平成22年3月8日 予算特別委員会

地域のがん対策と福祉タクシー券事業

中村 康弘

がん対策について、福祉タクシー券についてお聞きします。
 まず、がん対策に関してお伺いします。
 本区における現在のがん対策への取り組みの概要をお示しください。

健康推進課長

本区におきましては、今、五がんと言われる胃がん検診、肺がん検診、大腸がん検診、子宮がん検診、乳がん検診、及び喉頭がん検診と前立腺がんのPSA検査を行っておるところでございます。

中村 康弘

今、検診事業に関してご説明をいただきましたけれども、国では、平成19年にがん対策基本法、またがん対策基本計画を策定し、平成20年には、東京都でもがん対策推進計画を策定してきました。こういった流れの中で、基礎自治体としての杉並区のがん対策における役割というのはどのような位置づけと認識されているんでしょうか。

健康推進課長

一般的に、特に都市部においては、がん検診の受診率がかなり低いという実態がございますので、受診者数を増やすとともに、また精度管理という視点もございますので、きちんと精度管理を実施していくというようなことでございます。

中村 康弘

今受診率についても言及がございました。当区の今の受診率はどのような状況か、目標と、現状に関してどのような状況なのかというのをお示しいただけますでしょうか。

健康推進課長

目標というのは特に今持ってはございません。ただ国は、がん検診の受診率50%を目標にしてございます。そうすると、これは職域の検診も含まれてございますので、自治体としては35から40%ぐらいの受診率が必要というふうに考えております。当区の場合、胃がん検診は1.8%、肺がん検診0.6%、子宮がん検診10.8%、乳がん検診13.1%、大腸がん検診27.9%ということでございます。これは平成20年度の受診率でございます。

中村 康弘

今、目標に対して現状なかなか厳しい状況のご説明がございました。受診率の向上というのが、どうしてもこれからしっかりとやっていかなきゃいけない大きな課題だというふうに考えておりますけれども、その受診率向上に向けての今現在における我々が面している課題というのはどういうふうなものと認識されておりますか。

健康推進課長

やはり区民の方が、自分の健康を守るためにがん検診を受診しなければならないという意識を高揚していかなければいけないというふうに考えております。なぜ検診を受けないかというようなアンケートがありまして、その答えが、第1番が面倒くさい、時間がかかる、時間がないとか、そういったことでございますので、そういったことではなくて、きちんと自分が健康なうちに検診を受けていただいて、早期に発見して早期に治療すれば治療の選択肢も広がりますので、そういった意味で、区民の方の検診に対する意識を変えていくということが重要かと思っております。

中村 康弘

事前の検診ですから、どうしても切迫感というか、その辺がなかなか難しいのかなという部分もありますので、今おっしゃられた意識啓発の件に関しては後で詳しくお聞きしたいと思いますけれども。
 受診率向上への対策の1つとして、豊島区では21年度から国保加入者の特定健診や後期高齢者長寿健診の受診券の送付のときに、がん検診の申込書も一緒に同封しているというふうな報道がございましたけれども、このような取り組みに関してはどのように考えられますか。また率直に、本区でこのようなことを行ってみる価値はあるとお考えかどうか。

健康推進課長

現在は実施しておりませんが、申込書というより、お知らせの中にがん検診のお知らせも同封はしてございます。例えば申し込むような形のものを同封するということは可能かというふうに考えます。

中村 康弘

ぜひとも前向きによろしくお願いいたします。
 あと、精密検査に関してお聞きしたいと思います。
 区政経営計画書でも、がん対策の中の1つとして、要精密検査率の向上というものを目標として掲げておりますけれども、そもそも要精密検査率とはどういうものか、お示しください。

健康推進課長

要精検率というふうに言われておりますけれども、検診を受けた方のうちで、がん等の疑いがあるということで精密検査が必要だというような判定をされた方の率ということでございます。

