平成27年6月1日 第2回定例会

高齢者施策の今後と地域創造型福祉の推進

中村 康弘

杉並区議会公明党の一員として、高齢者施策について質問いたします。
 私ども杉並区議会公明党は、昨年12月から本年3月上旬までの期間で、区民を対象に、支え合いの共生社会構築に向けてのアンケートを実施いたしました。調査対象を区民全般向けと要介護者・介護家族向けの2種類とし、それぞれ幅広い年代の意向や介護の実態などを把握することを目的に行い、合計で3,000名近い方々に回答をいただきました。改めて、この場をかりまして、ご協力いただいた方々に感謝の意を表させていただきます。
 回答結果を分析した上で、その内容を「『すぎなみ地域創造型福祉』実現への7つのアプローチ」との政策提言にまとめ、先般、田中区長に提出をさせていただいた次第です。本日は、その提言の内容に沿って、区の高齢者施策の今後の展開について伺ってまいります。
 初めに総論として、これからの時代の福祉社会のあり方についてお聞きしたいと思います。今回、「支え合いの共生社会」、「地域創造型福祉」という言葉をアンケート及び提言のタイトルに用いたわけですが、これらは、これからの福祉社会のあり方においてキーワードになる概念であると私どもは考えております。これまでの、経済規模や人口が増え続ける右肩上がりを前提とした、成長の成果を分け合うという従来の価値観ではなく、地域住民の暮らしとコミュニティを守ることを重視する共生の価値観こそが、超高齢、人口減少の時代において、人々の間で共有されるべきものと考えます。
 福祉とは元来、憲法第25条で定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」との考えに基づき、最後まで人間らしく生きる、個の尊厳を守るものであります。そして、個の尊厳を守るには、人と人とのつながりが不可欠とされています。そのためにも、社会的なネットワークや相互扶助、信頼関係などの目に見えないソーシャルキャピタル、社会関係資本を豊富に蓄積していくことこそが福祉社会の根幹をなすものと考えます。
 これからの福祉社会は、それぞれの地域の特色を最大限に生かして地域で創造していくものであり、その場所で暮らす人々の自発的な互助のネットワークを基盤とした、支え合いの共生社会を目指すべきと考えますが、区の見解を伺います。
 それでは、提言1つ目のアプローチ、「介護予防の充実で、健康・長寿の環境整備」について伺います。
 アンケートの結果では、介護状態にならないための予防や認知症の予防について、いずれも全体の60%前後の方が「関心がある」と回答しています。予防による健康保持に対して人々の意欲、関心がますます高まっている時代、生涯にわたって区民1人1人が主体的に、また地域全体で健康づくりが増進できるような、ソフト、ハード双方における環境の整備が必要であると考えます。区の所見と今後の展開について伺います。
 また、健康長寿の進展とともに、高齢期に生きがいを持って過ごすことが人生の重要なテーマとなってきます。高齢者が地域や社会を支える担い手として地域活動に参画していくことは、高齢者自身の生きがい創出や地域の活力増進にもつながります。したがい、介護予防、健康増進策は心身機能にとどまるものではなく、高齢者の意欲向上にも結びつく起業・就労支援や、いきいきクラブ等地域の互助団体の活動を活性化させ、さらには長寿応援ポイント事業の拡充を進めるなど、生きがい活動や社会参加を後押しする施策を充実させていくべきと思いますが、区の考えを伺います。
 続いて、提言2つ目のアプローチ、「在宅介護・生活支援の『担い手』の確保」について伺います。
 アンケートによれば、介護や支援を受ける際には「公的なサービスによるものを希望」が62.5%、続いて「家族を希望」が60.9%との回答がありました。また、要介護者の67.1%が在宅でサービスを受けているとの実態でした。在宅介護の担い手をどう確保していくか。2025年には全国で100万人の介護人材が不足するとも言われておりますが、介護人材の確保、定着支援策に関する現在の区の取り組み状況と課題について、また、介護サービスの需要と供給のバランスに関する将来予測について、区の所見を伺います。
 在宅介護の充実には、量とともに質の維持向上も大切な視点です。そのためには、医療と介護の連携強化は欠かせません。区は、今年度より新たに、在宅医療を担う医療と介護の多職種が連携した在宅医療地域ケア会議を実施することとしていますが、本事業を行う意義、目標、さらには実施概要についてご説明をいただきたいと思います。
 また、住みなれた地域で在宅生活を24時間支えるという観点から構成されているのが、介護保険の地域密着型サービスです。しかし、本区での事業実績が計画に追いついていない状況が続いています。一方で、同サービスの需要量は、今後増加していくことが見込まれています。地域密着型サービスのこれまでの課題と今後の対応策についてお聞かせください。
 とりわけ、看護小規模多機能型居宅介護と地域密着型特定施設入居者生活介護については、サービスを提供する事業者の参入意向が低く、このたびの介護保険事業計画では、計画数字が見込まれておりません。この状況を区としてどう捉えているのでしょうか、打開策についての考えを伺います。
 提言3つ目のアプローチ、「一人暮らし高齢者の『見守り』を強化」について伺います。
