緑のオープンスペースの確保と活用
杉並区議会公明党の一員として、緑のオープンスペースについて質問を行います。
質問に先立ち、このたびの川崎市で発生した通り魔による連続殺傷事件につきまして、その余りの理不尽さ、残虐非道さに激しい憤りを禁じ得ません。犠牲になった方々の御冥福と負傷された方々の一日も早い回復を心よりお祈り申し上げます。
それでは、質問に移ります。
昨年4月、まちづくりの取り組みについて、長野県小布施町に視察に伺いました。修景と呼ばれるそのまちづくりの手法は、単に昔の風景を再現する町並み保存とは異なり、今ある日常の暮らしを基本とし、古いものと新しいものが見事に調和されているところに特徴があります。学校や交番、図書館等の公共施設を初め、一般の家屋や店舗、金融機関、さらには駐車場に至るまで、洗練されたデザインが町並みを演出しており、その美しさに魅了されました。その中で、建物の間の空間を利用した小さな広場、里山風の街路樹や植栽、栗の木の間伐材を敷き詰めた路地裏の遊歩道、個人の庭を一般に開放している130ものオープンガーデン等、暮らしの中の緑のオープンスペースが、まちの景観づくりや快適な生活空間の創出に重要な役割を果たしていました。
小布施のまちづくりの基本理念は、「外はみんなのもの、内は自分たちのもの」であり、住民、事業者、行政がその考えを共有しながら、一体となってまちづくりを進めています。視察のときには、地元のボランティアの方から、まち歩きをしながら説明を受けましたが、御自身が住むまちに大きな誇りを持たれている姿が印象的でした。
また、今から20年ほど前、私は、当時勤めていた商社の駐在員として、シンガポールに数年間滞在しました。山手線の内側程度の狭い国土にもかかわらず、超高層ビル群がそびえ立つ市街地には熱帯植物の緑があふれていました。まちの中心部への公園整備や緑地保全が積極的に進められ、当時はガーデンシティーと呼ばれていました。緑豊かな庭園のような都市としてのイメージ戦略で、先進的なビジネスインフラと相まって、海外から投資を呼び込み、国際的な競争力を高めてきました。経済基盤が整った今日では、シティー・イン・ア・ガーデン、つまり庭園の中の都市として、都市空間の緑化をさらに進め、国民の生活環境の充実に重きを置いて、シビックプライドの醸成に力を注いでいるとのことであります。
これらの例を通して、都市、市街地のまちづくりにおいて、緑のオープンスペースは、その果たす役割は大きく、住民満足度はもとより、住民福祉の向上にも大きな効果をもたらす重要なインフラ資源であると考えます。区の所見を伺います。
区内にある公共の緑のオープンスペースで中核をなしているのが公園です。現在区内には349カ所の都立、区立の公園があり、合計122.5ヘクタールの面積を有しています。
区は、ことし1月、多世代が利用できる公園づくり基本方針を発表しました。この基本方針は、平成29年の都市緑地法等の一部改正に伴い、公園がオープンスペースとして多面的な機能を発揮できるよう、公園機能の見直しを図りながら、区民ニーズに沿った形で、多世代が利用できる魅力ある公園づくりを推進することを目的としています。
現在の区立公園には、とりわけ住宅地や商店街の中にある、規模の小さなものが数として大半を占めています。ブランコ、滑り台、砂場、トイレと、どこにでもあるような画一的なデザインのものが多く、一方で、利用頻度が高くなく、改善の余地があると思われる公園も少なからず見かけます。
公園の多世代の利用という点につきましては、公衆衛生におけるゼロ次予防という概念に通じるものがあります。疾病予防、健康保持には、食事管理や運動等による1次予防、健診等による早期発見・早期治療という2次予防、そして再発や重症化を防ぐ3次予防の3つがあると言われています。これに加えて、ゼロ次予防とは、そこに暮らしているだけで、知らず知らずのうちに健康を保てるような社会環境の構築を目指した都市設計、環境設計という考え方です。
これは、現在区が進めているフレイル予防のソーシャルフレイル、人と人との交流を通して健康増進を図る取り組みにもつながります。したがい、長寿社会における健康増進という観点からも、公園の果たす役割が注目されるところであります。
それぞれの公園が、まちの魅力や価値の向上、区民福祉の増進にどのように寄与しているのかという尺度から評価し、その公園の有する可能性を最大限高めていくための取り組みが大切であると考えますが、区の所見を伺います。
