令和4年3月7日 予算特別委員会

行政評価の概要と導入経緯

中村 康弘

行政評価について、あとデジタル化及び情報システムの運営について。使う資料は、頂いた資料19番、そして区政経営改革推進計画、デジタル化推進計画を使います。
 それでは、行政評価について伺っていきたいと思います。
 令和4年度は行政評価の見直しを行う予定ということでありますが、改めて、この事業の概要と目的、さらには本区における導入の経緯とこれまでの取組について御説明いただきたいと思います。

行政管理担当課長

当区における行政評価でございますが、平成11年度に事務事業評価を、平成14年度には施策評価を開始いたしまして、平成15年5月に施行された杉並区自治基本条例におきましては、行政評価の実施、公表に関する明文規定を設け、行政評価のプロセスが不可欠であることを明確にいたしました。
 その後、平成20年度予算におきまして、予算事務事業と事務事業評価の単位を一致させることで決算と行政評価を一体的に行い、区政経営におけるPDCAサイクルの実効性をより高めるための環境を整え、平成21年度からは、区政運営の状況を分かりやすく伝えるための区政経営報告書を行政評価の結果に基づいて作成、決算説明資料として公表しております。
 平成24年度に基本構想及び総合計画を策定した後は、計画の進捗状況や達成度の把握等にも活用してございます。

行政評価が担うPDCAサイクルの役割

中村 康弘

行政評価につきましては、私は平成28年第4回定例会で一般質問をさせていただきました。そのときの区の答弁で、行政評価の成果として、次の3点が示されました。1点目、行政活動のコストや成果を定量的に把握し、評価・検証する取組が区政運営のマネジメントサイクルの一環として定着していること。2、評価に携わることで、職員のコスト意識や成果を重視する意識が向上したこと。3、区の活動状況に関する区民への説明責任を果たすことに役立っていること、この3つが示されました。
 このうちのまず1点目の評価・検証のマネジメントサイクル、つまりPDCAサイクルの定着につきまして、具体的に、本区の予算編成から業務執行の一連の流れの中で行政評価はどのようなPDCAサイクルの役割を担っているのか、作業の順番を追って御説明いただきたいと思います。

行政管理担当課長

毎年度、事業終了後、5月の出納閉鎖後あたりですか、この頃から職員は行政評価表の作成を開始いたします。事業概要、プランの部分、取り組んだ事業、ドゥーの部分、評価と課題等、チェックの部分、翌年度以降の方針、アクションについて作成いたします。
 その後、上司と評価表について話し合い、事業の評価、課題を確認、今後の事業の進め方について共通認識を図ります。作成された評価表は、各課で次年度予算見積りの参考とするとともに、政経部におきましても、予算の部長ヒアリングなどで活用してございます。
 ただ、予算との連動につきましては、評価表作成時期の問題ですね、3か月ほど予算の見積りまでに間が空きますので、あと当該年度の予算作成時期までの評価ができないということもありまして、十分とは言えませんが、おおむねこういった流れとなってございます。

行政評価を通じた職員の意識向上

中村 康弘

続いて、2点目の職員の意識向上につきまして、今御説明ありましたPDCAサイクルということだけであれば、従前からある行政の仕組みの中に既にビルトインされているのではないかと指摘もありました。つまり、事前評価としての予算査定や議会での予算審議と議決、また事後評価としての決算の調製、監査委員による監査、その後、議会での決算審議と認定、こういうふうな、既にPDCAサイクルがあるじゃないかということに対しまして御説明がございました。
 これに対して行政評価は、そのPDCAサイクルを、職員自らがコストや成果を定量的に把握した上で、自分自身の仕事ぶりを評価・検証するということにその特徴があります。そしてそういった作業を通して、そのこと自体が職員の意識向上に貢献しているとの理解であります。
 行政評価を通した職員の意識向上については、区は今現在どのように総括しているのでしょうか。

行政管理担当課長

職員が評価することによりまして、事業の計画、見直しなどのPDCAサイクルを職場内で共有、評価する際に、職員間の議論を通して評価と改善の検討をすることで、職員の政策形成能力の向上を図るという目的の達成におきましては、まだ途上にあると感じておりますが、職員の意識向上という面では、ある程度評価してございます。今後、職員への行政評価の必要性等の研修、説明会を実施するなど、意識づけをしていく必要はあると考えてございます。

