コロナ禍における区の財政運営と医療支援、区民生活支援策
杉並区議会公明党の一員として、財政運営について質問を行います。
新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、療養中の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
また、地域の医療を懸命に支えている医療従事者の方々に心から感謝を申し上げます。
区は、新型コロナ感染症に関連して、本年度既に3度、総額627億円に及ぶ一般会計補正予算を組み、対策を講じてきました。区内基幹病院への財政支援をはじめ、発熱外来センターの設置や臨時宿泊施設の整備等、区独自の事業も矢継ぎ早に実行してきました。これまでの区長のリーダーシップと実行力、また職員の皆様の御努力を高く評価しております。引き続き、区民の命と暮らしを守るため、効果的な対策をよろしくお願い申し上げます。
一方で、災害に強く利便性の高いまちづくりや、進展する高齢化と本格的な人口減少社会への対応など、コロナ以外の諸課題への対策も着実に進めていかなければなりません。そして、そのためには、将来に禍根を残さない、持続可能な財政の確保が必要不可欠となります。非常事態と言える現在の状況下にあって、区は財政運営のかじ取りをどう行っていくのか。本日はこうした問題意識から質問を行います。一部、他の議員の質問と重複する項目がありますが、再確認する意味からも質問をさせていただきます。
補正第1号で、区がいち早く医療機関へ財政支援を行ったことは、医療崩壊を防ぐ、先見性に富む対応でした。当面3か月の費用ということで、今回は財政調整基金を取り崩しての財源対応を行いましたが、本来は国や都が十分な財源の手当てをするべきです。財源保障について、これまでの国や都との協議状況についてお聞きいたします。
また、区はふるさと納税のメニューに「新型コロナウイルス感染症対策」を加え、感染者向けの病床拡充や発熱外来の設置に伴う区内医療機関への支援、マスク、消毒剤等の購入経費等に活用していく仕組みを開始いたしました。5月29日までに126件、988万円の寄附の御協力があったとのことでありました。大変にありがたいことです。この取組に至る経緯や区内外からの反応をお聞かせください。
コロナの区民生活、区内経済への影響について伺います。
長期間にわたる自粛により、多くの事業者、個人が大きな影響を受けています。3月から5月にかけての産業振興センターにおける感染症対策特例資金等に関する相談及びあっせん状況について、加えて、社会福祉協議会での特例貸付けや住居確保給付金について、実績をお示しください。また、この間、福祉事務所に寄せられた生活相談において、コロナの影響によるものはどの程度であったか、お聞かせください。
住民への直接の窓口機能を持つ区として、各種支援策が必要とされる方に迅速かつ的確に行き渡るよう、引き続き御努力をお願いしたいと思います。
経済情勢と区財政への影響、財政健全化と持続可能な財政運営
次に、経済情勢と区財政への影響について伺います。
内閣府が発表した今年1-3月期の実質GDP速報値では、前期比、年率で3.4%の減となり、2四半期連続のマイナスを記録しました。民間の主要調査機関では、4月-6月期は年率でマイナス20%程度になるとの予測が相次いでおり、1980年以降で最大の落ち込みとなる可能性が指摘されています。
区の基幹一般財源である特別区税、特別区財政交付金、地方消費税交付金の課税標準は、個人、法人の所得や消費であり、経済情勢に直結しています。したがい、経済情勢の低迷により、区財政も大きく影響を受けることが懸念されるところです。また、これらの財源については、不合理な税源偏在是正措置というマイナス要因もあります。
こうした歳入歳出の情勢見通しから、本年度を含む当面の財政状況について区はどのように予測しているのか、改めて確認します。
仮に厳しい財政状況が当面続くとしても、コロナ対策関連へは、引き続き財源を重点的に投入していかなければなりません。区の事業全般の緊急度、優先度を改めて精査し、行財政改革を積極的に進めていく必要があると考えます。
