令和5年11月16日 第4回定例会

災害時デジタル技術活用とドローンによる被害状況把握

中村 康弘

杉並区議会公明党の中村康弘です。会派の一員として、災害時のデジタル技術の活用について質問を行います。
 内閣府の「防災×テクノロジー」タスクフォースは、「大規模災害時には、膨大な災害対応業務が発生するが、自治体等の人的資源には限界があり、迅速・的確な対応のためには、業務の効率化、省力化、それらに資する標準化が重要」と指摘しています。
 初めに、災害発生時の対応業務の効率化、迅速化のためのデジタル技術の活用について、区としての認識をお聞かせください。
 無人航空機ドローンと高精度地形情報の活用について伺います。
 令和元年12月、区は、ドローンの飛行管制システムの実証実験を行いました。これは、区が保有する高精度地形情報を活用してバーチャル空間上に杉並区の町並みの一部を構築し、そこでドローンの自動航行を管制するという実験です。ドローンの自動航行システムの開発をしている都市再生調査事業協同組合の協力を受け、杉並区役所を含む約350メートル掛ける185メートルの立体バーチャル空間を神奈川県相模原市の河川敷に再現し、現地でドローンを2機飛行させ、杉並区役所内で飛行管制を行いました。実証実験では、区が保有する数値表層モデル(DSM)の地形図が利用されました。このDSMには、航空レーザー計測による3Dレーザー点群データから、区内の建物や樹木を含んだ地球表面の高さを求めたデータが収められています。この地形図データをドローンが読み取り、正確に建物を回避し、広範囲における自動航行や複数機が衝突しないルートの生成、遠隔地からの離発着指示及び画像配信などが可能であることが確認できました。
 使用された高精度地形図の作成に区が取り組んできたこれまでの経緯と、この実証実験を行った目的と実験の成果をお聞かせください。
 災害が発生したとき、最初に求められるのが被害状況の把握です。従来の被災地調査の計測には様々な計測機器が必要で、多くの人員と労力を要します。熊本地震を経験した益城町では、家屋等の被害状況の1次調査だけで1か月以上を要し、職員の経験差によって被害判定に違いが生じたことなどから、2次調査希望のケースが40%を超え、調査終了までに半年以上を費やしました。大量の計測機器を所持し、被災直後の現地を調査、移動することは、担当者の体力の消耗だけではなく、安全面でも課題があります。
 昨年の1月22日、宮崎県日向灘を震源とする震度5強の地震が発生した際は、国土交通省の緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)デジタル技術を用いた災害調査を実施しました。対象規模が約2万平米と広大であったにもかかわらず、各種現地調査を約90分で終え、データ解析、資料取りまとめ、クラウドを用いたインターネットによる共有を含めた全作業を災害発生から24時間以内に完了したとのこと。従来の技術では2週間程度の工期を要するところを、デジタル技術を活用したことにより、10倍以上の生産性が確認できたとのことです。具体的には、スカイバーチャルツアー、空中からの360度映像作成、ドローン撮影写真による点群データ作成、高精細オルソモザイク写真の作成、iPhoneによる点群データの取得、クラウドによる点群データ処理などの技術が使用されました。
 この事例からも、区の高精度地形情報と実証実験によって得られた成果が、災害対策に大いに役立てられることが考えられます。受信した画像、映像をAIによる画像解析を行うことなどにより、被害状況の把握や救援活動、罹災証明書発行などの復旧復興支援業務などが大きく効率化され、業務の水準を格段に向上させることが可能と考えますが、区の見解を伺います。
 ドローンの飛行については、昨年12月、航空法の一部が改正され、機体認証を受けたドローンを使用し、技能証明を受けた者が運航ルールに従うことで有人地帯による目視外飛行が可能になりました。法改正の動きがある中、東京消防庁では、大規模災害に限らず、常時発生する火災や救助活動などにも積極的に災害対応ドローンを活用していくことを推進しております。また、本区の実証実験の際のドローンの運航は都市再生調査事業協同組合が担いましたが、同様の技術を有している企業や団体は多く存在します。
 そこで伺います。現在、区内の消防署を含め、区と何らかのつながりのある企業、団体などにおけるドローン機の保有や運航免許保持者等の現状を調査し、実態を把握しておくべきと考えますが、区の考えをお聞かせください。
 また、区では平成28年度に庁内組織を立ち上げ、ドローン活用についての検討を行いました。改めて、当時検討した内容の総括を伺います。実効性のある災害対策として確立するためには、今後どのような技術、機能、資源、組織体制が必要となるのか、考えられる範囲でお示しください。
 実証実験は、区の地図情報をオープンデータとして民間事業者に提供したことにより実現いたしました。区が保有するデータは、区内全域の25センチメートルメッシュ単位での地形情報を取得しており、精度の高さでは他の自治体では類を見ないものです。その情報資産を区役所内部にとどめるのではなくオープンデータとしたことで、システム開発の知見を有する民間事業者の協力が得られたのです。高精度地形情報は、とりわけ防災の分野においては物理的に広い範囲で活用するほうがより有効であり、広く展開することでさらに価値的になると考えます。実際、区が先鞭をつけたとも言えるこうした取組は、国や東京都でも同様の広がりを見せています。
 国土交通省は、令和2年にプラトー(PLATEAU)という3D都市モデルを整備、活用するプラットフォームを立ち上げ、多くの地方公共団体や民間企業、多様な研究者、エンジニア、クリエーターらが参加しています。また、幾つかの自治体においては都市OSと呼ばれるデータ連携基盤を活用したスマートシティーの取組を進めています。
 区がこのようなプラットフォームに参加したりデータ連携を行うなどすることで相乗効果が生まれ、区が保有する技術や経験、情報資産等がさらに発展していくと考えますが、区の見解をお聞かせください。
 また、そのことにより、区の行政サービスにとどまらず、民間の様々なサービスを創造する可能性が広がると考えます。そういう意味から、オープンデータ化など外部への働きかけもこれからも積極的に行っていただきたいと思いますが、所見を伺います。