中村 康弘

今御説明がございましたが、一方で、この作業自体が負担になっているんじゃないかということで、いわゆる評価疲れという言葉があるように、形骸化しがちだというふうなことが言われているわけでありますけれども、この点についての区の認識は、現状、区役所を見回したときにどういう認識をしているか。また、そういったありがちな傾向性に関して、区はどのような対策を講じているのでしょうか。

行政管理担当課長

確かにそういった声も一部からあったことから、事務事業評価にめり張りをつけるという観点で、平成25年度からは、内部管理事務や施設の維持管理事務などを内容としている事務事業につきましては、執行状況やコストの把握のみとした簡易な評価としてございます。
 また、令和2年度からは、施策を構成しない事務事業につきましては、原則として評価項目を課題や予算の方向性等に絞った評価とするなど、改善を図っているところでございます。

中村 康弘

先ほどの3つ目の成果、区民への説明責任、この点については、私個人の感想としては、区民への周知、認知度という、行評価制度自体、まだ改善するべき点が多分にあるんじゃないかなというふうに感じておりますけれども、区の所見を伺います。

行政管理担当課長

現在、評価結果につきましては区のホームページに、また紙資料といたしましては、図書館などで閲覧できるようにしてございますが、確かに区民の認知度が高いと言えない状況にあると認識してございます。今後も様々な機会を通しまして、行政評価制度、そしてその評価結果の周知を図ってまいりたいと存じます。

中村 康弘

冒頭申し上げましたが、この制度につきましては、令和4年度、来年度見直しを行っていくということでございますが、今言ったことも含めて、現段階における課題認識と、そして今後の見直しの方向性について、改めて確認をさせていただきます。

行政管理担当課長

新基本構想の実現に当たりましては、各部局において、総合計画等に基づく取組を的確に進行管理し、実行計画事業を含めたPDCAサイクルをこれまで以上に十分に機能させることといたしておりまして、その方向に沿った形で評価表の記入内容等の変更を考えてございます。より制度が円滑に進められるよう、予算との連動等については、まだ十分と言えない面もございますので、今後、作成時期の見直しも含めた検討をしてまいりたいと考えてございます。

中村 康弘

よろしくお願いいたします。

情報インフラ最適化の定義と評価

中村 康弘

 続きまして、デジタル化及び情報システムの運営につきまして質問してまいります。
 デジタル化推進計画の中で、区は、「情報セキュリティの確保や費用対効果を考慮しながら効率的・効果的な区のシステム運営を行うため、仮想化技術によるサーバの統合化やクラウドサービスの活用、ネットワークの見直しなど、最新のデジタル技術を導入し、情報インフラの最適化に取り組みます。」とあります。なかなか難しい表現ですけれども。
 区が考える情報インフラの最適化とは、具体的にはどのような状態を指すのか。また、最適化しているかどうかというのを誰がどのように評価、判定するのか、お示しください。

情報システム担当課長

区が考えます情報インフラの最適化でございますが、情報インフラ機器等の更改等を契機に、適切なセキュリティー対策や、またコストを意識しながら、その時々の最新のデジタル技術を活用して最も効果のあるインフラを導入し、業務効率化や区民サービスの向上につなげていくことを指してございます。
 今後、情報戦略アドバイザーと適宜情報共有を図り、意見を伺いながら、情報政策部門が中心となって、区としての評価、判定を行いまして、さらなる情報インフラの最適化に努めていく考えでございます。

中村 康弘

今の表現の中にもありましたけれども、ネットワークとセキュリティーにつきまして、現在区の庁内ネットワークは、1、マイナンバー利用事務系、2、LGWAN接続系、3、インターネット接続系の3層構造となっていると思いますけれども、それでよろしいでしょうか。

情報システム担当課長

今委員のほうから御説明ございましたとおり、区の庁内ネットワークにつきましては、セキュリティーの観点から、マイナンバー利用事務系、LGWAN接続系、インターネット接続系の3つに分離してございます。

中村 康弘

それぞれのネットワークで行う事業の区分け、またネットワーク全体のセキュリティー対策はどのように行っているのでしょうか。

情報システム担当課長

まず、マイナンバー利用事務系につきましては、住民基本台帳や住民税といった住民情報系の事務になります。2点目のLGWAN接続系は、文書管理や財務、あとはグループウエアなどの内部情報系の事務になります。3点目のインターネット接続系は、インターネットメールですとかホームページ閲覧とか、そういったインターネットを活用した事務になります。
 これらは、おのおののネットワークを分離することで、外部のインターネットから、メールですとかあるいは攻撃、そういった被害を排除するものでございます。そのほかのセキュリティー対策としましては、データの暗号化ですとか、あとはデータの持ち出し管理とか、そういった様々な取組を行っているところでございます。

