平成23年9月28日 決算特別委員会

財務書類の精度向上と公会計改革の課題

中村 康弘

財務書類に基づく区財政について、減税基金について。
 まず、財務書類をいただくタイミング、去年、2日前でしたので、この場で改善を求めました。今回は8日前にいただきました。6日間改善、この点は高く評価したいと思います。また、先ほど島田委員のお話にもございましたとおり、報告書も大変コメントがわかりやすくなった。これも努力の跡が見えます。評価したいと思います。
 ただ、一方で、きのう正誤表が配られましたが、記載ミスが散見されました。タイミングを早くと言いながら大変心苦しいんですが、精度の向上にも一層の努力を期待したいと思います。
 公会計改革を行ってからの3回目の決算委員会、所管として率直な感想と、今後の課題について区の認識を伺います。会計管理室長、よろしくお願いします。

会計管理室長

今委員から評価していただき、またご指摘もいただきました。この財務書類、3年目となったわけでございますが、率直な感想ということでございますので、一言申し上げますと、天気晴朗なれども波高しというような感想を抱いております。すなわち、今ご指摘ありましたように、財政の面で今後、将来に活用できるような、そういった見通しは着々と備えつつあるというふうに思う反面、まだまだ専門用語などわかりにくい面もございますので、区民の方あるいは議会の関係者の方にも十分わかりやすい財務書類の関係の整備、また解説、これを努力してまいりたい、奮闘努力してまいりたい、このように考えております。

中村 康弘

含蓄のあるお言葉、また強い決意、大変ありがとうございます。
 一方、貸借対照表、バランスシート、これは特別会計を含んだ単体のバランスシートですけれども、総括して概観、21年度と22年度どう変化したか、また22年度末でどのような状況と区は評価しているか。

会計課長

まず、ご答弁申し上げる前に、委員からご指摘いただいた点は、きのう、ようやっと正誤表を配らせていただきまして、まだまだ本当に未熟だと私自身も思っておりますが、来年に向けて検証体制をしっかり構築してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 また、委員の皆様にも本当にご迷惑かけまして、この場をかりて釈明させていただきたいと思います。
 それでは、ご答弁をさせていただきますが、財務書類のBS、貸借対照表でございますけれども、先ほどご答弁しましたように、金融資産全体でいきますと、59億減少している状況でございます。また一方では、負債は28億減ったというところでございます。そういった減少、減少の中でも、一方で純資産合計というのは対前年度で19億増やしてございますので、そういった面から見れば、まずまずだったのかなというふうに感想を持ってございます。

中村 康弘

金融資産が減少して、一方で負債も減っている、このトレンドは平成19年度から続いていると思います。最近区は、区債の発行と基金にも頼らない、バランスのとれた財政運営と言われていますけれども、金融資産の減少と負債の減少というトレンドを見た上で、バランスという部分では22年度はどうなんでしょう、バランスはとれているんでしょうか。どのように判断されていますでしょうか。

会計課長

資産の合計が減少したということでございますけれども、ご指摘のように負債も減っているというところでございます。加えて、先ほどご答弁しましたように、純資産も増えているという点で見れば、一応バランスがとれたというふうには私どもは考えてございます。
 それから、バランスでございますけれども、私どもで考えるとなかなか難しいんですけれども、そうはいっても、資産の形成だとか、負債をいかに減らしていくかというところを見ながら、毎年の決算の中でバランスを保っているかどうかというのは検証できるかと思ってございます。

中村 康弘

バランスの定義もしっかりと研究していただきたいと思います。例えば資金の流動性、キャッシュフローは、今回この4年間でどのようになっているのか。資金調達に関しては問題なかったのか。また、資金調達コストですね、ネットのコスト、要するに収益マイナス支払い利息、その辺のところがこの4年間でどのように変動しているのかというようなことも、バランスを考えていく上で非常に重要なポイントだと思うんですけれども、その辺に関してはいかがでしょうか。