中村 康弘

その要精検率なんですけれども、計画書では20年度の実績が7.6%だと。これに関して22年度の目標は10%というふうに具体的な数値目標として掲げておりますけれども、この要精検率の目標、7.6から10%へということは、どういう現状の問題認識に立ったものなのか。

健康推進課長

精検率については、適正な精検率の範囲というのがございます。適正な精検率よりも低い場合は、がんを見逃しているという可能性もありますし、高い場合は、逆に過剰診断みたいな状況があるということでございますので、そういった意味で、適正な範囲に精検率をおさめていくというようなことで、ここに記載しております。

中村 康弘

がん検診の精度向上という点につきましては、本区では、がん検診精度管理委員会というのを設けていると理解しております。同委員会の構成メンバーを含めた概要と、どのような活動をされているのか、活動状況をお示しいただけますでしょうか。

健康推進課長

がん精度管理委員会のメンバーでございますが、座長に日本大学医学部名誉教授の野崎教授、国立がんセンターがん予防・検診センター検診研究部長の斎藤博先生、聖路加国際病院放射線科医長の角田博子先生、杉並区医師会の副会長と理事の先生、それから保健所長、センターの所長、それと保健予防課の医務担当係長ということで、健康推進課が事務局で行ってございます。
 内容につきましては、杉並区で行われている検診が、精度管理が十分に適正な範囲で行われているかどうかということを話し合うものでございます。

子宮頸がんワクチンと検診による予防メカニズム

中村 康弘

続きまして、先ほどちらっとお話がありました、がんに関する教育、普及啓発に関してお伺いしたいと思います。またそれに関連して、子宮頸がんワクチンに関しても、午前中も質疑がございましたが、改めてお伺いしたいと思います。
 本件に関しては、先般、青木議員の一般質問でも詳しく紹介があったとおり、子宮頸がんは今、唯一予防できるがんとなっております。つまり1次予防としてのワクチン接種と2次予防としての検診、今回、無料クーポン券を21年度に続きまして22年度も継続するという予定でございますけれども、この1次と2次のセットによりまして、ほぼ100%の確率でがんの発生を抑制することができるというふうに言われております。
 午前中も若干ございましたけれども、このワクチンプラス検診というセットの考え方、どういう仕組みで抑制をしていくのか、このメカニズムというものをもう一度改めて確認させていただけますでしょうか。

健康推進課長

まず、子宮頸がんの発症メカニズムですけれども、ヒトパピローマウイルスというもので発症する。子宮頸がんを発症させるウイルスは、約15種類ぐらいある。今回発売されているワクチンについては、そのうちの2つの型のウイルスに効果がある。その2つの型のウイルスのワクチンを適正な時期に打つことによって、7割の子宮頸がんの発症を予防することができる。残りの3割については、ほかのヒトパピローマウイルスで発症しますので、それはワクチンで防ぐことはできない。適正な時期に接種をすれば、その2つの型のウイルスで発症する子宮頸がんについては100%予防できる。そこで防ぎ切れない3割について20歳からの検診で補っていく、そういうようなメカニズムでございます。