中村 康弘

今、事業を区分けしているというふうなことがありましたけれども、例えば、今テレワークが推進されております。計画にも入っておりますけれども、テレワークをしたとき、同一端末から、今言った1、2、3の複数のネットワークにアクセスする必要が出てくるのではないか。セキュリティー対策でそれぞれのアクセスに制限をかけるという必要性と、逆に制限をかけることによって作業効率が悪くなるのではないか、そういうことも考えられますけれども、テレワークの推進とネットワークのアクセスの問題につきましては、現在どのように整理をしているのか。

情報システム担当課長

区のテレワークでございますが、テレワークの専用端末から専用回線を用いて、LGWAN接続系のネットワークに接続している職場の内部情報系PCにアクセスし、文書管理や財務、資料作成等の業務をリモートで行っているところでございます。
 また、現時点におきましては、マイナンバー利用事務系の業務はテレワークになじまないため、利用しないこととなってございまして、テレワーク専用端末からマイナンバー利用事務系のネットワークに接続できないようになってございます。
 委員から今御指摘いただきましたセキュリティー対策と業務効率のバランス等の観点を踏まえ、今後も、テレワークによる業務拡大の可能性につきましては、人事部門と連携を図りながら研究していきたいというふうに思ってございます。

中村 康弘

推進計画15ページで、住民情報系システムの標準化について、昨年成立した地方公共団体情報システムの標準化に関する法律に基づくものと理解しておりますけれども、この取組の概要と、関連する今後の作業についてお聞かせいただきたいと思います。

情報システム担当課長

システムの標準化ですが、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律により、地方公共団体の責務として定められており、それに基づき実施するものでございます。
 標準化は、住民基本台帳などの地方公共団体の主要な17業務を処理するシステムについて、国が標準仕様書を作成した上で、各ベンダーが標準仕様に準拠して開発したシステムを全国規模のクラウド基盤、ガバメントクラウドと呼んでいますが、そちらのほうに構築し、当該システムを各自治体が利用することを目指すものでございます。
 なお、各自治体の標準準拠システムへの移行の目標時期は令和7年度までとされており、移行に当たっては、現行システムと標準準拠システムとの仕様の比較分析ですとか、あるいはデータ移行、システムテストなどの作業があると思ってございます。

中村 康弘

今17業務がございました。これは具体的にどの事業か。また、17業務はどういう基準で選定されたのでしょうか。

情報システム担当課長

17業務でございますが、住民基本台帳や住民税、国民健康保険、国民年金、障害者福祉など、主に窓口業務で取り扱うような住民情報系のシステムになります。
 この17業務ですが、情報システムによる処理の内容が地方公共団体において共通しているかという観点などから選定されたと存じます。

中村 康弘

今おっしゃったそういったシステムが標準化することによって、区にとってどういうメリットがあるのか。また、現在、今言ったことの対象外の業務システムの標準化というような、こういう動きはあるのでしょうか。

情報システム担当課長

システム標準化に至った国の背景でございますが、現在、地方公共団体の基本的な事務となる17業務のシステムは、地方公共団体が利便性等の観点から個別に機能のカスタマイズ等を行っており、その結果、維持管理や制度改正等の改修等における地方公共団体の負担が大きいこと、それから、クラウドによる共同利用が円滑に進まないなどの課題を解消するためと認識してございます。区におきましても、そういった課題が一定程度解消されるものかというふうに思ってございます。
 次に、標準化対象外の業務の動きでございますが、先般、戸籍及び戸籍の附票、印鑑登録の3業務が追加されてございます。そのほかの業務につきましては、現時点においては、追加される動きは聞いてございません。

中村 康弘

本区では住民情報系システムの再構築を行いまして、平成30年度から令和2年度の3年間で約20億円を費やしてきました。このことにより、年間のランニングコストは約2割、額にして年間約2億円削減されるとのことでありますけれども、投資に対する回収、また投資対効果について、改めて区の所見を伺います。

情報システム担当課長

維持費や改修費がこれまで高額だったホスト系システムから、それよりも安価なパッケージを主としたオープン系システムを利用することで、機器やシステム法改正等の改修等に係る運用コストについて、ならしますと年間約2割程度が削減できるというふうに言ってございます。
 また、職員によるシステム開発が不要となりましたので、情報政策部門の執行体制の大きな見直しを行うことができました。さらに、AI、RPAなどをはじめとした新たなデジタル技術の活用が容易となりまして、業務の効率化や区民の利便性向上につながったものというふうに思ってございます。