また、ICTの活用を通した行政事務の効率化も加速させるべきです。今回のコロナ禍で、行政のオンライン化の必要性について、多くの人が認識していることと思います。ICTの活用を含む行財政改革の必要性はいや増して高まっていると考えますが、所見を伺います。
財政健全化と持続可能な財政運営を確保するためのルールに関して伺います。
区では、平成24年度にいわゆる5大ルールを制定、一昨年に刷新し、一定の規律にのっとった財政運営に努めてきました。
ルールを定めた当時、本区の区債発行残高と基金積立額の標準財政規模に対する割合は、共に23区の中で下位にありました。そこで、基金と区債をバランスよく活用し、基金積立総額を標準財政規模の50%に引き上げるという目標も設定しました。
平成23年度末と比較して令和元年度末時点では、区債発行残高は152億円から360億円へ、基金積立残高も352億円から641億円へと増額し、50%の目標には達しています。そのうち財政調整基金も、後に述べるように順調に積み立てられてきました。これまで財政のダムの必要性を訴え続けてきた立場からも、率直に評価しています。
区は、財政健全化と持続可能な財政運営を確保するためのルールを策定し、それに基づく財政運営を行ってきたこの間の取組について、どのように総括しているのでしょうか。
財政調整基金については、23区で見ると、平成21年度から30年度の過去10年間で20区で増額し、合計で2,356億円の増となっています。最も増加額が大きかったのは大田区の250億円、増加率では目黒区の350%増でした。ちなみに、杉並区は217億円、104%の増で、23区中それぞれ3位、5位にありました。
このたび、基金の積立て及び運営の方針等について各区の状況を調査し、本区を含む22区から回答をいただきました。緊急事態宣言の前に調査依頼したものですが、その後事態が変化していく中で、各区の担当者や区議会事務局調査係には丁寧に御協力をいただきました。この場を借りまして感謝を申し上げます。
ほとんどの区が財政調整基金を増額させてきた背景としては、近年の好調な景気動向に伴い、決算剰余金の積立てが可能な状態が続いたこと、リーマンショックと東日本大震災を経て、各区とも財政基盤の強化を意識した財政運営を行ってきたことなどが挙げられます。
財政調整基金の積立方針や目標額は、調査対象22区のうち、本区を入れて15区で定めています。例えば、港区では標準財政規模比5割以上、品川区では、リーマンショックによる急速な景気後退から回復までを2年間と仮定し、標準財政規模の10%相当の2年分、また中野区では、急激な景気の悪化で一般財源が50億円近く減収した経験から、3年程度区民サービスを維持するため150億円規模など。そのほか、標準財政規模の2割を目標としている区も複数ありました。
本区は、最も精緻にルール化している区の1つで、5大ルールのルール1で、災害対応に150億円、経済事情の著しい変動への対応に200億円、合計で350億円を下回らないと定めています。これに対して、現在の積立額は403億円ですので、50億円程度上積みできていることになります。
現在のコロナ禍は一種の災害に匹敵すると言えます。一方で、そうした事情にも、首都直下型地震や大型台風等の自然災害は容赦しません。むしろ社会環境が脆弱になっている中で大規模災害が起これば、人的被害が大きく膨らむことが懸念されるところです。
区が設定した災害への備えとしての150億円は、過去の震災で実際に被災した自治体の事例から、杉並区の人口に換算して算出したとのことです。3年前、兵庫県西宮市に会派の有志で視察に伺い、阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた同市の財政状況がその後どのように推移してきたか、詳しく聞かせていただきました。
西宮市では、平成6年度から24年度までの震災関連経費の合計額は4,485億円に上り、内訳は、災害救助費で325億円、災害復旧費で1,142億円、震災復興費で3,018億円です。財源としては、国庫支出金が1,747億円、県の支出金が96億円、合計1,843億円で41.1%を占め、市債発行による市の借入金が1,700億円で37.9%を占めました。市債発行残高は、震災前の平成5年度末で968億円であったのが、平成10年度には3倍超の3,133億円に増え、平成30年度末でも震災前の1.5倍の1,425億円で、20年以上を経た今でも、償還が重い財政負担となっています。