 アンケートの結果では、区に対して充実を望む施策として、家族などの介護者に対する援助や、福祉や生活にかかわる相談窓口の充実などが多く、そして最も多かったのがひとり暮らし高齢者への援助を求める声で、64.5%でした。
 国勢調査によると、杉並区内の全世帯のうち単身世帯の割合が、昭和55年の35.7%から、直近の平成22年では56.5%へと一貫して右肩上がりで増加しており、5つの家族類型の中でも、単身世帯が圧倒的に大きい割合を占めています。さらに、少子化に晩婚・非婚の傾向が重なり、1家族当たりの構成人数も減少し続けています。そして65歳以上においては、区の実態調査によれば、現在区内にはひとり暮らし高齢者が2万人以上いると推計され、平成12年時点では約9,400人でしたので、この十数年間で2倍以上に増えているとのことであります。区はこれまで、単身高齢者の社会的孤立を防ぎ、住みなれた地域で安心して生活が送れるよう、安心おたっしゃ訪問や高齢者緊急通報システム、たすけあいネットワーク(地域の目)などの取り組みを行ってきておりますが、今後さらにニーズが拡大することは明らかです。単身世帯増に対処するための包括的な政策が強く求められてくると考えますが、区の認識とこれからの取り組みについて伺います。
 提言4つ目のアプローチ、「家族介護者に対する支援」について伺います。
 アンケートの家族介護者による回答では、要介護高齢者以外に複数の介護、世話をしている方として、障害者、障害児が17.1%、乳幼児が12.5%でした。先ほどの世帯構成の推移にも関係しますが、少子化、高齢化により、1人で複数の家族を支える多重介護が今後急速に広がることが懸念されています。またアンケートによると、家族介護者のうち、現在1人で介護をしている方は70代で64.5%、80代で50%に上りました。さらには、介護者が介護をすることによって諦めたこととして、「趣味」の割合が44.3%で最も高く、次いで「仕事」24.7%、「健康管理」24.5%となっています。
 介護疲れが事件や事故につながったり、あるいは生活環境が著しく変化したりするおそれもあります。家族を孤立させないための支援の拡充が望まれます。多重介護や老老介護、介護離職者、あるいは仕事と介護の両立に苦慮している方など、家族介護者の実態を把握した上で、さまざまな状況に応じたきめ細かな対策を検討していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 提言5つ目のアプローチ、「介護保険に関する相談・情報提供」の体制について伺います。
 要介護者、介護家族へのアンケートでは、現行の介護保険制度について、「わかりにくい」との回答が47.6%ありました。一方、区民全般へのアンケートでは、本年度からの介護保険制度の改正について、70%近い方が改正されること自体を認知していましたが、57%の方が「内容までは知らない」とのことでした。認知度については、世代が若くなるにつれて低くなり、40代で45%、30代では53.7%が「改正されること自体を知らない」との回答でした。介護に関して気軽にできる相談や情報提供の体制の充実が必要です。従前からのさまざまな媒体に加え、今後はスマートフォンのアプリなどの活用も検討し、わかりやすい情報提供に努め、介護保険制度の理解を促進していただきたいと思います。
 また、総合的な相談窓口である地域包括支援センターケア24の機能強化は重要です。同センターは、地域包括ケアシステム構築のかなめの役割も担うことになり、区は今年度から新たな担当を配置するなど、その体制強化を進めています。改めて、同センターが果たすべき役割を整理し、抜本的に機能強化を進めていくべきと考えますが、区の見解を伺います。
 ちなみに、今回の介護保険制度の改正は、2025年を見据えた地域包括ケアシステムの構築と、低所得者の保険料軽減の拡充や保険料の上昇を抑えるための費用負担の公平化が主な内容で、いずれも、持続可能な社会保障制度のもとに、高齢者福祉を支えていくための改正であります。その中の新しい介護予防・日常生活支援総合事業については、本区では28年度から実施されることになっておりますが、現在の準備状況と、特に区が意を用いている点について説明をいただきたいと思います。
 提言6つ目のアプローチは、「高齢者の住まいの確保」です。
 アンケート結果では、介護が必要となり、何の制約もない場合、どこで介護を受けたいかとの質問に対し、「介護施設」43%と並んで「自宅」が42.5%と、ほぼ同率でトップの回答でした。また、終末期を迎えたい場所としては、「自宅」が58.5%で最も多い状況でした。
 高齢になっても安心して住み続けていける住宅の確保が望まれています。この問題については、私はこれまでも福祉と住宅政策の連携強化や、空き家、空き室等を活用した地域居住の促進などを訴え、区も審議会を立ち上げるなど、これらの点について真剣に検討を行っていることは十分に理解しておりますので、今回は質問を割愛いたします。
 なお、このたび完全施行となった空き家対策特別措置法では、周辺に深刻な影響を及ぼす特定空き家の除去のための対策が主な内容となっていますが、区市町村が空き家等の活用に努めていく旨も記載されています。今後区は、対策計画の策定に向けて協議会を設置する意向のようですが、空き家、空き室を地域資源と捉えて、福祉目的に活用できる仕組みの充実について、よく検討をしていただきたいと要望しておきます。