中村 康弘

このたび区が助成することを決めました子宮頸がんのワクチンに関しては、2008年度のノーベル生理学・医学賞を受賞したドイツのツア・ハウゼン博士という方だそうですけれども、HPVに関する分子生物学、疫学の臨床研究の偉大な成果であると言われております。先ほどもございましたけれども、現在では110カ国で既に承認されており、70カ国以上で公費助成や定期接種等で既に行われております。残念ながら、日本というのはこの点に関してはすごく遅れている、むしろ遅過ぎるというぐらい遅れていた。例えばオーストラリアでは、子宮頸がんにより亡くなる方を280人まで今減らすことができております。それをゼロにしようという目標で、完全制圧を目指している国もあるような中で、日本はやっと承認が去年おりた、そういう状況でございます。
 そういう意味におきまして、こういった状況も含めて、先ほどおっしゃったようなメカニズムも含めて、一般人はもちろん、メディアも医療関係者、教育関係者、さらには行政側にとっても、このことに関しては知識、認識が十分ではなく、正しい知識の普及啓発が重要である、そのように言われております。イギリス・スコットランドでは、パブリックヘルス教育など先進事例もございますので、そういったことも参考にしながら、ワクチン接種の公費助成事業とセットにして、子宮頸がんワクチンの効用について、さまざまな普及啓発の取り組みをこれからやっていただきたいというふうに考えております。
 先日都議会におきましても、この問題に関しましては、東京都としても今後区市町村と連携し、都民や医療従事者を対象とした積極的な普及啓発を実施していくとの言及がありました。ぜひとも、この件に関しては、東京都とも連携を密にしながら本件を進めていっていただきたいというふうに思います。
 一方、ワクチンの公費助成に関しましても、先日の都議会におきまして、都議会公明党の代表質問に対しまして、都は、包括補助制度の活用も含めた支援を行っていくと、東京都としても後押し、推進していくことを表明されました。このことにつきましては、本区、杉並区の先進的な決断が都を動かしたとも言えるというふうに思っておりまして、私どもとしましては、高く評価をしております。
 区としては、今回この東京都の公費助成の動きに関しては現状どのように把握しているのか、わかる範囲でお知らせください。

健康推進課長

東京都の助成の詳細については、まだこちらのほうでは存じ上げておりません。ただ、先ほど委員おっしゃいましたように、全体的な普及啓発というのが最も重要なことだというふうに考えておりますので、そこを重点的に力を入れながら、この政策を実施していきたいというふうに考えてございます。

中村 康弘

よろしくお願いいたします。
 がん全体に関する意識啓発に関してもお聞きしますけれども、がんという病気は、日本におきましては、今2人に1人がかかっておりまして、3人に1人ががんで亡くなっているという、日本は世界の中でもがん大国となっている。今ほぼすべての日本国民にとりまして、がんと何らかのかかわりを持たざるを得ない状況に我々日本人は面しているのではないかというふうに思います。
 一方で、がんという病気に対しましては、我々は漠然とした恐怖というものは感じているものの、実は余り詳しくその内容に関しては知らないというふうに言われております。がんはなぜできるのか、原因、予防、治療法はどういったものがあるのかというふうな、がんに対する正しい認識を持って敢然と向き合っていくことが大切であると考えております。
 東大病院の放射線科准教授であり、緩和ケア診療部長、がん治療の第一人者とも言える中川恵一先生は、「日本人にとってがんを知ることは今とても大切です。特に日本人にとって、がんになる前にがんを知ることが正しいがん医療を受ける基本になります。」と語っておられます。今回区のほうとしても英断していただきました子宮頸がんのみならず、がん全体について、今後大きく普及啓発活動に取り組むべき大きな課題だというふうに考えております。そういった意識啓発が、実は最初にお示しいただいた受診率の低いところというのも、がんというものをしっかりと理解していれば上がってくる、そういうふうにも思います。
 改めて確認いたしますけれども、がん全体に対する区民に対する普及啓発運動、また、杉並区が取り組むべきがん対策に関して、区はどのように認識して、これからどういうふうな形で進めていく予定なのか、お示しいただけますでしょうか。

健康推進課長

先ほどもご答弁しましたように、区では検診事業を行っております。早期発見して早期治療すれば治療の選択肢も広がりますし、後遺症も少なくて済むというようなこともございますので、自分の健康を守るという意味で、がん検診を積極的に受けていただきたい。自己負担はございますが、そんなに高く設定しているわけではございませんし、例えば生活保護の方とかは救済措置もございますので、そういったことで、がん検診をしっかりと受けていただこうというようなことで、今後も啓発活動に努めていきたいというふうに考えてございます。