被災した自治体への財政支援は、災害救助法と災害対策基本法、それを補完する激甚災害法、そして財政支援の特別法といった枠組みの中で行われます。阪神・淡路大震災から中越地震、東日本大震災等を経て、国の財政支援の割合は大きくなっています。しかし、東京各地で大きな被害が発生した場合、国や都からの補助にどれだけ頼れるかは全く未知数と言えるでしょう。
区はこの150億円を、5年間の集中復興期間に要する財源としていますが、区の地域防災計画では、発災後6か月で震災復興総合計画を策定する中で、前提となる財政需要を把握することとなっており、今の段階で150億円の妥当性は厳密には判断できません。しかし、区もこれまで議会で答弁してきたとおり、この額ではカバーし切れないというのが大方の見方ではないかと思います。
改めて、災害対応150億円についての区の認識をお聞かせください。あわせて、現在のコロナ対策と将来の災害への備えという両局面に対する財政調整基金の活用については、区はどのように政策判断を行うのか、所見を伺います。
もう一つの備え、経済事情の変動への対応200億円については、リーマンショック時の平成22年度から25年度の4年間で、特別区財政交付金と特別区税合わせて214億円が減収となり、その間、財政調整基金を200億円以上取り崩した経験に基づいています。
コロナの感染終息が明確に見通せない中、経済の低迷は長期化し、リーマンショックのときを超えるのではないかとの見方もあります。そうなれば、現在の財政調整基金の繰入れだけでは対応し切れない事態も考えられますが、区の認識はいかがでしょうか。
5大ルールのルール2では、将来の区立施設の改築改修需要を見据え、施設整備基金に毎年度40億円を積み立てるというフローの数値を定めております。この積立額については、施設白書2018で試算した、長寿命化を図った上で現在の施設を同規模で維持した場合の30年間の将来更新経費に、中規模修繕等の経費を追加し、工事単価を調整した年平均の更新経費として115億円、改築施設の規模の適正化を図る割合95%、国・都支出金と区債充当額の5年平均35%を減じた65%、そして大規模な工事に施設整備基金を80%充当した場合の全体経費に占める割合55%をそれぞれ乗じて算出したものであり、積立てについては昨年度より実施されております。
区立施設再編整備計画における長期的な合理化、効率化の考え及びこれまでの実績について確認をいたします。
また、コロナ禍により財政見通しが不透明になっている状況下、本計画の再検討は行う予定か、お聞かせください。
資金調達としての区債の発行については、ルール3で、「財政状況を踏まえつつ、必要性を十分検討して発行」するとしています。
また、ルール5では、債務償還可能年数を計算し、その数値が3年を超えないことを定めています。平成30年度決算の実績ではこの数字は1年であり、それに対して、同年度の平均償還年数は17.1年でした。つまり、約17年で返済するべき借金に対して、1年で返済できる財源を区は現在持ち合わせていることになります。この数値を見る限りでは、償還能力にはまだ一定の余力があると言えなくもありません。
そこで、区債残高に対する現在の区の財政力と今後のフリーキャッシュフローの見通しを照合して、資金調達のポートフォリオを最適化することを検討するべきではないか、所見を伺います。
コロナ禍を踏まえた新基本構想策定の方向性
最後に、新基本構想について伺います。
新たな基本構想の検討が始まろうとしています。次の基本構想の期間は、景気後退に伴い悪化した財政状況と、そこからの回復期が大半を占めるようになるかもしれません。また、コロナとの共存で、私たちの日常の生活にも様々な変化が生まれることになります。
こうした時代背景を踏まえて、新基本構想、総合計画、実行計画の策定にはどのような姿勢で臨んでいくのか、最後に区の考えを伺って、私の質問を終わります。
答弁
理事者の答弁を求めます。
区長。
〔区長(田中 良)登壇〕