会計課長

続いて非常に難しい課題でございますけれども、分析、評価というのはいろいろな見方がございますので、一方的なお答えはなかなか、差し控えさせていただきたいと思うんですが、資金の流動性については、予算をしっかり立てた中で、いかにその目的に沿って執行するかという中で流動性が担保されているかと思ってございます。
 それから、21年度は前年度より53億資金が減っているんですね。ところが、今回の22年度でございますけれども、8億円増加したというところでございます。
 それから、金融資産と負債の減少という点で見れば、22年度はおおむね24億の起債を発行してございますけれども、そういう意味では、発行して資金調達を行っているため、資金は増加になっている。ただ、一方で負債を増やした結果になっています。そういったところから、将来の資金の調達と負債の増加は比例する関係がございますので、その辺をバランスよくとっていく必要があるのではないかなというふうに思っています。
 それから、資金調達ということでございますけれども、そのコストについては全くわかりません。ただ、現状で申しますと、非常に金利が低い中での区債の発行という中での利払いが発生するということでございます。それと運用益ですけれども、そういったところで現状区財政に影響を及ぼすというところは、今の段階ではないのかなというふうに考えてございます。

中村 康弘

今、金融資産に関してお話を伺ったんですが、そもそも本区は約1兆5,000億の資産がありまして、そのうち金融資産は640億。これ、パーセンテージでいうと4%ですよ。96%が固定資産なんですけれども、非金融資産というのが圧倒的に多いですね。22年度で非金融資産に関しては、前年度から比べてどのような変化がありましたでしょうか。

会計課長

22年度、バランスシートで申しますと、非金融資産については、対前年度50億増加しています。その要因は、土地を取得したということと、天沼小学校や松溪中が新たに竣工したというところで、そういったものが増えてございます。また、インフラについては、桃井の公園だとかそういったものが増えたということで、非金融資産については増加したというところでございます。

中村 康弘

去年は固定資産の単価の評価替えがございましたね、21年度ということで。それで、16.9%、467億円の評価益があったわけですけれども、今回に関しては同じ単価ということなので、実際の売買による減少ということで、それほど、去年に比べれば変動は大きくなかった。ただ、2年後、平成24年度にはまた評価替えが来るわけでありますけれども、その辺に関して、現状と今後の見通しはどのように区は認識されておりますか。

会計課長

昨年、固定資産税の評価額、その評価を使って土地の評価をあらわした中で、ご指摘のように16.9%増えたというところでございます。これは東京都の固定資産課、評価課が管理している事業別評価等の調査というところで、昨年もこんなご答弁をさせていただいたと思うんですが、それに基づいて算定をしているということで、基本的には固定資産税を算定する中でこれを用いているところでございます。
 今後、3年ごとの評価があるんですが、ご指摘のように24年度になるわけですけれども、これはあくまでも東京都マターというか、東京都が持っていますので、その辺のところについては現在わかってございません。見通しも持ってございません。すみません。

行政コスト上昇の内訳と背景

中村 康弘

わかりました。続いて、行政コスト計算書でコストの中身をお聞きしたいと思います。
 トータルで総行政コスト、経常費用が、21年度が2,085億で、22年度は2,130億ということでコストが上昇しております。さまざま中身を見ますと、特に一番大きな変化があったのは、職員給料と退職金の給付費用、昨年度と比較してそれぞれの変化の額をお示しいただきたいのと、またその変化の背景についてご説明を、わかりやすくお願いします。

会計課長

非常に難しいあれなんですけれども、21年度の職員給料については、単体で290億6,700万余、退職給付費用についてはマイナス17億950万余というようなことで、今回出した22年度給与費は252億2,300万余、退職給付費については35億4,800万余というようなことになってございます。昨年度はマイナスになっていて今年度はプラスになっているという、その辺のところのご指摘かと思います。
 20年度以来、基準モデルを作成しているんですが、昨年度のPLの公表後、先ほど島田委員のご質問でありましたように、6区で情報交換会をさせていただきました。その中で杉並の退職給付費のマイナスが、これ、計上がちょっとどうなのというようなご指摘を一方からいただきまして、よくよく調べてみましたら、マイナスということは、コストを返さなければいけない、かかってないという表記になるんですね。よくよく中身を見てみますと、職員給料の中で退職給付費を算定していたというところで、オーバー分を退職給付費でマイナスで表記してトータルを合わせたというようなテクニック上の話をさせていただいたところでございます。
 この考え方につきましては、これから、総務省で出しているいろいろな報告書がございますので、それを見ながら私どもも精緻化していくというようなことでやってございます。

中村 康弘

わかりました。維持補修費が年々上がっていますね。20年度が54億、21年度が67億、当該年度22年度は80億ということで、この背景の説明をお願いします。

会計課長

会計課のほうでこれをご説明するのはなかなか難しいんですが、端的に申しますと、維持補修費は21年度、12億増えているということは見えるんですが、中身的には、施設の維持補修の工事関係が多かったというところでございます。

