理計画によると、東京湾北部でマグニチュード7.3の地震を想定したシミュレーションから、コンクリート系混合物(コンクリートがら)、木質系混合物(木くず)、金属製混合物(金属くず)、可燃系混合物、不燃系混合物を全て合わせて、累積で約149万トンの災害廃棄物が区内で発生すると推計しています。この推計重量に対する体積量については、計画では、地震被害シミュレーションに基づけば232.1万立米、一方で特別区災害廃棄物処理対策ガイドラインによる算定では129.2万立米と、2つの異なる算出結果が記載されております。この違いは何によるものなのか、説明をお願いいたします。
区の計画では、232.1万立米に対する応急集積場所や一次仮置場に集められる廃棄物の月ごとの推移に対する必要面積を、阪神・淡路大震災時の実績を参考に推計しています。それによると、全て処理するのに3年必要とされ、発災後6か月目に集積量がピークになり、12.4万平米の集積用の土地が必要と見積もられております。現在の区内における空地、オープンスペースとなっている公有地で十分な面積の仮置場の確保は可能とされているのでしょうか。具体的なデータを用いて御説明をいただきたいと思います。
区内における代表的な公有のオープンスペースは都立、区立の公園になると思います。一方で、大規模な公園は、災害時には広域避難場所、応急仮設住宅の建設用地、復旧のための重機や資材置場、臨時のヘリポート、災害派遣部隊の宿営地、さらには車中泊避難者向けのスペースなど多様な目的に使用されることが想定されます。これらの用途別のすみ分けはどのようになっているのか、お聞かせください。
また、計画では「必要面積が不足する場合、私有地の借用を検討する」とありますが、具体的に使用可能な私有地としてはどのような種類の土地がどの程度存在するのか、種類別の面積をお示しください。
また、土地所有者とは平時から協定等を結んでおく必要があると思いますが、現状どのようになっているのか、お聞かせください。
さらには、災害廃棄物置場に使うことで土壌汚染などが発生する可能性も考えておかなければならないと思います。対策はどうなっているのか、お聞かせください。
適正かつ円滑、迅速な処理のための運営体制についても伺います。
仮置場及びそこへ運搬するまでに必要な作業員や職員の役割、必要人数について、どのような配置とし、実際の運用についてはどのような体制となるのか、お聞かせください。
それに伴う資機材や重機等の調達先、支援要請はどうなっているのか、また、仮置場の夜間の不法投棄対策や便乗ごみの防止、火災の予防や安全管理についてはどのような体制を計画しているのか、確認いたします。
横浜市では、民間企業と協働して、PLATEAUを使用した災害廃棄物発生についての実証実験を行っています。改めてPLATEAUとは、国土交通省が主導する、3D都市モデルを整備しオープンデータ化を行うプロジェクトのことです。多くの自治体の災害廃棄物処理計画では、災害廃棄物発生量の算出はメッシュ単位や建物平均延べ床面積を用いて行われております。本区も同様です。対して横浜市は、PLATEAUを使い、建物1棟ごとの建築年や木造・非木造などの構造、建物の階数を被害判定のパラメーターとし、より精緻な推定を行いました。結果、従前に行っていた算定値よりも災害廃棄物の発生量が大きくなることが分かり、また市内全域での仮置場の割当ても、公有地約160か所の仮置場候補地が必要となり、特に市街地では他地域との連携が必要となることなど、今後の政策課題が明らかになっております。災害廃棄物発生量のシミュレーションや、その算定結果の活用による仮置場ごとの集積範囲などの検討に対して、デジタルツールを活用することにより計画の精度向上につながるものと考えますが、所見をお聞かせください。
私は、昨年の第4回定例会でも、災害対策にPLATEAUなどの3D地図データを活用することを提案いたしました。そのとき区からは、「防災分野におけるデジタル技術の活用は災害対策の精度や質を向上させる可能性を持っている、災害対策の様々な局面に積極的にデジタル技術を導入していく」、「土木部門、情報政策部門が連携をして、オープンデータ化やデータ連携基盤の検討を積極的に取り組んでいく」との答弁を受けております。今後の展開に期待したいと思います。
所有者不明空き家対策と災害財政
次に、所有者不明の空き家の解体に関して伺います。
空き家の問題については、熊本地震や西日本豪雨災害、また能登半島地震でも、復旧の妨げとなる深刻な問題としてクローズアップされました。全半壊した建物の解体がなかなか進まないことの背景には、公費解体の対象建物が膨大な数で審査等に時間を要したことや、解体に必要な重機や資機材、人員とその宿泊先等の確保に加えて、所有者が特定できない空き家が多数存在するという問題がありました。本区において所有者が不明とされる空き家は現状どの程度あるのでしょうか。
民法と不動産登記法等が改正され、本年4月より不動産の相続登記の申請が義務化されております。防災上の観点からも、不動産の相続登記が適切に進むことでリスクの低減につながることと思いますが、区としてはどのような対策を進めているのでしょうか。お答えください。
能登半島地震では、所有者の同意を得ることが難しい場合には、所有者不明建物管理制度を適用して公費解体を進めたと聞いています。この制度の概要についてと、自治体はどのような手続を踏み運用を行うことになるのか、説明をお願いいたします。