中村 康弘

先ほど、令和7年度から全国標準化ということをスタートするという予定ですけれども、それに向けて、標準化システムへデータを移行するための経費やテスト等に対する経費の負担についてはどのようになってくるのでしょうか。

情報システム担当課長

移行に必要な調査等準備経費のほか、環境設定作業、データ移行、それからテスト、研修等の経費等につきましては、一定程度国のほうから補助金が出ることとなっておりますので、こうした補助金を活用しながら適切に取り組んでいきたいというふうに思ってございます。

情報化経費精査の概要と実績

中村 康弘

次に、情報化経費精査の実施について、推進計画19ページにも載っております。この事業の概要、また、どのようなプロセスで行っているのか。資料19でも出していただいておりますけれども、過去5年間の実績と併せて御説明いただきたいと思います。

情報政策課長

情報化経費精査は、翌年度に調達を予定しているシステムを対象に、コンサルティング事業者を活用し、所管課へのヒアリングなどを行いながら、過剰なシステム機能などを是正し、経費の節減を行い、適正な経費に基づく効果的なシステムの導入を進めているものでございます。
 平成29年度からの5年間で33システムの精査を行いまして、合計で約1億6,600万円を削減したところでございます。

中村 康弘

その精査を行うときの委託先ですね、この資料から、今年度分実施分、令和4年度予算分から別の事業者に替わっております。委託経費もその変更に合わせて増額しておりますけれども、この経緯について御説明いただきたいと思います。また、来年度はどのように行う予定なのか、いかがでしょう。

情報政策課長

今年度から区のデジタル化を強力に推進するとともに、効果的で効率的なシステム導入を実現するために、こうした取組に精通するコンサルティング事業者に、デジタル化に向けた支援と情報化経費精査、併せて委託する必要が生じたことから、今年度事業者を変更したところでございます。
 また、精査の対象システム数をこれまでの2倍程度に増やしたことなどから、委託経費が増額となりました。
 来年度でございますが、調達を予定している全てのシステムを情報化経費精査の対象とするなど、システム開発や維持管理に係る経費の節減にさらに力を入れていく予定でございます。

中村 康弘

それに関連して、推進計画では、調達ガイドラインの見直しもうたわれております。この調達ガイドラインとはどのような内容なのか。また、どういった点で見直しを行う予定なのか、お示しください。

情報政策課長

調達ガイドラインは、システム導入に向けた企画、計画や見積金額の妥当性の確認など、予算要求に当たっての留意点をまとめたものとなります。
 見直しの主な内容でございますが、今後は、今般主流であるクラウドサービス導入のポイントや、システムの設計、構築フェーズにおける具体的な確認事項などを盛り込む予定でございます。

中村 康弘

システムの調達につきましては、先ほど来ありましたとおり、外部専門家の第三の目を入れて購入コストを抑えるという試みは、ベンダーロックインを回避する意味でも大切だというふうに思っております。ただ、もっと踏み込んで言えば、システムの調達コストのみにとどまらず、当会派の渡辺副委員長も常々述べているとおり、ICTに伴う業務の効率性、生産性も含んだ形での全体の最適化を図ることが必要と考えます。
 さきの当会派の代表質問では、業務改革の効果的なツールであるデジタル化を推進する組織を立ち上げるということでありますけれども、組織の青写真や守備範囲、またそのことによりどのような区にとっての効果が考えられるのか、最後にお聞きして、終わります。

情報政策課長

デジタル化を推進する組織といたしまして、デジタル戦略担当部長及び担当課長を新たに設置し、デジタル戦略を担当する職員を4名程度増員する予定でございます。この組織においては、各所管課に伴走しながら分野横断的にデジタル化を進めていくほか、デジタル人材の育成やデジタル化に向けた職員の意識改革など、総合的、統一的にデジタル化を牽引してまいります。
 こうした体制の下、内部業務の効率化を図りまして、効率化により生まれた余力につきましては、より丁寧な窓口業務や専門性を要する業務、新たな政策をつくる業務など、本来職員が担うべき領域に職員の力をシフトさせることで、さらなる区民サービスの質の向上に努めるとともに、職員にとっても働きがいを感じる職場としてまいりたいと考えてございます。