中村 康弘

あと、移転支出に関して、増えているのもあれば減っているのもありますけれども、この辺に関して大きなものだけちょっとご説明を、特に補助金がマイナス53億、社会保障関係費が、移転支出がプラス68億ということで大きいんですが、その辺、特に集中的にご説明いただけますでしょうか。

会計課長

まず、補助金等の移転支出でございますけれども、53億減少してございますのは、定額給付金の事業でございます。これが廃止になったということですね。その下の社会保障関係費、移転支出、これは67億増えています。これは端的に申しますと、子ども手当の増加というところでございます。

財務書類の偶発債務記載基準

中村 康弘

続いて、財務書類の記載の形に関して伺いたいと思います。
 注記、ありますよね。注記のところの偶発債務、これは昨年、別の委員がご質問されましたけれども、昨年に比べて今回は記載内容が変わっておりますけれども、これはどういうふうに変わったのか説明をお願いしたいのと、また、偶発債務の報告については、どのような基準で記載したりしなかったりするのでしょうか。

会計課長

偶発債務のご質問でございますけれども、基準日におきまして、現実の債務ではないんですが、将来、一定の条件を満たすような事態が生じた場合、その債務を負担するというものを記載するというふうになってございます。
 21年度までは、現在の桃井原っぱ公園の整備に当たって、URが立てかえたものを未確定という形で計上させていただきました。22年度でそれが終わりましたので、今回はそこは除きまして、改めて土地開発公社の50億をここに計上したところでございます。
 22年度財務情報を検討する中で、偶発的債務について検討をこの間してございました。将来において区の財政負担の可能性があるもの、それなりの相当額あれば記載するようにしましょうというふうな考え方で、今般改めてこの50億を計上したところでございます。

区の売却可能資産の内訳

中村 康弘

続いて、同じく注記の売却可能資産について、今の段階で区の売却可能資産として記載されているのは何でしょうか、一応ご説明ください。

会計課長

売却可能資産、千葉県の富津市で920万というふうにございますけれども、これは旧富津学園の土地でございます。

中村 康弘

この920万円は、前年度の財務書類にも同じ記載として書かれておりました。ただ、実際22年度1年間で約10億の土地を売却しておりますけれども、そもそも売却可能資産とはどのような基準でここに記載されているのか、また、そこに記載をすることにどのような意味があるのか。

会計課長

売却可能資産の定義でございますけれども、先ほど申しました研究会の報告書の後に、実務研究会報告というのがまた19年に出ているんですけれども、それによりますと、現に公用もしくは公共用に供されていない公有財産で、売却が既に決定していて、地方公共団体が特定した資産を載せろというふうなことになってございます。これは資産と債務を整理するというところから出ているという考え方のようでございまして、すべて載せることについての是非なんですけれども、これは不動産の売却ですから、あっせん業者等々がいろいろ出てきまして、地域の実情を十分考慮しなければいけないという、そういった基準を出してございますので、それに基づいて、富津学園については出したというところでございます。

中村 康弘

今後の財務書類のさらなる展開について、先ほど島田委員のほうからもございましたけれども、今後具体的に財務諸表のあるべき形というものを、指標ですね、明確にして、意思、目標を持って財政運営を進めていく。
 また、それに関連してなんですけれども、今回の決算時だけではなく、いわゆる結果だけを見せるのではなくして、予算や財務計画へこれを積極的に活用していく、あるいはマネジメントという角度で、セグメント別の策定、分析等を行って、しっかりとコストを把握し、分析を行っていく。こういったことを先進自治体で進められているところもたくさんあると思いますけれども、ここは財政当局の考えを伺いたいと思います。どのようにこれから活用していくおつもりか。

財政課長

この間、基準モデルを採用して財務諸表を作成して、3年間公表してまいりました。一歩一歩内容の充実を図っているところでございますけれども、財務諸表につきましては、自治体の財政状況をしっかりつかんで将来を見通すという意味で大変重要なものというふうに受けとめております。引き続きその充実に努めるということと、加えて、その活用については、今後内部で十分に検討してまいりたいというふうに考えてございます。