能登半島地震の廃棄物処理では、災害ボランティアとの連携に遅れが生じたことも課題として浮かび上がりました。交通事情が非常に悪く、また水や食料、宿泊場所の確保ができないことなどから、被災当初は地域外からの災害ボランティアは遠慮してもらうという方針が取られ、被災住宅の片づけが進まない事態が生じました。本区内でも高齢者の単身世帯や高齢者のみ世帯が5万件以上あり、災害時には被災した住宅の片づけに多くの人の支援が必要となります。災害ボランティアの存在は欠かせません。災害ボランティアに対して誰が何を伝え、どのように活動してもらうかという具体的な連携体制や指示系統、指示内容、ルール等についてはどのようになっているのでしょうか。お聞かせ願います。
続いて、災害廃棄物の処理に係る経費について伺います。
廃棄物処理法第22条に基づく災害等廃棄物処理事業費補助金により、被災自治体は国から財政的な支援が受けられることとなっています。この補助金は、災害廃棄物や汚水等の収集、運搬及び処分に係る事業を対象に、自治体負担分の2分の1を補助するというものであります。災害廃棄物処理計画における災害廃棄物の発生推計から、その処理に係る費用は概算どの程度と区は見積もっているのか、お聞かせください。
さらに、国からの財政支援スキームとして、この補助金を除いた自治体負担分の2分の1に対し、8割を限度として特別交付税の措置があり、財政負担が一定の水準を超える場合には特例により災害対策債が発行でき、その元利償還金の57%分も特別交付税に含まれることとなっております。この特別交付税に関しては、不交付団体である特別区の扱いはどのようになるのか、災害時の特例措置等の適用は考えられるのか、確認いたします。
区では、財政健全化と持続可能な財政運営を確保するための基本的な考え方において、大規模災害と経済事情の著しい変動等による減収に備え、財政調整基金の年度末残高450億円を維持することを定めております。そして現在では、この額を約135億円上回る585億円の財調基金の積立てがあります。この450億円のうちの大規模災害への備え200億円は、阪神・淡路大震災で被災した西宮市のデータに基づいて算出されております。集中復興期の5年間にかかる経費のみを対象とし、またその半額のみを設定額としていること、約30年前の貨幣価値に基づいていることなどの課題はありますが、あくまでも現実を踏まえた上での当面の対策としては一定の合理性はあるものと理解しております。
災害発生時に財政課が取り組まなければならないのは、適時適切に補正予算を組むことであります。財政面からの危機管理能力が問われています。平常時から、いざ災害が起こった場合はどのような財政需要が発生するのか、財政面からのイメージトレーニングを行っておく必要があると考えます。実際に被災した場合、既存の災害財政制度の中で国等からはどのような支援が受けられるのか、一方で区として独自に財源を調達して執行しなければならない事業はどのようなものがあるのか、財政需要と財源を整理して災害時の補正予算の内容を予測して積算してみてはいかがでしょうか。そして、その積算額から西宮市の事例を参考に導き出した200億円という現在の設定額の妥当性を検証する、いわば財政上の危機管理の演習を行ってはいかがか、所見を伺います。
災害時ドローン活用の現状と連携
次に、災害時のドローンの活用について伺います。
今年9月の能登半島での豪雨被害の際、ドローンが活用されました。国土交通省の緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)は、護岸の一部が崩れて河川が氾濫した能登町柳田地区の被害状況などを調査いたしました。土砂で埋もれ、人が立ち入ることができない場所は、ドローンを飛ばして上空から被害の様子を確認しました。国土交通省は、ドローンによる調査結果を被災自治体と共有し、自治体が災害復興予算を国に申請する際に利用できるようにするとのことであります。また、一般社団法人日本無人航空機システム産業振興協議会は、石川県の要請を受け、輪島市下山町の孤立していた避難所にドローンを用いてパンやアルファ米などを届けました。
災害が発生すると、負傷者の搬送や消火活動などでヘリコプターが頻繁に低空を飛ぶようになり、被災地の上空はドローンの飛行を禁じる緊急用務空域に指定されることになります。しかし、自治体の要請を受けた民間事業者のドローンであれば飛行可能であり、事前に連携協定を結ぶことで速やかにドローンを活用することができます。このテーマについては昨年も一般質問で取り上げました。そのときの答弁で区は、「まずは防災関係団体や区が災害時の協定を締結している団体等のドローンの状況について確認をしていく」とのことでありました。調査の結果、民間事業者や関係団体等でのドローンの保有、活用はどのように把握しているか、また、そうしたドローン関連事業者との連携協定について現在の取組状況はいかがか、確認いたします。
災害時ドローン活用体制の構築
最後に、災害時のドローン活用の体制構築に向けて、今後の展開に対する区の考えを伺って、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
答弁
理事者の答弁を求めます。
区長。
〔区長(岸本聡子)登壇〕