震災救援所運営と被災者支援におけるデジタル技術導入

中村 康弘

 次に、震災救援所運営へのデジタル技術の活用について伺います。
 宮崎県都城市のデジタルケア避難所の取組を紹介したいと思います。同市では、避難所管理システムを導入し、避難所の入所には運転免許証やマイナンバーカード等の身分証明書を写真撮影し、OCRによる読み取り、マイナンバーカードのICチップの読み取り、避難者が事前登録したデータの二次元コード化による読み取り、これらどれにも当てはまらない避難者は口頭聞き取りから入所の登録を行います。入所手続が著しく効率化され、書かない避難所入所が実現しています。災害対策本部と各避難所間の避難者情報は、これまで電話や無線等による伝達であったものが、このシステムを通じて登録情報が一括で共有できるようになりました。さらには、避難所の定員に対して何人が入所しているのかを定点観測しホームページ上に公開することで、避難所の混雑状況がリアルタイムで可視化され、住民を空いている避難所へ誘導することも可能となりました。救援物資も在庫情報を自動的に災害対策本部と連携し、1日の消費量や消費期限等を加味した上で、需給予測をシステム内で行うことができるため、避難所の職員が計算をすることなく救援物資の追加等を災害対策本部が即時に判断でき、避難所間での物資のやり取りも容易に行えるようになりました。国の物資調達・輸送調整等支援システムともデータ様式を合わせ、入力の手間を増やさない配慮もなされております。
 また、宮城県多賀城市では、平時における備蓄品の管理と災害時の支援物資の要請を同一システムで一元管理し、災害協定を結んでいる地元大手スーパーなどとこのシステムを通じて物資の要請ができるようになっております。本区においては65か所の震災救援所があり、1か所当たり1,000人から2,000人程度、合計で9万2,000人以上の避難者を受け入れる想定となっております。加えて39か所の福祉救援所が設置されます。発災直後は大混乱が予想される中で、区職員を含む震災救援所運営連絡会の方々が、避難者の受入れや状況の確認、資機材の搬出、設置、救援物資の配送、配布、情報提供等の運営業務を行うことになります。
 現在の区の震災救援所運営管理標準マニュアルでは、避難者の受入れはどのような手順となっているのか。また、各震災救援所の避難者の入所状況はどのように把握し、どのように情報共有を行うこととなっているのか伺います。
 また、区の災害備蓄品は、災害備蓄倉庫と各震災救援所を合わせて合計106品目、約249万点の物資が常備されておりますが、それぞれの入替え、補充の管理はどのように行っているのでしょうか。また、災害時においてリアルタイムでの各救援物資の消費状況や受入れ等の管理については、現状ではどのように行う体制となっているのか確認いたします。
 その上で、区がこれまで通常業務でも導入してきたAI-OCRやRPAなどのデジタル技術を震災救援所の運営にも積極的に導入し、業務の効率化、迅速化を推進していくべきと考えますが、所見を伺います。
 続いて、被災者生活再建支援システムについて伺います。