減税基金の凍結経緯と今後の見通し

中村 康弘

ぜひ積極的に活用をよろしくお願いしたいと思います。
 続いて、減税基金に関して質問をさせていただきます。冷静に質問させていただきたいと思います。
 まず、これは、昨年区長が就任されまして、基本構想を策定する中で改めて議論し、合意形成を図る必要があるというふうにお話しになって、唐突に凍結されたわけであります。そのときの私の理解では、その後、基本構想審議会の席で議論がされ、そして議会にもその結果が報告され、それで議会のところで合意形成を図っていくような議論が行われていく、そういうプロセスであるというふうに私は理解しておりましたので、それを待っておりました。また、去年の総務財政委員会でも、私は出ておりましたけれども、ある委員から、基本構想審議会に研究会のメンバーも招致をして、そこでさまざま議論をしてはどうかという具体的な提案もあり、それに対してある程度肯定的な答弁もあったということを私聞いておりましたので、そのようなプロセスだというふうに理解をしておりました。
 ただ、今回の議会で、先ほど1定で廃止ということも具体的にお話がありましたけれども、この辺に関して、これまで区が言ってきたことと私は流れが変わっている、動きが違うというふうに感じております。この点に関しまして、これまでの経過も踏まえて、明確にその辺の変化、またこれからどうしていくおつもりなのかというのを、改めて丁寧にご説明をいただきたいと思います。

企画課長

私ども、基本構想審議会の中で、最終的に施策としての減税基金条例をどうしていくのかということについては、その審議会の中でさまざまいただいた意見を踏まえて区として決定していきたい、そういうふうに当時思ってございました。そして基本構想審議会の中では、特に今後の行財政運営のあり方につきましては、調整部会で中心的に議論をして、その結果を基本構想審議会に上げていく、こういう流れでございました。
 そうした中で、調整部会では、今後の行財政運営のあり方、そういう大きな骨太の考え方を議論するのが調整部会の役割であって、個別の施策である減税基金をどうこうするということについて、これを直接的に議論するというのはどうだろうかと、こういう認識が示されてまいりました。
 そこで、私ども、そうした調整部会の考え方、その調整部会の整理されたことが審議会に報告され、それが了承された、そういう流れの中で、改めまして、ここについては、調整部会で示された今後の持続可能な行財政運営が必要だという大きな考え方、それを踏まえながら、今後策定していく総合計画の中で、そうしたことについても考え方を整理して、議会の皆様、そして区民の皆様にもその考え方をお伝えした上で、パブリックコメントなりの手続の中できちっと広く区民の声を聞きながら最終的に決定していきたい、こういう流れでございます。

中村 康弘

去年条例制定したときに、付帯決議を議会でつけました。私はその提出者の1人でもあります。その付帯決議の中の4番目に、一定期間ごとに施行状況を見直す、検証することというふうなことも議会の意思としてつけた立場の1人でもありますので、見直しを行うということ、それをかたくなに拒否するものでもありません。これは必要であるというふうにも私も理解をしております。
 ただ、私は、そのプロセスが非常に大事だと思います。条例制定後半年でいきなり凍結をされて、私は1年間待っておりましたけれども、それで9月ですから、4カ月後、5カ月後に廃止するつもりですと言われて、それを5カ月で何を議論すればいいんですか。1年半待って、区のほうから具体的に議論のさらなる発展となる、根拠となるデータか何か示していただいていますか。そういうのもなしに、廃止するかもわかりませんので議会で議論してくださいと言われても、私は何を議論していいかわからない。
 議論の延長線、これまで3年間かけてやってきたわけですよね。要するに専門家の集団が、減税自治体構想研究会が1年半かけて議論し、具体的なシミュレーションも行い、そういったデータベースをもとに、これはどうなのかということを、賛否さまざま意見がありました。本当にいろいろな多角的な質問がされました。私もかなりさせていただきました。こういうプロセスを経て、最終的に可決されたわけです。それを半年で凍結、1年たって、5カ月後に廃止、これは余りにも私はプロセスとしてはどうなのかというのは正直思いますけれども、その辺に関していかがでしょうか。

政策経営部長

私ども、今企画課長からお示ししたとおり、基本構想の策定、総合計画の策定の中で区としての考え方をまとめていきたいというふうなことは、この間ずっとお話ししてきたとおりでございます。そういった中で、審議会の中でも委員の方々、10年後を見据える新しい構想をつくっていくという中で、自分たちとしては、減税基金の是非のことを直截的に議論するよりも、新しい基本構想というのを議論して、そしてそれを支えていく財政運営はどうあるべきなのかということを出す中で、区としてその扱いについてはきちんとご判断していただきたいという思いが皆さん方の共通した思いだと思います。
 私どもといたしましては、この間、減税基金委員会なんかをやりながら、区の財政状況等をご報告しながら、そのことについては、この間議会でも、総務財政委員会等でご報告申し上げてまいりました。また、21年度等の決算に基づくそのシミュレーションがどうなのかということについても、この間ご報告申し上げ、また22年度の決算に基づいて、それが現実的にどうなのかということも、シミュレーションのそういった検証も含めてお出ししながら、私どもの考えも出し、そして基金の見直しをどうするかということについて具体的な提示もしていきたい、かように考えているところでございます。