中村 康弘

力強いご決意をお聞かせいただいたので、ぜひともよろしくお願いしたいと思っております。
 豊島区では、がん対策を区政の最重要課題というふうに位置づけ、有識者による推進会議、庁内組織である対策推進本部を立ち上げ、2011年3月にはがん予防計画(仮称)の策定、また、4月にはがん対策条例の施行を目指して現在動き出しているというふうに聞いております。先ほど本区に関しまして対策ということでお聞きしたところ、がん検診に関してのお答えがあったんですけれども、それだけじゃなくて、今までお話しした検診の質の問題、また普及啓発の問題、がんとどうやって取り組んでいくのか、そういったところに関して、総合的に全体的な重要政策というふうにしっかりととらえて、これからがん対策を推進していただきたいと思うんですけれども、今ご紹介した豊島区のがん対策に関して、本区としては取り組みに関してはご存じなのか、またどのように評価しているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

健康推進課長

豊島区では、10年に都内初の条例を制定へということで取り組んでいるということを聞いてございます。豊島区の場合は、がん検診の受診率、都の平均が10.28%のところが豊島区の平均は5.24%で半分ぐらいということでございます。杉並区の場合は10.9%ということで、都の平均をやや上回っているというようなことでございます。ただ、13年度までに15%に引き上げることを目標にしているということも聞いてございますので、豊島区の取り組みも参考にしながら、条例化ということまでは考えてはございませんけれども、どのような取り組みをしていくかということをしっかり調査しながら、杉並区としても取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

福祉タクシー券事業の目的

中村 康弘

ぜひともよろしくお願いいたします。
 続いて、福祉タクシー券に関してお聞きしたいと思います。
 まず、本事業の目的に関してお知らせください。

障害者施策課長

この事業は、歩行困難な心身障害者に対して、タクシーの乗車金の一部を助成するものでございます。

中村 康弘

どういったことを目的としているのか。

障害者施策課長

歩行困難の状態があっても外出を支援するというものでございます。

中村 康弘

この事業に関して資料をいただいたんですけれども、タクシー券の発行に関しては昭和53年から開始をされております。しかし、これまでのタクシーの初乗り料金の増加、ちなみに昭和53年時は2キロまで330円、現在では710円と上がっておりますけれども、タクシーの初乗り料金の増加と給付額に関しては関連性というのが見受けられないんですけれども、給付額の設定に関してはどのような考え方のもと決めているのでしょうか。

障害者施策課長

タクシー券はあくまでもその一部を助成するものであるという考え方から、算定しているものでございます。

中村 康弘

ちなみに、スマートすぎなみ計画、第4次行財政改革実施プランには、「タクシー券の給付額を所得や必要度に応じて見直す」というふうに書いておりますけれども、この計画、プランにこういった記載がされている背景はどのようになっているんでしょうか。

障害者施策課長

このタクシー券の制度なんですが、特に近年では、高齢になって足腰が弱くなったということで身体障害の認定を受けて、この制度を利用される方が非常に増えてきたということがありまして、高齢者のほうに独自のこういった制度がないという点であるとか、それから一部、所得の高い方も利用されているということもあったり、一部のご利用者さんの中には、定期的に頻回に通院する、あるいは人工透析を受けていらっしゃるということで、タクシー以外の交通手段がなくてこれを頼りにしていらっしゃる方にとっては非常に経済的な負担があるので、もっと増額してほしいというふうなご要望等があるということから、るる検討していかなければならないというふうに考えたものでございます。

中村 康弘

今課長のほうからもお話ございましたとおり、例えば腎臓機能障害1級で人工透析を受けている方、区内では約900名近くいらっしゃるというふうに推計されますけれども、週に何回も行かなきゃいけないわけですよね。特にタクシーで通院するとなると、一往復すると数千円かかるという中で、今、月額5,300円となると、すぐに使い切ってしまうというふうな状況もあります。
 さまざまな障害の状況に応じて使われ方というのはあると思いますけれども、一度使用状況の実態調査を行って、本来区が目的としていることにこの事業は寄与しているのか、そういったこともしっかりと調査をする必要があるのではないかと考えますけれども、区はどのようにお考えでしょうか。

障害者施策課長

今委員がおっしゃられましたように、本当に必要性の高い方がどのような状況で外出していらっしゃるのかということをあわせて、調査についてはしていきたいと考えております。