 被災時、税金や国民健康保険料などの減免、見舞金や支援物資の支給、被災者生活再建支援金や災害援護資金の受給、さらには金融機関からの災害復旧支援の融資などには、罹災証明書の交付を受けることが必要となります。罹災証明書は被災者の生活再建に欠かせないものであり、できるだけ速やかな発行が望まれます。区では、被災者生活再建支援システムの運用を平成30年9月から行っております。これは、建物被害認定調査結果のデータ化や罹災証明書の発行など、被災者生活再建支援の業務管理をシステム化したものであります。生活再建支援に係る業務を一元的に管理し、災害発生時の支援業務を標準化、電子化することで、迅速で効率的な支援を可能にするとしています。本システムは、東京都が産官学共同で開発し、都内自治体に導入を推奨してきたものでありますが、現在都内で本システムを導入している自治体はどの程度あるのかお示しください。
 本区を含め導入済みの自治体は、東京都被災者生活再建支援システム利用協議会に参加しております。同協議会参加の自治体間でのシステム運用に伴う相互応援体制の整備はどのようになっているのか確認いたします。
 生活再建支援業務は、全庁的に多岐にわたり、また、地域防災計画や震災復興マニュアル等の災害への取組の内容にも大きく影響するため、システムの運用に当たっては関係課間で連携を図ることが重要となります。実務マニュアルの整備や職員訓練の実施状況についてお聞かせください。

災害対応力強化のための防災チャットボット導入

中村 康弘

 次に、防災チャットボットについて伺います。
 これまで区議会でも何人かの議員が防災チャットボットの導入を提案してこられました。区では、本年1月より粗大ごみに関する質問、申込みを、AIによる会話機能を活用したチャットボットでやり取りするサービスを始めております。この機能を災害対応用の防災チャットボットとして活用する自治体が増えております。
 防災チャットボットは、災害に関する情報提供、安否確認、避難経路の提供、帰宅が困難な方の支援や問合せ対応などの業務を、24時間365日、多言語で対応することも可能であり、災害時の対応業務の適正化、効率化に資するものと考えます。防災チャットボットについて、これまでの検討状況と導入に対する区の考えを伺います。

ICT部門業務継続計画(ICT-BCP)の見直しと今後の展望

中村 康弘

 最後に、ICT部門の業務継続計画、ICT-BCPについて伺います。
 災害発生時でも必要な業務を継続させるためには、電力の供給や電子情報機器に対するハード面、ソフト面からの安全確保は、危機管理上非常に重要であります。現在、区が定めているICT-BCPは、情報管理課が管理する全庁的なインフラ資源を対象としたものでありますが、災害時の活用が必要となる庁舎外のICT資源についても適切に業務継続が図られるよう対象範囲を見直していくという内容の区の考えが、昨年の私の一般質問に対する答弁で示されました。
 デジタル化推進計画を含め、区の各種計画が改定されており、デジタル化は今後も広がっていきます。また、3年後には標準化された新住民情報系システムが稼働するなど、区の業務執行におけるICT環境は変化し続けることになります。
 そうした中にあって、ICT-BCPの見直しについての区の考えと今後の予定を伺って、私の質問を終わります。ありがとうございました。

答弁

副議長(渡辺富士雄議員)

理事者の答弁を求めます。
 区長。
      〔区長(岸本聡子)登壇〕