中村 康弘

22年度のシミュレーションは出ていますか。

政策経営部副参事(伊藤)

22年度につきましては、これから作成ということでございます。

中村 康弘

先ほど申し上げたとおり、私は見直しそのものに対しては拒んでいるわけではありません。これは必要であるというふうに逆に思います。ただ、やはりその見直しをしていくプロセス、議論の中身がすごく大事だというふうに私は思います。単なる水かけ論とか感情論で廃止とか存続とかいうのをやるのではなくして、ましてや、まあこういうことはないと思いますけれども、前区長対区長みたいな、そういった構図で、政治的な議論、こういうようなことでの議論は私は本意では全くありません。
 そういう意味におきましては、合理的な実現可能性の可否も含めて、またイメージではなくして、具体的に財政状況が厳しくなったのであれば、1年半前の想定と今がどれだけ違うのか、こういう状態であれば存続できるけれども、こうだからやはり厳しいというふうなことを具体的にお示しいただいた上でしっかりと丁寧な議論をして、私はそういうふうにしていきたいという希望を持っております。
 先ほど部長のほうからもお話がありましたとおり、21年度に基づくシミュレーションが総財で先日示されたというふうに私も伺って、資料もいただいております。この21年度のシミュレーション結果に関してどのような状況であったか解説を、また特徴に関してもお示しいただきたいと思います。

政策経営部副参事(伊藤)

21年度の決算額を反映した形でシミュレーションを更新したものでございます。内容ですけれども、これまでのシミュレーションと同様に、経済成長率、また人口動態、金利動向につきましては、全く同じ条件のもと、21年度の決算データを反映したという形のものでございます。
 シミュレーションデータの特徴になるんですけれども、これは当該年度、21年度決算とその前の年度、20年度決算の差額の部分をトレンドとしてとらえて、それを将来の予測データとして反映していくというようなものが、このシミュレーションの特徴となっております。
 それを見た結果ですけれども、20年度に比べますと、21年度は、先ほど他の委員からのご質問にもありましたが、財政調整交付金などに大きな落差が生じてございます。こういったものなどを反映していく中で、将来の減税を実施した場合には、積立額が年々減少していくというような傾向が出てございます。

中村 康弘

そうですね。特に21年度は、20年度に対して財政調整交付金が非常に大きく激減したという特徴的な状況でもありましたので、そういったことでかなり如実に乱高下しているなと、私もグラフを見せていただきましたけれども、そういうふうな特徴がこのシミュレーションにはあるのかなというふうに思います。
 22年度、これからシミュレーションされるということですが、今の段階で、財政調整交付金に関しては若干改善しておりますけれども、区民税の問題もあります。その辺に関して区は22年度、これからということですけれども、どう見込みをされているのでしょうか。

政策経営部副参事(伊藤)

シミュレーションデータということでよろしいでしょうか。――シミュレーションデータに関しては、まだこれから反映ということになりますので、はっきりとはわかりませんけれども、22年度決算の中で、確かに財調交付金に関しては改善されています。ただ、区税収入等で減少の傾向があるということ、また歳出部分では、扶助費の伸びですとか、そういった点での歳出の増の傾向、こういったものが21年度に引き続いて同じような傾向を示しておりますので、これらのものが反映されるということになりますと、今回お示ししました21年度のシミュレーションデータほどの大きな差は出ないかもしれませんが、やはり同じような傾向というか、そういったものが出てくるのではないかなというふうには推測しております。

中村 康弘

わかりました。今後もシミュレーションをしっかりと行ってデータを示していただきたいというふうに思います。
 その賛否に関してはさまざまあるのは私も理解しておりますけれども、ただ、唯一私が大変残念に今思っているのは、凍結されたということによりまして、実は災害対策のための財政のダムの構築が、実際凍結されているということになるわけであります。昨年、減税基金が設置されると同時に災害対策基金が廃止をされました。我々も当初から財政のダム機能、先ほど島田委員からもございましたとおり、財政のダム機能というのは非常に重要であるというふうに考えておりますけれども、財政のダムの必要性に関して、区はどのように考えていますか。

副区長(松沼)