基本方針では、公園施設の老朽化に伴う維持管理費の増加が、これからの課題として挙げられています。開園から30年以上経過した公園が約6割に達し、その維持管理費の合計が平成28年度以降は10億円を超え、今後さらに増加することが見込まれるというものです。このことに対し、区では公園施設の長寿命化計画を作成し、予防保全型の管理を行うとともに、公園施設の再配置を行うことで費用の縮減や平準化を図るとしています。しかし、具体的な数値等の詳細は公表されておりません。
公園等に関する維持管理費の現状と見通しについて、また費用の縮減と平準化を進める公園施設の長寿命化と再配置の計画について、改めて具体的にお聞かせください。
公園施設の管理手法としては、区が直接行う場合のほか、設置管理許可制度、指定管理者制度、PFI、そして平成29年度の都市公園法の改正により導入された公募設置管理制度、いわゆるPark-PFIがあります。
本区の区立公園の管理手法として、現在どのような形で運営されているのでしょうか。また、経費抑制策として、こうした多様な管理手法については<区はどのように捉えているのでしょうか。
Park-PFIは、カフェやレストラン、売店等、公園利用者の利便の向上に資する公園施設の設置と、そこから生ずる収益を活用して公園の整備、改修を一体的に行う者を公募により選定する制度です。法改正では、設置管理許可期間の延伸や建蔽率の緩和など、事業者が設置、運営しやすくするための特例措置も設けられています。Park-PFIの導入については、区はどのように考えているのでしょうか。
基本方針では、公園機能を見直すに当たって、公園区という概念を示しています。それは、1つの公園だけで機能の見直しを行うのではなく、比較的規模が大きい32の核となる公園を定め、そこから半径500メートルを公園区として設定。各公園区内にあるそれぞれの公園が機能を分担、補完し、公園区全体として区民ニーズに応えていくというものです。
しかし、これはあくまでも大規模な公園を中心としたエリア決めであって、果たして個々の地域住民の生活空間やそれぞれの公園に対するニーズが、公園区の概念とマッチするのでしょうか。区の考えはいかがか、お聞かせください。
また、方針によれば、地域住民のワークショップ等を開催しながら検討を進めていくとのことですが、具体的なスケジュールや対象地域の選定、地域への周知の方法等についてお示しください。
また、ワークショップ等を進めていく中で、さまざまなアイデアやニーズが出されると思います。そうしたニーズに対して改善を検討する際、区にも予算等の制約がある中で、費用負担の問題が発生することが考えられます。こうした課題について、区はどのように考えているのでしょうか。
費用負担のあり方については、例えば有志による寄附やクラウドファンディング、それとあわせてのみどりの基金の柔軟な運用など、しっかりとした仕組みづくりをぜひ検討していただきたいと思います。
公民連携のリノベーションのまちづくりを進めている清水義次氏は、公園はエリアの価値を変えるだけのポテンシャルを持っているのに、公園の外に対する視点を持って管理が行われていないと指摘しています。
さきに述べたとおり、現在の区立公園にはデザインが画一的なものが数多く存在します。また、公園内に緑を多く植えることは大切かもしれませんが、樹木が成長し過ぎて公園全体が鬱蒼となっていたり、雑草が伸び過ぎて逆に景観を損ねてしまったりしていることも時折見受けられます。特に植物の成長が速い夏の間の維持管理は手間もかかることでしょう。むしろインターロッキングを敷いたりウッドデッキを設置したりすることで、ガーデンテラスのように見ばえがよくなり、同時に維持管理も楽になるものもあるのではないでしょうか。つまり、単に緑の量の多さだけを求めるのではなく、質においても配慮するべきであると考えます。
また、景観のよさには、空間の美しさに加え、その地域に関係する歴史的、文化的価値という要素もあると思います。
私の自宅の近くの今川2丁目に、観泉寺という400年以上の歴史がある寺院があります。そこには、今川という地名の由来となっている今川氏累代の墓があります。昨年11月、今川紅灯路 in 観泉寺という寺院の庭園の紅葉ライトアップイベントを初めて開催し、私も企画立案、運営の一端を担わせていただきました。「大人の和みの空間」をコンセプトとした演出で、2日間で2,500人もの方々にお越しいただき、大変高い評価を受けました。この地域の歴史、文化を来場者が再認識する機会にもなり、今後も継続的に開催していきたいと思っております。
その観泉寺の山門の真正面の位置に、500平米ほどの小さな区立の児童遊園があります。派手な原色に塗られたブランコと滑り台、薄汚れた壁の公衆トイレ、公園の周りは古びた鉄柵で囲われています。ほとんどがタクシーの運転手の休憩場所となっているのが実情です。