認知症対策の体系化とサポーターの活用強化

中村 康弘

 最後に、7つ目のアプローチ、「認知症対策の充実」について伺います。
 アンケートでは、今まで何らかの形で認知症の方とかかわったことのある人の割合が44.4%でした。そして、重点を置くべき認知症対策についての回答としては、医療、介護、地域が連携した早期発見・早期診療の仕組みづくりが78.4%で最も多く、次いで認知症グループホームや特別養護老人ホームなどの施設整備、徘徊行動などに対する制度の充実、認知症患者を見守るボランティアなどの仕組みづくりなどがありました。
 今後も増え続ける認知症については、重点的、戦略的に対策を行う必要があります。本区では、予防の推進、認知症サポーターやキャラバンメイト等による早期発見・早期対応の仕組みづくり、認知症サポート医や在宅医療推進協議会の作業部会等による専門的な対応、支援の仕組みづくりといった従前からの対策に加えて、平成25年度からは、認知症コーディネーターの設置や都の認知症疾患医療センターと連携した事業が実施されております。
 さらには、国の認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の策定を受けて、今年度からは、認知症初期集中支援チームの設置や認知症ケアパスや医療機関連携クリティカルパスの作成、活用、あるいは徘徊高齢者の探索システムのネットワーク化や情報共有の検討等、区の対策も一層重層的、多面的に展開されます。それに伴い、より広範な関係機関等との連携が行われることになります。
 今後、それぞれの事業について具体化が進み、時間軸や数値目標なども組み込まれていくことになるでしょう。こういった一連の施策の拡充は望ましいことではありますが、逆に多面化が進むにつれて全体が散漫な状態になり、1つ1つの効果や妥当性などの検証が追いつかなくなるような事態は避けなければなりません。
 そこで、例えば認知症対策推進計画を策定するなどして、それぞれの施策を体系化し、PDCAサイクルを組み入れた一体的な管理を行う必要があるのではないかと考えますが、区の所見を伺います。
 また、認知症サポーターについては、区としてもこれまで1万2,000人近い養成を行ってきました。今後は、サポーターになった人のあり方についても検討しながら、サポーターが主体的に地域で活躍できるような新たな研修による能力の向上や役割の拡大など、養成と活用の両面で拡充していくことが必要と考えます。区の所見をお聞かせください。
 今回は、区民アンケートの結果を通して質問をいたしました。多くの区民の生の声に基づいた私どもの提言を区としてもしっかりと受けとめ、これからの施策展開にぜひとも反映していただきたいと強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

答弁

議長(はなし俊郎議員)

理事者の答弁を求めます。
 区長。
      〔区長(田中 良)登壇〕