財政のダムということでございます。財政のダムという表現につきましては、いろいろなニュアンスはあることというふうに思いますけれども、先ほども財政規律のお話がございました。起債を繰り上げ償還していく、これは状況に応じてやっていく必要があるだろうと思っています。また一方で、起債を発行するあるいは発行しない、発行しないということではなくて、発行するということもやはりその条件に応じて対応すべきだというふうに思っていますし、そして基金の積み立てというのが財政のダム論につながるわけでございますが、基金積み立ては必要だというふうに考えています。単年度使い切りとか、あるときに全部使えばいいということではなくて、今後の不透明な状況を考えますと、これは間違いなく必要だということで、一般的に財政調整ということで財政調整基金ができておるわけでございますが、原則的にいえば、災害対策についても財政調整基金の中で対応するという考えがございます。
 したがいまして、原則に立ち戻りまして、財調基金で震災対策、災害対策については対応していくべきではないかというふうに考えておりますし、また先ほども少しご答弁いたしましたけれども、総合計画をつくる中で、総合ということでございますので、これについて、いわゆる基金積み立てのルール化ですとか考え方、これをきちんと盛り込むべきではないのかなというような方向で今検討しているというところでございます。

中村 康弘

今副区長のほうからも、財政のダムそのものに対しては、方法論はいろいろ考えはあるでしょうけれども、必要であるというふうなご答弁をいただきました。また同時に、使い切り予算からの脱却ということ、これは区長も去年答弁されていますね。「単年度主義に基づくいわゆる使い切り予算の見直しや、非常時に備えるために計画的に基金に積み立てることも含めて、中長期的な課題を視野に入れた財政運営に努めてまいりたい」、このようにもおっしゃっておりますので、財政のダムの必要性というものに関しては、我々もそれほど異論はないのかなというふうに思います。
 これは特別な考え方ではなくして、地方財政法第7条でも、決算剰余金の2分の1以上をためなければならない、翌々年度までに積み立てもしくは区債の償還をしなければならないと。5%の実質収支比率として、60億とか70億、これが剰余金として出た上で、半額以上そういった財政の健全化に当てはめていく、これは地方財政法でも定められているとおりでございます。
 財政のダムは必要であるというふうな考え方は理解しましたけれども、その水量に関してはどの程度なのかということに関してお聞きしたいと思います。
 これまで、災害対策ということでは、災害対策基金25億というのがずっとありました。改めて、答弁いただけるかどうかわかりませんが、この25億の根拠を教えてください。

財政課長

災害対策基金が設置されたのは昭和39年で、この時点では、大くくりの目安として、区民1人当たり1万円ということで、50億という目標値を定めていたというところでございます。

中村 康弘

50億で半分ぐらいしかためられなかったということですか。
 減税基金条例のときにずっと話題に出ていたのが、財政のダムの水位の目安といいますか、参考事例として出されていたのが、阪神・淡路大震災のときの西宮市のことを出して、4,200億という数字があったと思いますけれども、この数字の根拠、私はよくわかりますけれども、改めて、もう一度簡単にご説明いただけますでしょうか。

政策経営部副参事(伊藤)

ご議論の際に引き合いに出した金額かと思います。これは阪神・淡路大震災の際のデータの引き合いということで、当時人口規模が42万ということで近かった西宮市を例にとりまして、発災後の5年間で追加的経費として約3,300億ほどかかったということをもとにしまして、杉並区の人口に当てはめて4,200億というふうな金額でご説明をさせていただいたものです。

中村 康弘

そうですね。西宮市は不交付団体で非常に豊かな市でありましたけれども、阪神・淡路大震災を機に市債の起債をして、それがいまだに、21年度当時でもかなり多額の市債残高が、1,800億ですか、ありまして、経常収支比率に関しても、当初80%を切っていたのが今では95%前後、一時期は105%にもなった、こういったことを踏まえて、また市と国、県も被災団体でありましたので、市が6、国が4、そういうふうな支出であった。そういうふうなことも勘案しながら、3,300億というような西宮市の実質的な市の財政出動があった。これに対して人口分配で4,200億、そういう計算だったと思います。
 先ほどの1人5,000円もしくは1万円というところと、3,300÷42×54というふうなところ、いずれにしましても、財政のダム、大切なお金を積み立てる金額としては、計算が余りにも雑駁ではないかなというふうに私は感じるんですけれども、いよいよ、震災もございましたので、災害対策、ダムというものは実際どれだけ区で独自にやっていくものなのか、また、そのために必要なものはどうなのかということを明確に改めて検討して、金額というものを、できるできないはともかくとして考えていく、研究していくということがこれから必要じゃないかと思いますけれども、考えをお示しください。