私は、この公園を、周囲の豊かな緑や後方につながる山門、和風庭園、お堂などとともに、地域の歴史、文化を感じる景観へと、そしてライトアップともマッチした公園施設へと再整備することで、エリア全体のイメージが向上し、地域の活性化にも資するのではないかと思いをはせております。
今回の基本方針には、エリアマネジメントの視点からの公園の景観整備という点について余り言及がされていないようですが、区はどのような認識を持っているのでしょうか。
井草森公園と隣接している旧杉並中継所の跡地について伺います。
旧中継所は、東京都からの移管後、今年度末までの20年間、清掃事業以外の用途で活用できないとされてきました。来年度以降の施設跡地の有効活用については、区立施設再編整備計画第二次実施プランでは、「施設の築年数等を踏まえ、既存施設の改修による活用を基本に検討することとし」、「検討に際しては、地域の意見・要望を丁寧に聴きながら、行政需要や民間活力の導入など様々な観点から検討を進めて」いくとしています。
旧杉並中継所の活用に向けて、今後の予定をお聞かせください。
また、活用策の検討については、Park-PFIやサウンディング市場調査の実施を含めた多方面からの知見やアイデアを募り、井草森公園や周辺環境の価値を高め、さらには地域住民の憩いの場となるような施設の設置に向けて、創意工夫をしていただきたいと思います。こうした取り組みに対する現段階での区の考えをお示しください。
区立公園についてるる伺ってまいりましたが、いずれにしましても、地域の方々との協働による魅力ある公園づくりをぜひとも実のあるものにしていただきたいと思います。期待しております。
区内農地の現状と保全、農福連携の推進
次に、区内の農地について伺います。
農地は、公園に次いで面積が大きい緑のオープンスペースです。都市農業は、農産物の生産以外にも、景観創出、交流創出、教育・食育、地産地消、環境保全、そして防災といった私たちの暮らしを豊かにしてくれるたくさんの機能を持っています。
区内の農地の現状はどのような状況でしょうか。また、これまでの推移はどのようになっているのでしょうか。
区が運営する農地も複数種類あると思いますが、それぞれの農地について、また、それぞれの箇所数と面積についてもお示しください。
さらには、区内の農業者に対する区の助成等の支援策はどのようなものがあるのでしょうか、お聞かせください。
生産緑地については、全国の約8割が1992年に指定を受けており、30年を経た2022年に優遇期限を迎えます。高齢化などを理由に営農を諦める人がふえれば、生産緑地を維持することができずに、一気に宅地化が進む可能性が指摘されています。
一方で、生産緑地法が改正されたことにより、生産緑地に指定できる下限面積要件の緩和や、特定生産緑地制度が創設されました。さらに都市農地の貸借の円滑化に関する法律の制定などにより、都市農業が安定的に継続できる環境と都市農地保全につながる法令が整備されています。
生産緑地の2022年問題に対して、区としてはどのような対応を行っているのでしょうか。
本年度からの新規事業として、農業と福祉の連携、いわゆる農福連携事業が開始します。井草3丁目に購入した農地を活用し、障害者や高齢者等が農作業を通して収穫の喜びや働く喜びを体感し、生きがい創出や健康増進、さらには若者等の就労支援を推進するというものです。
本事業の実施に向けての計画の概要と今後の予定についてお示しください。
農福連携には、農業への就労を通した障害者の就労支援と、工賃のアップを目指すという意義もあります。そうした点からは、農産物の販売ルートや活用ノウハウを有する民間事業者を、障害者の雇用増を前提として参画させるといったことも考えられます。御検討ください。
冒頭申し上げたとおり、公園や農地といった緑のオープンスペースは、区が保有するインフラ資源の一種であります。グリーンインフラと言えるでしょう。野村総合研究所の片桐悠貴氏は、行政のインフラを所与のものとして、そこに搭載可能なコンテンツを後から思案するのではなく、むしろ想定するコンテンツを搭載しやすいインフラをいかに整備するかが重要と述べています。区のグリーンインフラを、まちの魅力向上や福祉増進等、多面的な角度から最大限活用していくべく、さらなる取り組みの充実を求め、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
答弁
理事者の答弁を求めます。
区長。
〔区長(田中 良)登壇〕