政策経営部長

阪神・淡路大震災の西宮市の例、私、ずっとこの間、この議論をしています。ただ、3月11日の震災を見て感じることは、そういった大震災が、東京で首都直下型が起きたようなときに、燃えないあるいは倒れない、人の命は震災が起きても少しでも救っていく、そういったまちをどのようにつくっていくかということをまずは考えながら、同時に、復旧に向けて区が、国やいろいろなほかの自治体からの救援ができるまでにどこまで何を残してつくっておくのか、そういったことの視点で改めていろいろ考えていかなければいけない、かように考えているところでございます。

中村 康弘

金額を出すのは難しいと思いますが、せっかくのダムですから、しっかりと研究していただきたいと思います。
 基金の運用に関して伺います。
 実際ダムを築いたと仮に仮定して、これをしっかり運用していくということが必要だと思います。今も既に運用もされていると思いますけれども、22年度の運用実績、減税基金と、またその他一般の基金、それぞれご説明いただけますでしょうか。

会計課長

22年度の実績ですが、減税基金の運用益は1,070万余で、昨年売却してございますから、売却益を含めまして3,200万余でございます。それから、その他の積立金のことでございますけれども、運用益につきましては3億4,600万余でございます。

中村 康弘

それぞれ、計画に対して結果はどのように評価しておりますか。

会計課長

計画につきましては、減税の場合、利回り1.5%の目標値を掲げてございましたので、その目標を達成するために、当時購入する時点では金利が非常に低かったという状況がございましたから、10年と20年の債券を半分半分という形で保有して運用しました。夏に入りまして、金利が低下しまして価格が上がったというところで売却をしたところでございます。その後、運用計画に基づきまして、金利が大体1.5になるような形を考えますと、1.96%ぐらいだと思いましたけれども、そうなった時点で再購入をしたというところでございます。その後、サブプライム問題やリーマンの関係で、金利市場、債券市場は非常に厳しい状況になっているというところでございます。

中村 康弘

この資産運用に関して、会計課として、1年間、基金管理監という方、元日銀の発券局長だと思いますけれども、さまざま啓発を受けたのではないかと思います。運用というものに対しての考え方、また日ごろの仕事のあり方等に関して、何かこの1年間で変化はありましたでしょうか。

会計課長

自治体の運用というのは、我々は常に満期保有を原則とするというような固まった考え方をずっと持ってございました。ところが、債券の動きというのは、今ご披露しましたように、さまざまな関係で、経済の動向で変わってきます。管理監からは、そういったところを常に注視しろということでございます。その状況の中で、タイミングがあれば売却も視野に入れろという、そんなような考え方の中で、いろいろこの間ご指導、ご助言をいただいているというところでございます。

中村 康弘

資金の運用に関しては、安全性や流動性というものも確保した上で、効率性、いわゆる収益性も十分これから考慮した基金運用全般の運用を行っていくべきであるというふうに思っております。これからの時代、このような、これまでただ単に定期預金に預けているとか、それだけじゃなくして、安全性や流動性、そして収益性というものもしっかりと考慮した効率的な資産運用というのが必要であるというふうに思いますけれども、改めて区の考えを伺います。

会計課長

ご指摘のように、基金の財源は区民の方からお預かりした税金でございます。そういう意味で、安全性、流動性を確保しながら、収益性、効率性を十分考えて、基金全体を考えながら運用していくというのは、会計課の考え方、基本でございます。それに向けてこれからも頑張っていきたいと思っています。

運用収益の財源としての扱い

中村 康弘

ところで、こういった運用によって得た収益というのはどのような扱いになるのか。財源としては、一般財源、いわゆる自由に使える財源と理解していいか、改めて確認します。

財政課長

基金の中でも、特定目的基金と違いまして、財政調整基金は一般財源として扱われますので、基金も財調基金として一体化すれば、それは自由に使える──自由に使えるといいますか、汎用性の高い財源ということになります。

中村 康弘

そうですね。こういった運用による収益というものを一般財源として入れて、それを区民に還元するという考え方だと思うんですけれども、この還元の方法が、これまでの考え方では減税というのが1つ。その減税にも、あのときの議論では定率減税というのが何か大前提のようでしたけれども、減税には、定率減税もあれば定額減税もあれば、あるいは低所得者に厚い減税というのもありますし、場合によっては定額給付金というのもありますし、また、場合によっては現物支給で区民に還元する、さまざまな還元の仕方があるというふうに思います。こういったことで還元していくということが、実は区の付加価値サービスになるのではないかなというふうに私は思っておるわけですけれども、それに関してどうでしょうか。

政策経営部長

積み立てたもの、収益、そういったものがたまったものをどういうふうに残して使っていくのかということ、広く言えばそういったことだと思いますが、それは、次の世代、次の杉並区の繁栄の中でどういうふうに使っていくか、そういった果実として使っていくような、そういった形で運用していくということが必要ではないかなというふうに考えています。

中村 康弘

いずれにしても、ダム、また区民に収益を還元していく、こういったことが1つの、マイナスではなくてプラスの正の遺産につながっていくのかなというふうに思っております。
 これまでさまざま伺ってきました。使い切り予算からの脱却、長期的な積み立てを行っていく、財政のダムは必要である、効率的な資産の運用、またその運用益を区民に還元していく、正の遺産を残していく、こういったことの考え方というのは、いわゆる減税基金の基本的なフレームであるというふうに私は理解しております。中身はいろいろ議論すると思いますけれども、全体的なフレームとしては、決して突拍子もない政策ではないというふうに私は思っておりますけれども、それに関してもう一度お願いします。

副区長(松沼)

減税基金についての議論はいろいろあって、それは今委員のほうからもいろいろお話がございました。それで、先ほど、冒頭でしょうか、資料の提示、それから状況がどういうふうに変化したのかというようなお話もありました。
 ちょっとお時間をちょうだいすることになるかもしれませんけれども、先日、女川町に行きました。女川町役場の前に立って、3・11の大震災というのがいかに激しい、そしてまた過酷なものだったかということを改めて感じました。町役場の前に立ちますと、何か書類がいっぱい積んであるんですね。よくよく見ますと、住民票、それから精神障害者の医療申請の通知、それが風にあおられてひらひらひらひら舞っているわけですね。ついそれを集めて、またロッカーに入れたんですが、町役場はもう崩壊し、そして高台のほうに移転しているということはお聞きしましたけれども、そういう状況を見ますと、この震災というものをどういうふうに考えていくのか。
 先ほど、減税基金の中で震災対策についても触れられたというふうに思いますので、そういう点で、東京に来ると言われている直下型大地震ということを考えた場合に、今区が何をすべきか。基本構想を新しくつくって、新しく総合計画をつくる、この10年の中で何をしなくちゃいけないのか、何をすべきなのかということを改めて感じました。
 もう1つ感じたのは、あそこまで徹底的に破壊されますと、言ってみればほとんど残ってない。そうすると、この杉並区に引き寄せて考えますと、この10年間に何を残せるのか、あるいは何を残さなくちゃいけないのかということもやっぱり深刻に考えざるを得ないということを思いますと、これからの区政運営、そして震災も含めた区政運営ということを考えますと、この10年間に、災害に強いまちをつくる、魅力あるまちをつくる、それから孤立したお年寄りをどれだけ少なくするかということをもろもろ一生懸命やっていかなくちゃいけない。そうしますと、この10年で、将来の減税ということだけでいいのだろうかということをやはり考えざるを得ない。
 そうしますと、財政のダムというのは一方で必要です。それからもう一方で、この10年間何をすべきか、どういう施策を打つのか、これも重要だと思っています。ですから、そういう視点から考えて、先ほどもちょっとご答弁させていただきましたけれども、総合計画の中で、その考え方というのを一度整理する必要があるだろうというふうに思っています。したがいまして、基金の積み立てのルール化、これは財政のダムにつながると思いますし、また、起債発行も含めたいろいろな資金調達のルール化というのも必要だと思います。こういったことを踏まえてやっていく中で、我々が今何をなすべきかということを考えなくちゃいかんということ。
 それに加えまして、先ほど正の遺産といいますか区民還元の問題が出ました。区民還元をどうするか。確かに、あの時点での議論で、減税というのは区民還元の1つだったと思います。しかし、この10年何をなすべきかといったときに、次の世代に正の遺産ということも委員おっしゃっておりましたけれども、正の遺産として次の世代に何を残すべきなのか、また、そのためにどういう手法、正の遺産として次世代を育成するためにどういうことが必要なのか、これをあわせて考えていかなくちゃいけない。そういう中を総合的に考えてまいりたいと思いますし、また資料について、シミュレーションが、例えば22年度についてはどうなのかという議論がございましたし、そういう指摘もございましたので、そういった資料については可能な限り早くお示ししたいというふうに思っております。